第19回数学総合若手研究集会 〜数学の交叉点〜
The 19th Mathematics Conference for Young Researchers

アブストラクト

解析

浜野 大 (Hamano Masaru) 早稲田大学理工学術院
長距離型の逆冪乗型ポテンシャルをもつ非線形シュレディンガー方程式の散乱解について
本講演は理化学研究所AIPセンター, 慶應義塾大学の池田正弘氏との共同研究に基づく. Guo氏, Wang氏, Yao氏 [J. Math. Anal. Appl. 506 (2022), no. 2, Paper No. 125653, 30 pp] により空間遠方での減衰が速い短距離型のポテンシャルをもつ非線形シュレディンガー方程式について解が散乱するための十分条件が与えられた. 本講演では, 空間遠方での減衰が遅い長距離型のポテンシャルをもつ状況において解が散乱するための十分条件を球対称解に制限することにより与える. >Download
信川 喬彦 (Nobukawa Takahiko) 神戸大学大学院理学研究科数学専攻
ある多変数q超幾何級数に付随する接続問題
本講演で考える方程式/函数は, 一般\(q\)超幾何系\({}_{N+1}\varphi_{N}\)と\(q\)-Appell-Lauricella系\(\varphi_{D}\)の共通の一般化である. この方程式はモノドロミー保存変形の理論と密接に結びつくものである. これについて, ある領域での基本解と別の領域での基本解の間の線形関係を得たので報告する. これは, 既知の接続公式をうまく組み合わせることで解決した. 本講演では, この手法に重点をおいて話す. >Download
上野 祐一 (Ueno Yuichi) 神戸大学大学院理学研究科数学専攻,皇學館大学教育学部教育学科
2変数量子Garnier系の多項式ハミルトニアン
Garnier 系とは,Painlevé 方程式の拡張であり,Frobenius完全積分可能な多時間ハミルトン系として与えられる. Garnier 系はPainlevé 方程式と同様に多項式ハミルトニアン\(H_{\rm J}\)のハミルトニアン系でかくことができる. ここでは,ある正則性により量子 Gariner 系を構築し,その特徴付けを行う. すなわち,Garnier 系のハミルトニアン系がまた多項式ハミルトニアン系に移るような正準変換を導入し,ハミルトニアンがこの正則性によってただ一つに特徴付けることができることを示す. >Download
水野 大樹 (Mizuno Daiki) 千葉大学大学院教育学研究科学校教育学専攻
特異拡散を含む擬放物型偏微分方程式の適切性
本講演では、結晶粒界運動や画像処理問題等で現れる特異拡散を時間微分によって緩和して得られる、擬放物型偏微分方程式の初期値境界値問題を考える。 本講演では、上記の緩和によって解の正則性がどの程度向上するかを、発表の焦点とする。 初めに時間離散化によって得られる楕円型境界値問題の可解性や正則性を議論した後、極限操作によって元の問題の可解性及び、解の正則性、一意性を述べる。 なお、本講演は、白川 健氏(千葉大学)との共同研究に基づく。 >Download
草場 竜之介 (Kusaba Ryunosuke) 早稲田大学大学院 先進理工学研究科 物理学及応用物理学専攻
Weighted estimates and large time behavior of solutions to the semilinear heat equation
本講演では冪乗型の非線形項を持つ半線形熱方程式の初期値問題を考察する。 この初期値問題の解の挙動は数多くの論文で解析されているが、時間大域解の重み付き評価や高次の漸近展開を導出する方法は豊富でないように思われる。 本講演では、熱半群の重み付き評価と漸近展開の精密化を基礎として、時間大域解の重み付き評価と長時間挙動に関する詳細な結果が得られたので、その概要を説明する。 尚、本講演は小澤徹教授(早稲田大学)との共同研究に基づく。 >Download
野ヶ山 徹 (Nogayama Toru) 中央大学理工学部数学科
Morrey空間とStrichartz評価について
Morrey空間は\(L^p\)空間の1つの拡張であり,元々は2階楕円型偏微分方程式の解の正則性を研究するために用いられた関数空間である. 一方,Schrödinger方程式の解の解析において重要な評価の1つにStrichartz評価がある. この評価はMorrey空間をわずかに拡張した関数空間を用いると改良できることが示されている. 本講演では,この関数空間の性質とStrichartz評価との関連について紹介する. >Download
波多野修也 (Hatano Naoya) 中央大学理工学研究科数学専攻
2層ニューラルネットワークの大域的普遍近似定理
機械学習においてニューラルネットワークの普遍性定理がよく知られている. ニューラルネットワークとは, 脳神経を数理モデルとして定式化したものとして導入された. また, ニューラルネットワークによってコンパクト集合上で連続関数を近似できることを普遍近似定理と呼ばれ, よく知られている. そこで, 本研究では関数空間の言葉で置き換えることで, 定義域の取り方に依存しない大域的なものに拡張した. >Download
根上 春 (Negami Haru) 千葉大学大学院融合理工学府
Homological representation of braid groups
ブレイド群 Bn は、n-1個の生成元で生成されブレイド関係式を満たすものである。 ブレイド群の表現の分類は完了しておらず、既知の表現から新しい既約表現を得る手法の研究は有用である。 本講演では、ブレイド群の既知の表現から新しい表現を得る手法である Long-Moody 構成について概説したのち、オイラー変換との関連について述べる。 >Download
松田 凌 (Matsuda Ryo) 京都大学大学院理学研究科数学・数理解析専攻数学系
Construction of geodesics on Teichmüller spaces of Riemann surfaces with Z action
本講演では, Z作用を持つ Riemann 面において, 今までとは異なる以下の極値性の十分条件について説明する : ⟨γ⟩は ℤ に同型で, Sに作用しているとする. S上の Beltrami 係数 μが条件``S/⟨γ⟩上の極値的 Beltrami 係数 μ0が存在して, limn→∞(γ∘n)∗(μ)(z)=π∗(μ0)(z)(a.e.z)''を満たすならば, 極値的である. また, 極値 Beltrami 係数に関連する話題として, Teichm\"uller 空間の測地線の話がある. Earle-Kra-Krushka\'l は[0]と[μ]を結ぶ測地線の一意性は,(a) : [μ]に含まれる極値 Beltrami 係数 μ0がただ一つかつ(b): |μ0(z)|=‖μ0‖(a.e.z)が成り立つことが同値であることを示した. (a)は(b)を導くかという予想が立てられていたが, Bozin-Lakic-Markovic-Mateljevic において反例を構成している. そこで, 上で述べた極値性の十分条件を用いて, Z作用を持つ場合, (b)を保ったまま, 測地線がどれくらい構成できるか調べた. 特に, ℂ∖ℤの時, ある2点の測地線全体が, l^∞の開部分集合と複素解析的に同型になる例を構成できたので, それについて話す. >Download
北村 駿介 (Kitamura Shunsuke) 東北大学大学院理学研究科数学専攻
特性方向重み付き微分型非線形波動方程式の解析
半線形波動方程式について, 非線形項が未知関数\(u\)やその時間方向の微分\(u_t\)などで構成された自励的な場合はよく調べられているが, 物理学などからの要請により, 時間変数\(t\)や空間変数\(x\)を含む非自励な場合の一般論を考察する必要が出てきた. その足掛かりとして, 空間一次元の場合のモデル方程式として非線形項(u_t\)の冪に特性方向\(t+|x|, t-|x|\)の重みを付けた場合について研究を行った. 本発表ではその内容を講演する. >Download
長田 祐輝 (Osada Yuki) 東京都立大学大学院理学研究科数理科学専攻
3波相互作用をもつ非線形シュレディンガー方程式系に対する特異摂動問題
本講演では, 次の3波相互作用をもつ非線形シュレディンガー方程式系に対して十分小さい \(\varepsilon\) に対する ground state の存在性および \(\varepsilon \to + 0\) における ground state のスパイクの位置について考察する: \begin{align} \begin{cases} - \varepsilon^2 \Delta u_1 + V_1(x) u_1 = |u_1|^{p-1} u_1 + \gamma u_2 u_3 & \text{in}\ \mathbb{R}^N,\\ - \varepsilon^2 \Delta u_2 + V_2(x) u_2 = |u_2|^{p-1} u_2 + \gamma u_1 u_3 & \text{in}\ \mathbb{R}^N,\\ - \varepsilon^2 \Delta u_3 + V_3(x) u_3 = |u_3|^{p-1} u_3 + \gamma u_1 u_2 & \text{in}\ \mathbb{R}^N. \end{cases} \tag{$\mathcal{P}_\varepsilon$} \end{align} ここで, \(N \le 5\), \(2 \le p < 2^* - 1\), \(2^* = \infty\ (N=1,2)\), \(2^* = 2N/(N-2)\), \(\varepsilon,\gamma > 0\). 正確には, \(\rho(V_1(x),V_2(x),V_3(x);\gamma)\) という関数を定義し, ある場合には \(\varepsilon \to + 0\) において ground state は \(\rho(V_1(x),V_2(x),V_3(x);\gamma)\) の最小点にピークをもつピーク解に漸近し, 別の場合には, 1つの ground state だけが対応するポテンシャル \(V_j(x)\) の最小点にピークをもつピーク解に漸近し残り2つの成分は0に漸近するという結果を紹介する. >Download
