第13回数学総合若手研究集会
~数学の交叉点~
The 13th Mathematics Conference for Young Researchers

アブストラクト

   

解析

松井 蘭丸 (MATSUI Ranmaru) 筑波大学大学院数理物質科学研究科数学専攻
圧力安定化法による近似Navier-Stokes方程式の考察
NavierとStokesによって導出されたNavier-Stokes方程式の解析は,数値解析的にも工業的にも重要であることが知られているが,未解決問題として未だに残っている問題だ.講演では,非定常Navier-Stokes方程式を数値解析で用いられる手法の一つである圧力安定化法により近似した方程式系を扱う.この方程式系に対して,時間局所解の一意存在を最大正則性原理から示すことがこの講演の目的である.
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板倉 恭平 (ITAKURA Kyohei) 神戸大学大学院理学研究科 数学専攻
シュタルクハミルトニアンにおける一般化固有関数の非存在について
ハミルトニアンの固有関数と言えば,自乗可積分関数を考えるのが普通である.しかしそれでは遠方での減衰が強すぎるため,固有関数についてはもう少し広い空間で扱うほうがより自然に感じられる.そこで,超関数の意味でシュタルクハミルトニアンの固有関数となっている「一般化固有関数」を考える.今回は,自乗可積分空間を真に含むある関数空間における一般化固有関数の非存在について紹介する.
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小森 大地 (KOMORI Daichi) 北海道大学大学院理学院数学専攻
局所コホモロジー群の直観的表示とその応用について
hyperfunctionの理論は佐藤幹夫によって考案されたが、正則関数の層を係数として持つ局所コホモロジー群の理論を用いた代数的な記述されており、抽象的で容易に理解できるものではなかった。そこで金子晃、森本光生によってより直観的に理解の得やすい定義が与えられた。本講演ではこの直観的な定義を一般の層を係数とする局所コホモロジー群にまで拡張し、それを可能とする枠組みを構成する。本研究は北海道大学の梅田耕平氏との共同研究である。
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中井 拳吾 (NAKAI Kengo) 東京工業大学理工学研究科数学専攻
分数冪Navier-Stokes 方程式の解の延長と渦度の方向ベクトルの関係について
3次元Navier-Stokes 方程式の初期値が大きい場合のコーシー問題について滑らかな時間大域解が存在するかという問題はミレニアム問題の一つである. これまでの研究により弱解の存在は知られているが有限時間が解が爆発するか否かは不明である. そこで本発表ではNavier-Stokes 方程式の粘性項を\(\nu(-\Delta)^{2/\alpha}u\)と拡張したものも含めて, 渦度の方向ベクトルとその渦度の大きさに注目し解が爆発しない条件を考察する.
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布田 徹 (FUDA Toru) 北海道大学大学院理学研究院数学部門
離散時間1次元2状態量子ウォークの局在化
離散時間1次元2状態量子ウォーク,特にスプリット・ステップ量子ウォークを一般化したモデルを考える.このモデルの局在化と呼ばれる現象の生起について詳しく見る.局在化とは,大雑把に言って「長時間極限において,存在確率が正の値を持つような特別な\(\mathbb(Z)\)の元が存在する」という現象であり,量子ウォークにおいては主要な研究対象の一つである.本講演では,モデルの定義からはじめ,スプリット・ステップ量子ウォークと我々のモデルとの関係・局在化と固有値の関係・局在化のための十分条件等を紹介する.本研究は船川大樹氏 (北海道大学),鈴木章斗氏(信州大学) との共同研究に基づく.
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船川 大樹 (FUNAKAWA Daiju) 北海道大学大学院理学研究院数学部門
固有値を使った多次元量子ウォークの局在化の解析について
離散時間で時間発展する多次元量子ウォークを考える。本講演ではまず多次元量子ウォークの時間発展を記述するユニタリ作用素\(U\) を紹介し、\(U\) の局在化について考察する。局在化とは無限の時間発展を繰り返した先で、粒子がある位置に残り続ける現象である。本講演ではU の固有値の存在についてを調べる。更に\(U\) のスペクトルと局在化の関係性について述べ、\(U\) が局在化を起こす十分条件を紹介する。尚、本研究は北海道大学の布田徹氏と信州大学の鈴木章斗氏との共同研究である。
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神田 智弘 (KANDA Tomohiro) 九州大学大学院数理学府数理学専攻
新たなアプローチとしてのレゾルベントCCR環:KMS状態の存在性と一意性
D. BuchholzとH.GrundlingによりレゾルベントCCR環が定義された(J.F.A. 2008).この環は今まで用いられてきたワイルCCR環よりも1径数自己同型群が多く定まることが分かった.私たちはレゾルベントCCR環の上である1径数自己同型群とそれに付随するKMS状態を考え,一意性を示した(2016, arXiv:1601.04809).今回,スピン系との対比を用いて私たちの結果を紹介する.この研究は松井卓教授との共同研究である.
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櫻庭 みく (SAKURABA Miku) 室蘭工業大学大学院工学研究科情報電子工学系専攻
非線形波動方程式の解の大域存在と爆発