中島 慶人 (Nakajima Yoshihito) 東北大学大学院理学研究科数学専攻
非整数階時間微分を含む非線形抽象発展方程式の可解性とその応用
通常の時間微分と異なり, 非整数階時間微分においてライプニッツ則や連鎖律など多くの計算公式が成立せず, さまざまな数学的困難さから非整数階時間微分を含む抽象的な発展方程式における基礎理論がまだまだ少ない. 本発表では, 非整数階時間微分を含む実ヒルベルト空間上の非凸汎関数に対する勾配流方程式の可解性について考え, その応用例として非整数階微分を含む爆発項付きの退化放物型方程式に対する初期値境界値問題の可解性について論じる. 本発表は, 赤木剛朗教授との共同研究に基づく. >Download
村松 亮 (Muramatsu Ryo) 東京理科大学大学院理学研究科数学専攻
電磁場中のシュレーディンガー方程式の解の特異性伝播について
本研究では, 電磁場中のシュレーディンガー方程式の解の波面集合を, 波束変換を用いて初期値で特徴づけた. シュレーディンガー方程式は,量子力学における電磁場中の荷電粒子の運動を記述する偏微分方程式である. 初期値の特異点が時間経過で解に伝播する現象を特異性伝播というが, シュレーディンガー方程式の解の特異性伝播は, シュレーディンガー方程式に対応する古典力学的粒子の運動が反映されている. 本研究では, 特異点の位置と伝播する方向を同時に記述する波面集合によって, 電磁場中のシュレーディンガー方程式の解の特異性伝播現象を明らかにすることが目的である. >Download
宮川 寛基 (Miyakawa Hiroki) 東北大学大学院理学研究科数学専攻
Maximal regularity of distributional solutions to degenerate elliptic systems for locally integrable data
\(p\)-Laplacian に代表される退化楕円型作用素を含む楕円型方程式においては, 与えられた外力項にある程度の可積分性がある場合,その弱解の存在が知られている. しかし外力の可積分性が低い場合には,弱解の存在はよく分かっていない. 本発表では,\(p\)-Laplacian 型の楕円型作用素とそれよりも高い増大度を持つ吸収項を伴う楕円型方程式系を考え,局所可積分な外力項に対するある種の弱解の存在およびその正則性について論じる. 本発表は赤木剛朗教授(東北大学)との共同研究に基づく. >Download
新井 由美 (Arai Yumi) お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科理学専攻数学コース
ミドル・コンボリューションのq変形とそのq差分方程式への応用
超幾何関数は重要な特殊関数の一つであり,微分方程式や積分表示の面で様々な結果が知られている. 本研究では,q-middle convolutionに関連するq積分変換を再構成し,q-middle convolutionの収束について考察した. 具体的なq差分方程式にq-middle convolutionを適用することにより,q超幾何方程式の標準形と次数2の変異版q超幾何方程式を導出した. また,これらのq積分表示を得た. >Download
入野 耀太 (Irino Yota) 北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科
三次の非線形項を持つある散逸・分散型方程式の解の高次漸近形
本講演では, 三次の非線形項を持つ, ある散逸・分散型方程式の初期値問題の解の漸近挙動について考える. 先行研究では, 対応する積分方程式の解析により, 解の線形部分の高次漸近展開と, Duhamel項の漸近形が得られているが, 後者の漸近率は前者のそれよりも遅いものとなっていた. 本研究では, Duhamel項を詳細に解析し, 第二漸近形を導出することで, 先行研究で得られていた漸近率を改善し, 解の高次漸近展開の一般化に成功したので, その結果を紹介する. なお, 本講演の内容は信州大学の福田一貴氏との共同研究に基づく. >Download
蓮井 太朗 (Hasui Taro) 九州大学大学院数理学府数理学専攻
ベッチ数を指定した連結2部グラフの数え上げ
与えられたベッチ数を持つ連結で単純な2部グラフの個数に対し,2変数生成関数を用いた1階線形偏微分方程式が得られる. 本講演ではこの生成関数を紹介し,その係数の漸近挙動を述べる. 次に連結な2部単純グラフを分類する基本グラフ族を用い,ラベル付き2部の根付き木の本数の有理関数の基本グラフ上での和として,生成関数の別表現を与える. なお本講演は白井朋之氏(九大 IMI) と藪奥哲史氏 (北九州高専)との共同研究による. >Download
佐藤 光汰朗 (Sato Kotaro) 東北大学大学院理学研究科数学専攻
不可逆的に時間発展する変分不等式の適切性について
本発表では,不可逆的発展の制約条件に則って時間発展する変分不等式の強解について考える. ここで扱う不等式は劣微分作用素を用いることによりいわゆる二重非線形型の発展方程式に書き換えることができる. しかしその作用素は特異性を持ちかつ退化しているため,1970年代以降に Barbu や Arai らによって整備された可解性の理論が直ちには適用できない. そこで本発表では時間離散化法,いわゆる minimizing movement scheme に基づき,解を近似的に構成する手法について述べる. >Download
廣瀬和也 (Hirose Kazuya) 北海道大学大学院理学院数学専攻
力学的手法に基づくHamilton-Jacobi方程式の粘性解に対する下からの勾配評価
本講演では, Hamilton-Jacobi方程式の粘性解に対する, 下からの勾配評価の新たな証明を与える. 粘性解に対する下からの勾配評価は, Barron-Jensen解の概念を利用する方法でLey(2001)で既に得られているが, 本講演では, Albano-Cannarsa-Sinestrari(2020)で与えられたハミルトン系の解の性質を利用する方法で, よりよい勾配評価を導く. さらに, 勾配評価が成り立つ領域についても, よりよい結果を得たので, それを紹介する. >Download
幡 航太朗 (Hata Kotaro) 北海道大学大学院理学院数学専攻
Uniform Weak Convergence to Additive Processes on [0,1]
Additive processes are a class of stochastic processes which contains Brownian motion. In this talk, I will give a new method which can approximate an additive process by infinitesimal triangular arrays. Afterwards, I will introduce some examples and compare other convergences. This talk is based on a joint work with Hasebe Takahiro. >Download
Ó hAodha Dáithí (Ó hAodha Dáithí) 東北大学大学院理学研究科数学専攻
Large-Time Behaviour of Curl-Free Compressible Navier-Stokes Equations
We discuss optimal time-decay estimates for both the linear and nonlinear terms of solutions to the compressible Navier-Stokes equations in 3-dimensional Euclidean space in the curl-free case. Our proof relies only on elementary use of the Fourier transform and Besov spaces. >Download
中川 雄太 (Nakagawa Yuta) 京都大学大学院人間・環境学研究科共生人間学専攻
ギブス点過程に関するランダムシュレディンガー作用素の状態密度
空間内にランダムに点を配置し、各点を中心として一点当たりのポテンシャルを置いてできるポテンシャルに関するシュレディンガー作用素を考える。 累積状態密度関数\(N(\lambda)\)は、単位体積当たりの\(\lambda\)以下の固有値の個数を意味する。 本講演では、点同士に相互作用があるようなランダムな点の配置(ギブス点過程)における\(N(\lambda)\ (\lambda\downarrow-\infty)\)の漸近挙動が、相互作用の決め方によって大きく変わることを見る。 特に、相互作用が無い場合(ポアソン点過程)と比較する。 >Download
石塚 健二郎 (Ishizuka Kenjiro) 京都大学理学研究科数学・数理解析専攻数理解析系
ポテンシャルのついた非線形消散クライン・ゴルドン方程式の大域挙動
非線形消散クライン・ゴルドン方程式に対してポテンシャルのついた場合を考える。 ポテンシャルのついていない場合においてはソリトンと呼ばれる波の形が単純で、Cote-Martel-Yuan(2021)によって解の時間無限大での漸近挙動が完全にわかっている。 一方、ポテンシャルがついた場合はそのポテンシャルの影響でソリトンの形が多様化して解析が困難になる。 本講演ではポテンシャルのついた場合での解の時間無限大での解の漸近挙動のパターンについて考察する。 >Download
甲斐 大貴 (Kai Hirotaka) 大阪市立大学理学研究科数物系専攻
アダマール多様体上のジャンプ拡散過程の性質
断面曲率が負の定数でpinchされたアダマール多様体上のLévy型ジャンプ拡散過程の既約性、過渡性、保存性をradial processを評価することで示す。 >Download
坪内 俊太郎 (Tsubouchi Shuntaro) 東京大学大学院数理科学研究科数理科学専攻
Continuous differentiability of weak solutions to certain very singular elliptic equations or systems involving one-Laplacian
本講演では,\(1\)-ラプラス作用素と\(p\)-ラプラス作用素(ただし,\(p\in(1,\infty)\)とする)の両方を含む特異楕円型方程式(および系)の弱解の連続微分可能性に関する結果を報告する。 \(1\)-ラプラス作用素には,退化的・特異的な楕円性を同時に有するような異方拡散性があるため,この方程式(系)は解の平らな面において非一様楕円型となるのが問題である。 これを解決するために,平らな面の外側での微分の連続度評価を与える手法を紹介する。 >Download
田中聖人 (Tanaka Masato) 京都大学理学研究科数学・数理解析専攻
coideal上の1-cocycleの話
特殊線形群SL(2,R)は数学のいたるところに登場する興味深い対象である. その表現論については戦後,Gelfand-Naimark, Bargman, Harish-Chandraに始まり現在まで様々な研究が行われてきた. K. De Commer, J. R. D. Talla(2021)によりSL(2,R)の量子変形とその表現論が記述された. 本講演では,coideal上の1-cocycleを定義し,量子SL(2,R)の表現論を用いて量子SL(2,R)上の1-cocycleを構成する. >Download
牧田 慎平 (Makida Shimpei) 北海道大学大学院理学院数学専攻
増大ネットワーク上の粘性解の安定性
我々はユークリッド空間に埋め込まれたネットワークの列に対して, ハミルトン・ヤコビ方程式の粘性解の安定性を示した. ここでいうネットワークはグラフの意味でなく, 線分の集まりで構成されるものを指す. 我々はネットワークの列の極限に比較的自然な制限を加えた上で, 粘性解の安定性が成立する条件を調べた. その副産物として, 粘性解を考えられるようなネットワークの列の極限の特徴付けを得た. >Download
内村朝樹 (Uchimura Tomoki) 慶應義塾大学理工学研究科基礎理工学専攻
New morphisms between étale groupoids and between inverse semigroup actions
亜群C*環の理論において, 亜群の間の準同型がC*環の間の∗-準同型を誘導しないことが知られている. そこで我々は, ∗-準同型を誘導するような亜群の間の新しい射である couple morphism を導入した. 我々はさらに, 逆半群作用の間の射である action morphism を導入し, 亜群と couple morphism のなす圏 EG から, 逆半群作用と action morphism のなす圏 ISA の間に随伴関手を構成した. これらの結果により, 対象間の結びつきしか論じられてこなかった亜群, 逆半群, C*環の間に射の対応が与えられる. >Download
三栖 邦康 (Misu Kuniyasu) 北海道大学大学院理学院数学専攻
平均曲率流方程式の障害物問題に対するゲーム理論的アプローチ
本研究では, 平均曲率流方程式のある種の障害物問題の解の漸近形を考える. 平面上において, 障害物が初期曲線の内側にある場合, 初期曲線と障害物についてのある種の仮定の下, 曲線に囲まれる領域が, 時間無限大で障害物の凸包に収束することを示した. また, 駆動力項付きの方程式についても考察し, いくつかの計算例を与えた. 証明においては, Kohn-Serfaty(2006) で与えられているゲームを拡張したゲームを用いる. そのゲームにおいて, プレイヤーの簡単な戦略の組み合わせで, ゲームの駒の到達可能性を考える. >Download
有本諒也 (Arimoto Ryoya) 京都大学大学院理学研究科数学・数理解析専攻数理解析系
Neretin群とそのある開部分群について
Neretin群とはあるrooted treeのalmost automorphismからなる完全不連結局所コンパクト群であり、様々な興味深い性質を持つことが知られている。 本講演では、Neretin群の定義とその性質を紹介し、最後にはNeretin群のある開部分群はI型ではないという結果を紹介する。 >Download
滕文韬 (Teng Wentao) Mathmatics, School of Science and Technology, Kwansei Gakuin University
On the support of the generalized translation operator
The \((k,a)\)-generalized Fourier analysis is a far-reaching generalization of classical Fourier analysis developed by S. Ben Sa\"id, T. Kobayashi and B. \O rsted, where the parameter \(k\) comes from Dunkl theory, and the parameter \(a\) comes from the “interpolation” of the two \(sl(2,\mathbb R)\) actions on the Weil representation of the metaplectic group and the minimal unitary representation of the conformal group. We will investigate the support of the generalized translation in \((k,a)\)-generalized Fourier analysis of the functions supported in the balls centered at the origin for \(a=1\) and \(2\) respectively, as well as the support of the measure associated to the spherical mean of the generalized translation operator. >Download
Habibi Sadaf (Habibi Sadaf) Graduate School of Science, Osaka City University
Applications of \(p\)-harmonic transplantation for functional inequalities involving a Finsler norm
In this talk, we prove several inequalities such as Sobolev, Poincaré, logarithmic Sobolev, which involve a general norm with accurate information of extremals, and are valid for some symmetric functions. We use Ioku's transformation, which is a special case of \(p\)-harmonic transplantation, between symmetric functions. >Download

幾何

菅原 朔見 (Sugawara Sakumi) 北海道大学大学院理学院数学専攻
超平面配置の二重被覆と整係数の局所系係数ホモロジー
超平面配置のトポロジーにおいて、「様々な位相不変量が組み合わせ的に決まるか?」というのは中心的な問題であり、これまで多くの研究があった。 「補集合の局所系係数ホモロジーや、Milnorファイバーや被覆空間のトーションが組み合わせ的に決まるか?」というのは未解決問題である。 本講演では、二重被覆の2-トーションに対する公式が得られたので、それについて紹介する。 また、超平面配置の整係数の局所系係数コホモロジーの最近の進展についても併せて紹介する。 本講演の内容は石橋卓氏(株式会社ARISE analytics)と吉永正彦氏(大阪大学)との研究に基づく。 >Download
田邊 真郷 (Tanabe Masato) 北海道大学大学院情報科学院(情報理工学コース)
Tame topologyにおけるLie亜群の滑層分割 / Canonical stratification of Lie groupoids in a tame topology
多様体\(M\)の部分集合\(V\)を\(M\)の幾つかの部分多様体に分割することを、\(V\)の滑層分割という。 Mather--Vassilievは特異点論的な動機から、実代数的カテゴリーにおける群作用の或る滑層分割を独立に構成した。 本講演ではその一般化・精密化として、'tame topology'の一種である\(\mathfrak{X}_0, \mathfrak{X}\)-categoryにおけるLie亜群を考え、そこに構成される滑層分割を紹介する。 最後に、特異点論との関わりについても触れたい。 >Download
深沢 尚希 (Fukasawa Naoki) 東京都立大学大学院理学研究科数理科学専攻
パーシステントコホモロジーの構造定理
パーシステントコホモロジーとパーシステントホモロジーは同じ区間分解を持ち, 同じアルゴリズムで計算できることが知られている. 今回はアルゴリズムの正当性を, パーシステントホモロジーの構造定理のアナロジーとして記述し, パーシステントカップレングスへの適応までつなげる. >Download
長谷川 耀 (Hasegawa Yo) 大阪大学大学院理学研究科数学専攻
Gromov boundaries of non-proper hyperbolic geodesic spaces
In a proper hyperbolic geodesic space, it is well known that the sequential boundary can be identified as topological spaces with the geodesic boundary. We show that in a (not necessarily proper) hyperbolic geodesic space, the sequential boundary can be identified as topological spaces with the quasi-geodesic boundary. >Download