本発表では, 初期値の台がコンパクトの場合の空間3次元における非線形波動方程式について考えます. 具体的には,非線形項が未知関数のべき乗と時間減衰する項の積の場合に,小さい初期値に対して時間大域解が存在する指数の条件を明らかにしました。 更に, Fritz John(1979)の手法を応用して,爆発解のライフスパンの上下からの評価を導いたので紹介します.
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Rodríguez Mulet Albert (RODRÍGUEZ MULET Albert) 北海道大学大学院理学院数学専攻
細い柱状の弾性体の固有振動
弾性体に於ける振動はラメ作用素という楕円型作用素で表すことができます。 本発表では、充分滑らかな境界を持つ\(\mathbb{R}^2\) 有界単連結開集合に対応するシリンダーを考え、細くなっていく場合のラメ作用素の固有値や固有関数について議論します。 具体的にミニマックス法を用い、固有値のオーダーやほぼ陽的に得られる極限を紹介します。更に、シリンダーが傾いている時の場合とも比較します。
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板坂 健太(ITASAKA Kenta) 北海道大学大学院理学院数学専攻
ベンジャミン・オノ方程式の\(B^{9/8}_{2,1}(R)\)における時間局所適切性について
本ポスター発表では, ベンジャミン・オノ方程式の\(B^{9/8}_{2,1}(R)\) における時間局所適切性を紹介する. 証明の鍵になるのは, \(\Delta_j u\) に対するlocal smoothing effect であり, それを足し合わせることで\(B^{9/8}_{2,1}(R)\) において必要な評価が得られる.
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江藤 修(ETO Shu) 北海道大学大学院理学院数学専攻
分散型偏微分方程式の初期値問題における平滑化評価のモデル評価の構成と改良
タイトルのとおり,分散型偏微分方程式の平滑化評価について述べる.ここでは,非相対論シュレディンガー方程式の\(Δ_x\) 項をフーリエマルチプライヤー\(a(D)\) に一般化した初期値問題を扱い,その平滑化評価を極座標ノルムを用いて改良する.
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可香谷 隆(KAGAYA Takashi) 東京工業大学大学院理工学研究科数学専攻
二相分離モデルにおける接触エネルギーの効果について
界面エネルギーと接触エネルギーの総エネルギーに対し,体積保存条件つきの臨界点には接触角が現れる.この総エネルギーはCahnやHilliardによる二相分離モデルの考察と関連を持ち,これらの理論をもとにModicaは数学的に上記の総エネルギーの摂動を記述し,さらに\(\Gamma\) -収束の意味で摂動になっていることを示した.本講演ではModicaの理論の拡張にあたる,臨界点の収束性に関する研究を紹介する.
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梶原 尭(KAJIWARA Takashi) 首都大学東京理工学研究科数理情報科学専攻
空間非一様性をもつFitzHugh-Nagumo型反応拡散系におけるヘテロクリニック解の存在について
FitzHugh-Nagumo型反応拡散系(FHNモデル)は,自然界に現れる様々なパターンの形成メカニズムを表現するモデルとして知られ,様々な分野で研究されている.我々は空間非一様性を持つFHNモデルを対象とし,このモデルに付随するエネルギーを最小化する問題(変分問題)を考えた.本講演では,この変分問題を通じて,二つの安定な平衡点を結ぶ解(ヘテロクリニック解)の存在に関する話題を取り扱う.
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長尾 秀人(NAGAO Hidehito) 明石工業高等専門学校
Painlev'e equations of type VI and \(q\)-\(D^{(1)}_5\) arising from Pad'e approximation
Pad'e近似と呼ばれる有理関数による近似を応用して,2階線形微分方程式を構成すると,超幾何微分方程式になることが古くから知られている.さらに,その非線形化として,Painlev'e方程式と呼ばれる2階非線形微分方程式を構成できることが知られている.最近になって,その\(q\)差分的離散化として,affine Weyl 群対称性を持つ\(q\)差分的離散Painlev'e方程式が構成されている.本講演では,Painlev'e方程式VI型及び,その\(q\)差分化である\(q\)-Painlev'e方程式\(D_5^{(1)}\)型について報告する.
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紫垣 孝洋(SHIGAKI Takahiro) 神戸大学大学院理学研究科数学専攻
非線形固有値問題に現れる微分方程式の解のBorel総和可能性について
方程式\(y′(x)=cos[πxy(x)]\) について,\(y(x)\sim (2n-1/2)/x(x→+∞)\) なる解の初期値\(y(0)=:a_n\) は\(a_n\sim 2^{5/6}\sqrt{n}(n→∞)\) と振る舞うという結果をBender, Fring, Komijaniは2014年に発表した.このように特別な漸近挙動をもつ初期値の振る舞いを調べる問題を非線形固有値問題という.彼らの得た結果を完全WKB解析の手法を用いて示すために,パラメータについてのべき級数解を構成し,そのBorel総和可能性について考察したので本講演ではその結果について説明する.
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幾何