橋堀 恭矢 (Hashibori Kyoya) 北海道大学大学院理学院数学専攻
曲面間の写像に関するGauss-Bonnet型公式
Gauss-Bonnetの定理は微分幾何学的量であるGauss曲率と位相幾何学的量であるEuler数を結びつける定理であるが,この定理が意味を持つのは正則曲面上,つまり,特異点を持たない曲面上である(Gauss曲率は特異点では定義されない). では,特異点を持つ曲面上で成り立つようなGauss-Bonnetの定理の類似は存在するか. ここでは,その1つの答えを曲面間の写像を使った議論を通して解説する. また,Gauss-Bonnet型公式の応用として,Euler数と回転数を結びつけるLevineの公式を解説する. >Download
野本 統一 (Nomoto Subaru) 立命館大学大学院理工学研究科基礎理工学専攻
4次元ユークリッド空間における正則曲線上の一般化されたビショップフレームについて
フルネフレームは空間曲線を調べる上で基本的であるが, フルネフレームを許容しない正則空間曲線もある. 一方,全てのC2級正則空間曲線はビショップフレームを許容する. Bishopがビショップフレームを導入した際の考察を4次元の場合に拡張すると,フルネ,ビショップに加えて中間的なフレームが2種類考えられる. これらの4種類のフレームの許容されやすさについて考えることで,4種類のフレーム間に階層性があることを示す. >Download
松家 拓稔 (Matsuka Takumi) 東京都立大学大学院 理学研究科 数理科学専攻
群作用のある距離空間の自由積
群の自由積という概念は基礎的なものだが、距離空間に対して自由積を定義し考察する試みは十分になされてきたとはいえない。 今回は距離空間に群作用があると仮定した場合、距離空間に自由積とみなせるものが定義できることを紹介し、その意義と応用についてお話しさせていただく。 本講演は現在進行中の深谷友宏氏(東京都立大学)との共同研究に基づきます。 >Download
高野 暁弘 (Takano Akihiro) 東京大学大学院数理科学研究科数理科学専攻
Virtual Thompson's group
Jonesは2017年, Thompson群\(F\)の元から絡み目を構成する方法を提唱し, 全ての絡み目が\(F\)の元から得られることを示した. 本講演では, \(F\)を部分群として含む群\(VF\)を新たに定義し, 絡み目の一般化である仮想絡み目が, 全て\(VF\)の元から得られることを紹介する. この研究は, 児玉悠弥氏(東京都立大学)との共同研究である. >Download
児玉 悠弥 (Kodama Yuya) 東京都立大学大学院理学研究科数理科学専攻
A generalization of the Lodha-Moore group
Thompson群\(F\)と呼ばれる有限生成無限群の従順性は, 長い間解決されていない. 本講演では\(F\)によく似たLodha--Moore群と呼ばれる非従順群の定義を説明した後, その一般化に関する結果を紹介する. 時間が許せば, 最近の進展についても述べたい. >Download
青木 侑省 (Aoki Yusei) 名古屋工業大学大学院工学研究科博士前期課程工学専攻情報工学系プログラム
複素射影空間内のA型実超曲面上の佐々木磁場の軌道とケーラー磁場
リーマン多様体の形状を調べるために、測地線を一般化して一定方向に加速度を持つ磁場による軌道の考察を行っている。 今回は複素射影空間内のA型実超曲面を対象に選び、その上の接触構造から誘導される佐々木磁場の軌道が複素射影空間でどのように見えるかという観点で研究を進めた。 外的形状が複素射影空間上のある種の軌道になっているという特別な状況を考え、その合同類が軌道全体の合同類集合の中でどの部分を占めるかを調べた。 >Download
脇條 奈生子 (Wakijo Naoko) 東京工業大学理学院数学系数学コース
3次元多様体の随伴表現のトーションについて
コンパクトな\(3\)次元多様体\(M\)に対し、随伴ライデマイスタートーションというトポロジカルな不変量が定義される。 \(M\)が境界付きの双曲多様体である場合に、適当な条件のもと、上記のトーションが“vanishing identity"を満たすという予想があり、これは数理物理と関連する様で近日研究が盛んである。 本発表では、この予想を\(M\)が境界がない場合に考察し、\(8\)の字結び目に沿ったあるデーン手術で得られるクラスに対して計算例を与え、予想の肯定的例を初めて与えた。 >Download
地引 知栄 (Jibiki Chihaya) 東京工業大学理学院数学系数学コース
群の帰納極限における左順序の孤立性について
本研究は、群上の左順序に関するものである。 群上に孤立順序が存在しなければ、順序のなす位相空間がカントール集合と同相となることが、2004年にLinnellによって示されている。 そこで、どのような群が孤立順序を持つのかが疑問として浮かぶが、有限生成でない群の場合について考察する。 特に、群が帰納極限としてあらわされる場合を取り上げる。 >Download
只野 誉 (Tadano Homare) 山口大学 理学部 数理科学科
Bonnet--Myers Type Theorems via \(m\)-Bakry--Émery Ricci Curvature with \(\varepsilon\)-range
リーマン幾何学において最も重要な話題のひとつはリーマン多様体の曲率と位相の関係を明らかにすることである。 リーマン多様体上には様々な曲率が定義できるが、その中でもリッチ曲率は最も基本的な曲率のひとつであり、リーマン幾何学の重要な定理の多くはリッチ曲率の言葉を用いて書き表される。 この講演では、\(m\)-Bakry--Émery リッチ曲率と呼ばれるリッチ曲率の一般化を用いて、完備リーマン多様体がコンパクトになるための十分条件をいくつか紹介したい。 >Download
大島 駿 (Oshima Shun) 東北大学大学院理学研究科数学専攻
次元が負の場合の曲率次元条件の集中位相での安定性について
重み付きリーマン多様体上における重み付きRicci曲率を用いて定義される曲率次元条件(CD(K, N)条件)で、特にN<0におけるCD(K, N)条件を測度距離空間上に一般化したものが太田氏により定式化されている。 また、測度距離空間の収束にはGromovにより導入された測度距離空間の間の距離であるオブザーバブル距離により定まる収束である集中というものが知られている。 本講演ではN<0の時のCD(K,N)条件が集中位相について安定であるかという事について得られた結果を紹介する。 >Download
赤松 朋哉 (Akamatsu Tomoya) 大阪大学大学院理学研究科数学専攻
ハイパーグラフのリッチ曲率について
Ricci曲率は最適輸送理論を介すことでグラフに対しても導入され,近年純粋・応用数学の両側面から注目されている. 本講演では,この曲率のハイパーグラフへの一般化とその性質について分かったことを紹介する. >Download
辻 寛 (Tsuji Hiroshi) 大阪大学大学院理学研究科数学専攻
対数Sobolev不等式とTalagrand不等式の改良について
対数Sobolev不等式とTalagrand不等式は相対エントロピーと,Fisher情報量または最適輸送距離を用いて記述される不等式であり,重みつきリッチ曲率に関する幾何学の研究において,適切な条件のもと成立することが知られている. 本講演では,特別な場合であるユークリッド空間上の正規分布に基づくこれらの不等式の改良について考える. とくに,インプットする分散がある意味で大きい場合に最適な形で不等式が改良されることを報告する. >Download
岡本 幸大 (Okamoto Yukihiro) 京都大学大学院理学研究科数理解析専攻
ストリングトポロジーを利用したLegendre接触ホモロジーの研究
接触多様体のLegendre部分多様体に対して、Legendre接触ホモロジーと呼ばれるアイソトピー不変量がある。 これはFloer理論の一部であり、良い条件の下で擬正則曲線を用いて定義される。 しかし現状、具体例に関する研究は低次元(Legendre結び目)を除くと未発達である。 本講演では部分多様体の単位余法束(これは単位余接束のLegendre部分多様体である)のLegendre接触ホモロジーを考え、ストリングトポロジーを利用した研究を紹介する。 >Download
鈴木 英正 (Suzuki Hidemasa) 千葉大学大学院融合理工学府数学情報科学専攻数学・情報数理学コース
ユークリッド空間の余接束における概正則円盤の具体的記述について
シンプレクティック多様体におけるフレアーホモロジーや深谷圏を具体的に構成するにあたって,概正則円盤の数え上げを欠かすことはできない. それが困難である1つの理由として具体的に構成されている概正則円盤の例が少ないことが挙げられる. 本発表では\(T^{*}\mathbb{R},T^{*}\mathbb{R}^{2}\)における直線または平面に囲まれる概正則円盤について,その基本的な例を与えるシュワルツ・クリストッフェル写像について解説し,それを応用した概正則円盤の構成例について紹介する. >Download
磯島 司 (Isoshima Tsukasa) 東京工業大学理学院数学系数学コース
曲面結び目の自明な再接着により得られるtrisection
GayとKirbyにより2012年に導入された4次元閉多様体のtrisectionとは、3つの4次元の1ハンドル体による4次元閉多様体の分解である。 境界付き4次元多様体のtrisectionはrelative trisectionと呼ばれている。 有向連結4次元閉多様体内の曲面結び目に対し、4次元閉多様体のtrisectionから従うその外部の自然な3分割は、そのままではrelative trisectionにはならない。 しかし、そこにboundary stabilizationを行うことで、その3分割をrelative trisectionにすることが出来る。 この外部のrelative trisectionと、曲面結び目の管状近傍のrelative trisectionを貼り合わせることで、元の4次元閉多様体の新しいtrisectionを構成出来る。 本講演では、このように構成したtrisectionと初めのtrisectionの差に関する結果について述べる。 >Download
若槇 洋平 (Wakamaki Yohei) 大阪大学大学院情報科学研究科情報基礎数学専攻
第 \(2\) Betti 数 \(9\) の有理曲面のコルク
互いにエキゾチックな(同相だが微分同相でない)単連結閉 \(4\) 次元多様体 \(X,Y\) は,コルクと呼ばれる部分多様体の切り貼りで移り合う. その重要性のためコルクの研究は多く存在する一方,第 \(2\) Betti 数の小さい単連結閉 \(4\) 次元多様体の微分構造を変えるコルクの具体例は少ない. 例えば盛んにエキゾチック微分構造が研究されている \(\mathbb{CP}^2 \# k\overline{\mathbb{CP}^2}(k\geq 2)\) でさえ,そのコルクが見つかっている最小の \(k\) の値は \(k=9\) である. 本講演では \(\mathbb{CP}^2 \# 8\overline{\mathbb{CP}^2}\) の微分構造を変える具体的なコルクを与え,関連する研究を紹介する. >Download
新井 克典 (Arai Katsunori) 大阪大学大学院理学研究科数学専攻
有向空間曲面図式の彩色に関するgroupoid rackの普遍性について
有向空間曲面はS3 に埋め込まれた境界付き有向コンパクト曲面であり, S.Matsuzaki 氏によって有向空間曲面図式とそのReidemiester 変形が導入された. 本講演では有向空間曲面図式のReidemeister 変形に対応する公理を持った代数系である groupoid rack を紹介し, groupoid rack が有向空間曲面図式の彩色に関して普遍的な代数であることを述べる. >Download
米村 拳太郎 (Yonemura Kentaro) 九州大学大学院数理学府数理学専攻
球面カンドルの埋め込みと結び目の不変量
カンドル(quandle)は結び目を調べる際に用いられる代数系です。 近年、K.Ishikawaによって、smooth quandleと呼ばれる多様体構造を備えたカンドルが定義されており、等質空間と深い関係を持った対象です。 この講演では、結び目理論への応用に際して生まれたsmooth quandleのLie群への埋め込みに関する問題を紹介し、球面カンドルと呼ばれるカンドルの埋め込みに関する話をします。 >Download
柳田 幸輝 (Yanagida Koki) 東京工業大学理学院数学系数学コース
絡み目のparabolic Dijkgraaf-Witten不変量
Dijkgraaf-Witten不変量とは有向閉3次元多様体の不変量であった。 これをもとに、本研究では\(SL_2\mathbb{F}_q\)放物的表現を用い、絡み目の不変量となるparabolic DW 不変量を新たに定義した。 この不変量は、分岐被覆空間のテクニックまたは、カンドルコサイクルを用いる事で、``部分的に"比較的容易に計算できる。 本講演では、その定義と計算例を紹介する。 加えてKaruo氏が考案したreduced DW不変量はparabolic DW不変量から還元され、よって任意の結び目に対し結び目図式だけで計算可能な事も紹介する。 >Download
大野 走馬 (Ohno Soma) 早稲田大学大学院基幹理工学研究科数学応用数理専攻
Infinitesimal deformations of Killing spinors on nearly parallel G_2-manifolds
キリングスピノールを持つ多様体はアインシュタイン多様体である。 従って、キリングスピノールの変形を用いてアインシュタイン変形の一部を調べることが出来る。 本研究では、nearly parallel G_2 多様体において、キリングスピノールの無限小変形の空間を特定した。 また、同様の手法を用いることによりラリタ=シュウィンガー場の空間も特定した。 >Download
鹿俣 尚志 (Kanomata Naoyuki) 東京理科大学大学院理学研究科科学教育専攻
有限Grosse-Wulkenhaar模型における多点相関関数の厳密解
エルミート行列の行列模型であり\(3\)点相互作用があるGrosse-Wulkenhaar模型に関心がある.この模型は非可換空間であるモヤル空間のスカラー\(\phi^3\)理論にあるポテンシャルを入れた場の理論に対応する. 先行研究では,Ward-Takahashi恒等式を使って多点相関関数のSchwinger-Dyson方程式を導出し,ラージ\(N,V\)極限のもとで求められた. 本研究では,極限操作を行わず,有限Grosse-Wulkenhaar 模型における多点相関関数の厳密解を求めた. 任意の多点相関関数は,外場\(J\)が対角行列の場合の多点相関関数を使って計算できるということが知られている. したがって外場\(J\)が対角行列の場合の多点相関関数を厳密に計算した. >Download
丸山 修平 (Maruyama Shuhei) 名古屋大学大学院多元数理科学研究科
混合交換子長と不変擬準同型
本講演は川崎盛通氏(青山学院大), 木村満晃氏(京都大), 松下尚弘氏(琉球大), 見村万佐人氏(東北大)との共同研究に基づく. 群\(G\)の交換子群\([G,G]\)上に交換子による語長(交換子長)でノルムを入れ, その幾何構造を調べるという研究の方向がある. 群\(G\)とその正規部分群\(N\)をとり, それらによる交換子群\([G,N]\)にも同様に混合交換子長という自然なノルムを定義することが出来る. 本講演ではこの二つのノルムの距離幾何的な「違い」について, とくに自由群や曲面群, 3次元双曲多様体の基本群など幾何に由来する群の場合を中心に説明する. >Download

数理科学

古田 悠馬 (Furuta Yuma) 京都大学数理解析研究所
量子誤り訂正符号を用いた共形場理論の構成とブール関数による記述
共形場理論と誤り訂正符号の間には深いつながりがあり,古典的な誤り訂正符号を用いた正則な共形場理論の構成が知られていた。 この構成を用いると共形場理論の物理的な量を誤り訂正符号によって記述できるなどのメリットがある。 今回は近年発見された量子誤り訂正符号によるNarain CFTという非正則な共形場理論の構成について紹介する。 この構成を考えることの理論物理的な動機やブール関数による上の構成の記述とその数学的な意味について発表する予定である。 >Download
堤夏輝 (Tsutsumi Natsuki) 東京海洋大学学術研究院
データ駆動型微分方程式の導出
決定論的時系列データから微分方程式の導出を行う. はじめに時系列データから時間微分値の推定を行ったのち,それに対して動径基底関数を用いて回帰を行うことで,非線形の次数などの仮定をせずにデータを表現できる微分方程式を導出する. 導出された微分方程式は短期軌道を近似するだけでなく,統計的性質や不変集合も近似している. 本手法は偏微分方程式や遅延微分方程式などから生成されるデータにも適用可能であり,流体現象の表現にも成功している. 本研究は一橋大学齊木吉隆教授,東京海洋大学中井拳吾助教との共同研究である. >Download
山本 航大 (Yamamoto Kodai) 九州大学大学院マス・フォア・イノベーション連係学府数理学系
Observable Lyapunov Irregular sets for Planar Piecewise Expanding Maps
Lyapunov指数は力学系を解析していく上で重要な特徴の一つである。 私たちは、Lyapunov非正則集合と呼ばれるLyapunov指数が存在しないような点の集合が、Lebesugue測度正になるかという問題を考える。 本講演では、区分拡大写像について得られた結果を報告する。 本研究は、中野雄史氏(東海大学)と相馬輝彦氏(東京都立大学)との共同研究に基づくものである。 >Download
簗島瞬 (Yanashima Shun) 東京都立大学大学院理学研究科数理科学専攻
2曲線間に留まるよう条件付けられたランダムウォーク橋に対する不変原理
離散確率過程の最も基本的な例としてランダムウォークがある. 連続関数の空間において, ランダムウォークの線型保管がブラウン運動へ弱収束するという事実はDonskerの普遍原理として知られている(Donsker 1951). この結果はさまざまな形で拡張されており, 種々の条件付ランダムウォークの弱収束によってブラウン運動にまつわる確率過程が得られることが示されてきた(Iglehart 1973, Caravenna & Chaumont 2013). 本講演ではこれらの結果を総括した後, 講演者の新期の結果である「2曲線間に留まるよう条件付けられたランダムウォーク橋の弱収束」について紹介する. >Download
野萩 遼太郎 (Nohagi Ryotaro) 筑波大学大学院 理工情報生命学術院 数理物質科学研究群 数学学位プログラム
公約数ニムのグランディ数
公約数ニムは組合せゲーム、特に有限型不偏ゲームの一種である。 このクラスのゲームは二人で交互に手を打ち、各局面は必ず後手必勝か先手必勝かに分類される。 ここで、各局面に対し、終了局面から再帰的に定まるグランディ数という値を求められれば、局面の必勝判定が可能になる。 本講演では、有限型不偏ゲームの基礎事項と、基本的な不偏ゲームであるm山ニムのルールを変えた公約数ニムのグランディ数について解説する。 >Download
黒川 大雅 (Kurokawa Taiga) 京都大学大学院情報学研究科数理工学専攻
変分法によるポテンシャル系の孤立不変集合のコホモロジーの評価
サドル・センター近傍においては, Lyapunovの中心定理により, そのエネルギーより僅かに大きなエネルギーについて, 孤立不変集合が唯一の周期軌道からなることが保証される. Moeckel(2005)は, PCR3BPの直線平衡点L2について, 変分法を用いてエネルギー固定条件下で遷移軌道の存在を示し, Easton(1970)の結果を用いて孤立不変集合のコホモロジーの評価を行うことで, より大きなエネルギーについて孤立不変集合の位相的構造を調べることを可能にしている. 本研究では, より一般のポテンシャル系に対し, 同様の方法で孤立不変集合のコホモロジーの評価を行った. また, 遷移軌道の存在証明に, Moeckelの用いた変分構造の他に別の変分構造を利用できることを明らかにした. 本講演では, これらの結果について紹介する. なお, 本研究は指導教員である柴山允瑠先生(京都大学)との共同研究である. >Download
梶原 唯加 (Kajihara Yuika) 京都大学大学院情報学研究科数理工学専攻
面積保存写像から定まる変分問題
2次元面積保存写像\(f\)がツイスト条件と呼ばれる性質を満たすとき,\(f\)に対して,ある関数\(H\)が存在して,\(H\)の臨界点からもとの写像の軌道を定めることができる. つまり,\(H\)を用いて\(f\)に対する「離散的な変分問題」を考えることができる. 本発表では,通常の変分問題(微分方程式から定まる「連続的な変分問題」)の結果と比較しながら,周期軌道,ヘテロクリニック軌道,ホモクリニック軌道といった大域的に特徴づけされる写像の軌道を変分法によって構成する手法について述べる. >Download
原 渚彩 (Hara Nagisa) 京都大学大学院理学研究科 数学・数理解析専攻 数理解析系
Grothendieck inequality and its application
ベル不等式は、隠れ変数モデルの相関の上限を与えるものであった。 実験で上限の破れが検証されているのは知られているが、一方でまた、 ベル不等式の破れと、グロタンディーク不等式は深く関係していることが指摘されている。 後者は関数解析の重要な定理の一つであり、以来、 量子情報理論と関数解析との双方向的な研究が行われている。 本集会では、最近のグロタンディーク定理のアナロジーの進展と、 量子情報理論やコンピューターサイエンスなどの他分野への応用を解説する。 >Download
村山 武来 (Murayama Burai) 北海道大学大学院総合化学院総合化学専攻
Weight Rank Clique Filtrationを用いたパーシステント・ホモロジーによる実在分子の反応経路地図の可視化
ポテンシャルエネルギー曲面(PES)は分子の構造とポテンシャルエネルギーを対応付ける関数であり、化学反応の理論的基礎である。 化学系の反応経路を自動的に探索できるGRRMプログラムは、PESの重要情報を抽出した反応経路地図(RRM)を提供する。 本研究では、RRMを表す重み付きグラフに適用されるパーシステントホモロジーに基づき、RRMの特徴量を抽出する計算手法を開発した。 この手法を実際の分子に適用したところ、一定の化学的な特徴を反映していることが示唆された。 >Download
佐藤 純 (Sato Jun) 東京工芸大学 工学部工学科 情報コース
確率過程と微分型非線形シュレディンガー方程式
非対称単純排他過程(Asymmetric Simple Exclusion Process: ASEP)は,排除体積効果を持つ粒子が左右に非対称なレートでホッピングする古典確率過程模型である。 この排除体積効果をボソン系の相互作用で擬似的に表せることが知られており,その量子場は微分型非線形シュレディンガー方程式という可積分な非線形偏微分方程式で記述される。 逆散乱法を用いてこの初期値問題の解を構成し,元々の確率過程のダイナミクスとの対応を議論する。 >Download
弓林 司 (Yumibayashi Tsukasa) 株式会社ブレインパッド
体の拡大による高次元周期再帰方程式の生成
(\(n\))周期再帰方程式は任意の初期点が(\(n\))周期点となる様な再帰方程式と定義される。 本講演ではある周期再帰方程式を種として``体の拡大''の構造を利用し任意の次元の周期再帰方程式を生成する方法について紹介する。 また、不変周期点代数多様体を持つ離散可積分系は周期再帰方程式に分解出来る事が知られており、この構造が元の可積分系からどう見えるのかについても紹介する。 >Download
和知 秀忠 (Wachi Hidetada) 慶應義塾大学院理工学研究科基礎理工学専攻数理科学専修
Generalized exclusion processのスペクトルギャップの評価
スペクトルギャップはマルコフ過程の緩和時間の評価において重要な値であるが、複雑なマルコフ過程のスペクトルギャップを計算により直接求めることは困難である。 今回はinterchange processが持つ対称性と群作用に注目することで、generalized exclusion processのスペクトルギャップが, 同一グラフ上のrandom walkのスペクトルギャップに一致することを示した。 本研究は鐘ケ江和菜氏(慶應義塾)との共同研究である。 >Download
田中優帆 (Tanaka Yuuho) 早稲田大学大学院基幹理工学研究科数学応用数理専攻
サイクルの二乗グラフ上の乱歩における期待到達時間の解析
一般に与えられた無向グラフの族における期待到達時間の解析は困難な場合が多いが,サイクルの二乗グラフの族については,2014 年に Noureddine Chair 氏が,グラフの抵抗を介して,任意の二点間の 期待到達時間を表す閉じた式を与えている. 本研究では,Chair氏異なる方法を用いて,サイクルの二乗グラフの期待到達時間のシンプルな 式を与える. また,グラフ理論や Fibonacci 数列に関する公式についても意味づけ等を与える. >Download

代数

矢城 信吾 (Yashiro Shingo) 日本経済大学経済学部商学科
Curves on Rational Normal Scrolls
本講演では,種数\(2\)の非特異射影曲線とそれを部分多様体としてもつRational Normal Scrollの構成方法について述べ,Rational Normal Scrollの極小自由分解から,種数\(2\)の曲線の極小自由分解を構成する。 また時間が許せば,non ACMな曲線の埋め込みの極小自由分解についても併せて述べる。 >Download
杉本 奨吾 (Sugimoto Shogo) 早稲田大学大学院基幹理工学研究科数学応用数理専攻
特殊多項式のSchur多項式への変換公式
Schur多項式は表現論に現れる特殊多項式であり, Schubert calculusにおいては, Grassmann多様体のコホモロジー環のSchubert類を表す特殊多項式である. 多項式の特徴としては, 整数係数対称多項式環の基底である. つまり任意の対称多項式はSchur多項式の線型結合であらわすことができる. Schubert calculusにはSchur多項式以外にも様々な特殊多項式が現れ, ここでは対称な特殊多項式たちのSchur多項式への変換を与える. この研究は早稲田大学の中山勇祐氏との共同研究である. >Download
中山 勇祐 (Nakayama Yusuke) 早稲田大学大学院基幹理工学研究科数学・応用数理専攻
Homogeneous ACM bundles on Grassmannianians of exceptional types
Isotropic Grassmannianians上のhomogeneous arithmetically Cohen-Macaulay (ACM) bundlesの分類は\(A\)型の場合CostaとMiró-Roigによって知られていた. 最近 \(B,\ C,\ D\)型の場合はDu, FangおよびRenによって与えられた. 本公演では, 例外型のisotropic Grassmannianians上のhomogeneous ACM bundlesの分類に関する結果を紹介する. 応用として, 例外型のisotropic Grassmannianians上の既約なhomogeneous ACM bundlesはline bundlesのテンソルを除いて有限個であることを紹介する. さらに, Cayley Plane上の既約なhomogeneous bundlesがどのようなhighest weightを持つ時にACM bundlesになるのかを決定する. 時間が許せばFreudenthal varietyでも同様の結果を紹介する. >Download
村上 慎太郎 (Murakami Shintaro) 弘前大学院理工学研究科安全システム工学専攻
単項式指数をもつ空隙級数の数論的性質について
2019 年、V. Kumar は Kronecker の稠密定理を用いて、ある条件の下で単項式指数をもつ空隙級数の線形独立性に関する結果を与えた。 本講演では、Kumar の定理における条件を取り除き、線形独立性に関する結果の一般化をいくつか示す。 証明では、S. Chowla(1947) と P. Erd˝os(1948) らによる合同式を用いた空隙の発見法および、K. Mahler(1953) の結果から導かれる不定方程式の解の有限性を用いる。 >Download
高田 佑太 (Takada Yuta) 北海道大学大学院理学院数学専攻
Lattice isometries and K3 surface automorphisms
講演者は「どのような多項式がユニモジュラー偶格子上の自己同型の固有多項式として実現されるか」という問題に関する Bayer-Fluckiger の定理を,自己同型の行列式が\(−1\)である場合に拡張した. その応用として,\(20\)次のすべてのSalem数の対数が(非射影的)K3曲面の自己同型のエントロピーとして実現されることが証明できる. 本講演ではこれらについて紹介する. >Download
東根 一樹 (Higashine Kazuki) 山形大学理学部
A criterion for the existence of a plane model with two inner Galois points for algebraic curves
平面曲線\(C\subseteq \mathbb{P}^{2}\)に対し, \(P\in \mathbb{P}^{2}\)中心の射影により誘導される関数体の拡大がガロアであるとき, \(P\)を\(C\)のガロア点という. 深澤知氏(山形大学)は, 非特異代数曲線\(X\)に対し\lq \lq 非特異なガロア点を2つ伴う\(X\)の\(\mathbb{P}^{2}\)への双有理埋め込み'' が存在するための判定法を与えた. 本講演では, 上記深澤氏の判定法の, ガロア点が特異点である場合も許した形への拡張について紹介する. また, この拡張した判定法を用いて, 特異点であるようなガロア点を2つもつ平面有理曲線の例を構成する. >Download
高溝 史周 (Takamizo Fumichika) 大阪公立大学数学研究所
Finite beta expansions of natural numbers
Let \(\beta>1\) and define \(T\) on \([0,1)\) by \(T(x)=\beta x- \lfloor \beta x \rfloor\). Using the transformation \(T\), we have the expansion of \(x\geq 0\), called a {\it{beta expansion}} of \(x\), that is, $$x=c_{1}\beta^{L-1}+ \cdots + c_{L-1}\beta+c_{L}+\frac{c_{L+1}}{\beta} + \cdots + \frac{c_{n+1}}{\beta^{n}} + \cdots$$ where \(\beta^{L-1} \leq x < \beta^{L}\), \(c_{n}=\lfloor \beta x_{n} \rfloor\) and \(x_{n}=T^{n-1}(\beta^{-L}x)\). In this talk, we give a sufficient condition for each element of \(\mathbb{N}\) to have a finite beta expansion. Moreover we also find \(\beta\) with this finiteness property which deoes not have positive finiteness property. >Download
杉本 貴海 (Sugimoto Takami) 山形大学大学院理工学研究科理学専攻
周期が3の連分数展開とペル方程式の解
Keskin-Güneyは2019年の論文で\(d=k^2 \pm 1、k^2 \pm 4\)の場合にペル方程式 \(x^2 - dy^2 = \pm 1、\pm 4\)の解について考察した。 彼らはこれらの自然数に対して、\(\sqrt d\)の連分数展開を具体的に明らかにすることで、ペル方程式の自然数解を一般フィボナッチ数列と一般リュカ数列で表現した。 本講演では、\(\sqrt d\)の連分数展開の周期の長さが\(3\)となる自然数\(d\)を決定し、さらにこの場合にペル方程式\(x^2-dy^2=\pm 1、\pm 4\)の自然数解を一般フィボナッチ数列と一般リュカ数列を用いて表現する。 >Download
若尾 亮太 (Wakao Ryota) 岡山理科大学大学院理学研究科応用数学専攻
Yetter-Drinfeldデータを用いた低次元ホップ・スーパー代数の分類について
有限群のように有限次元ホップ代数の分類は盛んに行われている. 一方で,有限次元ホップ・スーパー代数の分類は始まって間もない. 本講演では,Yetter-Drinfeldデータと呼ばれる,ボゾン化のある意味での逆操作を与える対象を考えることにより,ホップ・スーパー代数の研究が可能であることを説明する. 特に,10次元以下のホップ・スーパー代数の完全な分類を与える. >Download
服部 真宗 (Hattori Masamune) 名古屋大学大学院多元数理科学研究科
Ding-Iohara代数のダイナミカル類似
Ding庵原代数と楕円量子群を統合する代数族について発表する. 量子アフィン環はDrinfeld余積によって位相的Hopf代数構造を持つ. Ding庵原代数や楕円量子群はこの構造の一般化や楕円類似として理解できる. 本講演では, 任意の有限ルート系と一定の条件を満たす構造関数に対して ダイナミカルDing庵原亜代数という位相的Hopf亜代数を導入し, 上述の代数系がこの亜代数族から復元されることを説明する. >Download
島田 了輔 (Shimada Ryosuke) 東京大学数理科学研究科数理科学専攻
Semi-Modules and Crystal Bases via Affine Deligne-Lusztig Varieties
There are two combinatorial ways of parameterizing the \(J_b\)-orbits of the irreducible components of affine Deligne-Lusztig varieties for GL_n and superbasic \(b\). One way is to use the extended semi-modules introduced by Viehmann. The other way is to use the crystal bases introduced by Kashiwara and Lusztig. In this paper, we give an explicit correspondence between them using the crystal structure. >Download
西中祐介 (Nishinaka Yusuke) 名古屋大学大学院 多元数理科学研究科 多元数理科学専攻
超対称頂点代数のオペラッド
頂点代数, 超対称頂点代数, およびオペラッドについての概説を行った後, 超対称頂点代数の構造を記述するオペラッドを導入する. このオペラッドを用いて超対称頂点代数の加群を係数にもつコチェイン複体が定義できることを説明し, その低次のコホモロジーを調べる. >Download
赤澤 涼 (Akazawa Ryo) 早稲田大学大学院基幹理工学研究科数学応用数理専攻
The derived category of Debarre-Voisin 20-fold
いくつかの高次元Fano多様体の導来圏の半直交分解に現れる, K3曲面の導来圏と類似の性質を持つパーツは, K3 categoryやnon-commutative K3 surfaceなどと呼ばれ, 元の多様体の幾何を調べる上で重要な情報を持つと考えられている. 本発表では特にDebarre-Voisinの20-foldの場合にフォーカスを当て, K3 categoryの基本性質といくつかの計算結果について紹介する. >Download
大楠 涼馬 (Ogusu Ryoma) 福岡大学大学院理学研究科応用数学専攻
トーリック曲面のフルヴィッツ多面体の頂点について
\(n\)次元射影多様体に対して\(X\times\mathbb{P}^{n-1}\)のSegre埋め込みに対する判別式をフルヴィッツ形式と呼ぶ. この講演では,GKZ理論に基づいて,トーリック曲面のフルヴィッツ形式のウェイト多面体の計算とその結果について具体例を交えて紹介する. >Download
吉田 智輝 (Yoshida Tomoki) 早稲田大学大学院基幹理工学研究科数学応用数理専攻
Full Exceptional Collections of Line Bundles on the Blow-up of P5 along Segre Threefold
代数多様体上の連接層の導来圏において,Kuznetsovのfullness予想とは,例外列の生成性とその長さの同値性を主張するものであり,連接層の導来圏分野における重要な予想の一つである. 本発表では,5次元射影空間をSegre 3-foldに沿って爆発することにより得られる多様体上では,直線束からなる例外列についてKuznetsovのfullness予想が成立することを具体的な計算と分類によって示す. >Download
大本 豊数 (Ohmoto Toyokazu) 岡山大学大学院自然科学研究科数理物理科学専攻
交代符号行列の高さ関数と順序イデアル
置換行列のある種の一般化である交代符号行列には高さ関数と呼ばれる行列を定めることができ, それを用いて交代符号行列全体の集合に順序構造を導入できる. 特に有限分配束を成すが, 有限分配束の基本定理により, 有限分配束\(L\)には, ある順序集合\(P\)が同型を除いて一意的に存在して, \(P\)の順序イデアルの成す順序集合\(J(P)\)と\(L\)が同型になる. 主に高さ関数の各成分について, 取りうる値の範囲に関する命題に注目し, それぞれの命題の関係性に基づいてそのような\(P\)の考察を行う. >Download
加藤 寛樹 (Kato Hiroki) 名古屋工業大学大学院工学専攻情報工学系プログラム情報数理分野
巡回グラフの同型問題
一般に有限グラフの同型問題はNPに属することが知られている. Ádámは1967年に, 巡回グラフ(巡回群のケーリーグラフ)に対しては簡単な方法で同型性が判定できると予想した. この予想の反例がElspas-Turnerによって1970年に発見され, その後の研究により反例が存在するような頂点数の特徴づけは得られているが, 具体的な反例の組織的な研究は文献では見当たらない. 本講演では, Ádám予想に関して, 頂点数が2の冪の場合に辺数が最小の反例を決定したことを報告する. >Download
山口 徹 (Yamaguchi Toru) 九州大学大学院数理学府数理学専攻
超平面配置のfree pathについて
超平面配置の自由性について, ある自由配置から1枚の超平面を抜いた配置について知られていることは多いが, 2枚抜いた配置については明らかになっていることがあまりない. 本講義では, 2つの自由配置間のfree pathの有無を考察することにより明らかになった, 2枚の超平面を抜いた配置の様子について紹介する. >Download
松本 孝文 (Matsumoto Takafumi) 神戸大学大学院理学研究科数学専攻
放物接続のモジュライ空間の記述
放物接続は微分方程式系の幾何学的対応物であり,そのモジュライ空間は接続の階数が2階の場合は具体的な記述がなされている. 本講演では射影直線上の3点で確定特異点を持つ3階の放物接続のモジュライ空間の記述について紹介する. >Download
伊城 慎之介 (Ishiro Shinnosuke) 日本大学大学院総合基礎科学研究科地球情報数理科学専攻
対数的正則局所環の正準加群について
対数的正則局所環は加藤和也先生によって数論幾何の研究の中で導入されたコーエン・マコーレー局所環のクラスである。 この環の特筆すべき点はトーリック環と似た構造を持つことと標数によらずに定義できることである。 その一方で未だに解明されていない可換環論的な性質は多い。 本講演では対数的正則局所環の正準加群の構造とそれを応用して対数的正則局所環がゴレンシュタイン環になるための判定法を紹介する。 >Download
星野 真生 (Hoshino Mao) 東京大学大学院数理科学研究科数理科学専攻
量子等質空間上の同変有限被覆の分類
Gelfand-Naimark双対性によると,可換C*環とコンパクトHausdorff空間は完全に等価な概念である. したがって原理的には被覆写像もC*環の言葉で言い表すことができ,実際に対応する条件が一般のC*環の間の単射に対して定義できる. 本講演ではそのような「量子被覆写像」を量子群作用がある状況で取り扱い,テンソル圏的な見方からある種の分類定理が得られることを概説する. >Download
戸澗 勇一郎 (Toma Yuichiro) 名古屋大学大学院多元数理科学研究科多元数理科学専攻
Functional equation for the multiple \(L\)-function
Multiple zeta(\(L\))-functions are the multiple analogue of the Riemann zeta(Dirichlet \(L\))-function, respectively. It is known that several multiple zeta(\(L\))-functions including the Tricomi confluent hypergeometric function are symmetric. In this talk, I would like to present a new result which is the \(\chi\)-analogue of the functional equations for the Mordell-Tornheim multiple zeta-function due to Okamoto and Onozuka. Also, I introduce an application of the result. >Download
及川 瑞稀 (Oikawa Mizuki) 東京大学大学院数理科学研究科
On equivariantly braided tensor categories
組紐(braided)テンソル圏は可換環の圏化であり、トポロジーや代数的場の量子論などの領域で研究されている。 一方、代数的場の量子論においてはさらに非可換群環の圏化が自然に現れ、当然組紐圏論では定式化できない。 本講演では、Turaevにより定式化された同変組紐圏論について紹介する。 時間があれば、講演者により導入された同変組紐圏の直積にあたる構成などにも触れたい。 >Download
鶴田 侑己 (Tsuruta Yuki) 山口大学大学院創成科学研究科基盤科学系専攻数理科学コース
最大公約数を含むオイラー関数の和公式について
2012 年に、Krätzel、Nowak と Tóth によって最大公約数を含む様々な数論的関数の総和公式が考察され、様々な方法で証明された。 本研究では、彼らの基本公式を利用して、最大公約数を含む Euler 関数の多次元化を考察し、非自明な総和公式を求める。 この結果は昨年度の日本数学会秋季総合分科会で発表した結果の一部改良に成功したものである。 >Download
山口 永悟 (Yamaguchi Naganori) 京都大学大学院理学研究科数学・数理解析専攻
遠アーベル幾何学におけるm次可解グロタンディーク予想について
グロタンディーク予想とは「曲線の基本群からその曲線の情報を完全に復元できる」という予想であり、遠アーベル幾何学において重要な問題の一つである。 これ自体は1990年代に中村博昭氏、玉川安騎男氏、望月新一氏らによって解決された。 本講演では、グロタンディーク予想のm次可解化、つまり「曲線の基本群``の最大幾何学的m次可解商"からその曲線の情報を完全に復元できる」という予想の詳細と、現在の状況を述べる。 >Download
安藤 遼哉 (Ando Ryoya) 東京理科大学理工学研究科数学専攻
Noetherとは限らない可換環上のホモロジー代数について
可換環論においてホモロジカル予想などホモロジー代数を用いた研究を行う際に,近年ではAndréによるパーフェクトイド代数とAlmost ring theoryを用いたbig CM予想の解決など,Noether環の研究であっても自然に非Noether環が自然に現れてくる. 本講演では,Noetherとは限らない環上におけるホモロジー代数的な研究を紹介し,その例としてSchenzelによるweakly proregular sequenceとそれに関連した講演者の研究を紹介する. >Download
石塚 伶 (Ishizuka Ryo) 東京工業大学理学院数学系
Perfectoid almost Cohen-Macaulay代数の明示的構成について
与えられたNoether環に対して、その上のnon-Noetherな代数の存在性や性質は可換環論において重要な役割を果たしている。 このような代数の性質としてとくにperfectoidやalmost CMが考えられており、正標数の完全閉包はこれらの性質を持つ。 本講演では、混標数において完全閉包の類似を構成し、それが同じ性質を持つことを示す。 本講演は下元数馬氏(日本大学)との共同研究に基づくものである。 >Download
仲里 渓 (Nakazato Kei) 名古屋大学大学院多元数理科学研究科
Noetherian perfectoid towers and their tilts
Nowadays the theory of perfectoid spaces is recognized as a powerful tool for studying commutative ring theory, but it heavily relies on delicate nature of non-Noetherian rings. To establish a general framework to apply the perfectoid theory in a Noetherian setting, we introduce a certain class of sequences of ring extensions that provide Noetherian approximation of perfectoid rings, and discuss their ``tilts''. As an application, we prove a mixed characteristic analogue of Polstra's finiteness theorem on divisor class groups of strongly \(F\)-regular rings. This talk is based on a joint work with Shinnosuke Ishiro and Kazuma Shimomoto. >Download
何 力 (Li He) 名古屋大学 大学院多元数理科学研究科
On Efimov K-theory
In this talk, I will introduce the Efimov (or continuous) K-theory and some basic properties of Efimov K-theory. Besides, I will introduce the connection between Efimov K-theory and motives. Furthormore, I will present a theorem of Efimov which gives a connection of Efimov K-theory and the nuclear solid modules introduced by Clausen-Scholze when they develop the condensed mathematics. >Download
石塚 康介 (Ishizuka Kosuke) 東北大学大学院理学研究科数学専攻
非アルキメデス的関数解析におけるコンパクト性
一般に完備非アルキメデス的付値体は局所コンパクトでないため, 通常のコンパクト性は非アルキメデス的関数解析において, 一般論を記述するのにふさわしくない. Gruson, van der Put はコンパクト性の類似物としてコンパクトイドを定義した. その後, A.C.M. van Rooij, Schikhof などによってコンパクトイドが研究された. 本講演では, コンパクトイド性の一種である局所コンパクトイドについて得られた結果を紹介する.. >Download
後藤 慶太 (Goto Keita) 京都大学大学院理学研究科数学・数理解析専攻数学系
On Affine Structures coming from Berkovich Geometry
SYZ ミラー対称性の研究において、SYZ fibrationが与えるアファイン多様体はカラビヤウ多様体のミラー対を構成する上で重要な対象であると考えられている。 本講演では、このSYZ fibrationによるアファイン多様体の構成の非アルキメデス類似を与える。 >Download
臺信 直人 (Dainobu Naoto) 慶應義塾大学大学院理工学研究科基礎理工学専攻
楕円曲線の等分体のイデアル類群について
有理数体\(\mathbb{Q}\)上の楕円曲線\(E\)の等分体は, \(\mathbb{Q}\)に\(E\)の等分点を添加して得られる代数体であり, 円分体の類似物としてみられる基本的な対象である. 講演者は最近, \(E\)の有理点で分岐に関する条件を満たすものを用いて, \(E\)の等分体のイデアル類群をGalois加群として考察した. その結果, このイデアル類群の(素数部分の)Galois加群としての半単純化という, ある種の既約分解について, その一部を明らかにできた. 本講演では, この結果を例を交えて紹介する. >Download