大森 源城 (OMORI Genki) 東京工業大学大学院理工学研究科数学専攻
向き付け不可能曲面の写像類群とDehn twist
曲面の写像類群とは、その曲面の自己微分同相写像のアイソトピー類からなる群であり、その部分群で全てのDehn twist によって生成されるものをツイスト部分群と呼ぶ。本講演では、向き付け不可能曲面のツイスト部分群のDehn twist からなる小さい生成系について紹介する。「この生成元の個数」と、廣瀬氏によって与えられた「Dehn twist によるツイスト部分群の生成元の個数の下からの評価」の差は1である。
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久野 恵理香(KUNO Erika) 東京工業大学大学院理工学研究科
向き付け不可能曲面の写像類群のアーベル部分群
Birman-Lubotzky-McCarthy が向き付け可能曲面の写像類群のアーベル部分群は有限生成であることを示し, 更にその torsion-free rank の上からの評価を与えた. 本講演では Birman-Lubotzky-McCarthy の議論を向き付け不可能曲面の場合に適用し, その写像類群の torsion-free なアーベル部分群と同型になる群を見つけたことについて報告する.
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石地 知興 (ISHIJI Tomooki) 東京工業大学大学院理工学研究科数学専攻
2次元ブレイドの一般化
\(D^2\times D^2\) に埋め込まれた曲面としての2次元ブレイドを任意のコンパクト曲面をファイバーとしてもつものへと拡張した。それを\(\Sigma\) ‐2次元ブレイドと呼んでいる。分岐していない\(\Sigma\) ‐2次元ブレイド全体は群となり、\(\Sigma\) の内部の配置空間の2次ホモトピー群と同型であることが分かった。また、2次元ブレイドとしては同値ではないが、\(S^2\) -2次元ブレイドとしてみると同値になる例を構成した。次数が偶数の\(S^2\) -2次元ブレイド上分岐する\(S^2\times D^2\) の2重分岐被覆をとるとLefschetz fibrationが現れる。このLefschetz fibrationを用いることにより、次数が\(2m\geq 6\) の\(S^2\) -2次元ブレイドの不変量を発見した。
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大場 貴裕 (OBA Takahiro) 東京工業大学大学院理工学研究科数学専攻
円盤上の非同型な高次元Lefschetzファイバー空間について
円盤上の高次元Lefschetzファイバー空間の構成には、Lefschetz双ファイバー空間を考えるのが有効である。Lefschetz双ファイバー空間とは、簡潔に言うと、Lefschetzファイバー空間のファイバーがまたLefschetzファイバー空間の構造を許容しているものをいう。この講演では、Lefschetz双ファイバー空間を用いて、互いに非同型な高次元Lefschetzファイバー空間の無限族で、その境界には同型なオープンブック分解を誘導するものを紹介する。
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数川 大輔 (KAZUKAWA Daisuke) 東北大学大学院理学研究科数学専攻
空間の収束におけるエネルギー汎関数の収束と曲率次元条件の安定性
測度距離空間の列が測度付きGromov-Hausdorff収束するとき, それらの上の\(L^2\) 関数の列に収束の概念が定義されており, \(L^2\) 空間の上のエネルギー汎関数の収束性が研究されている. 本講演では, 集中位相と呼ばれるより弱い位相に関する空間の収束の下でのエネルギー汎関数の収束性の研究のうち, 特に, あるファイブレーションをもつ空間列に対して, エネルギー汎関数がMosco収束するという結果を紹介する。 また, 応用として, このような空間列のリーマン的曲率次元条件の安定性が得られる.
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中村 謙太 (NAKAMURA Kenta) 九州大学大学院数理学府
Willmore型超曲面の剛性
体積一定の下でWillmoreエネルギーの臨界点となる\((n+1)\)次元ユークリッド空間にはめ込まれた超曲面\(X\) すなわち\(\Delta H-\frac{1}{2}H^3=\lambda H\) を満たすものをWillmore型超曲面と呼ぶ.ここで,\(H\) は\(X\)の平均曲率,\(\lambda\) はEuler-Lagrange乗数である.講演では古典的なWillmore曲面と関連づけながらWillmore型超曲面の剛性についての結果を述べる.
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中島 啓貴 (NAKAJIMA Hiroki) 東北大学大学院理学研究科数学専攻
\(n\)次元実射影空間のオブザーバブル直径
測度距離空間の理論においてGromovはオブザーバブル直径という量を定義した。これは測度の集中現象の理論おいて、測度距離空間の集中の度合いを表す不変量である。現在、\(n\) 次元球面のオブザーバブル直径の値は正確に知られている。本講演では、\(n\) 次元実射影空間に対しても正確に求められないかという問題への取り組みについて紹介する。オブザーバブル直径の評価への新しいアプローチとして、ある不変量を導入した。
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赤嶺 新太郎 (AKAMINE Shintaro) 九州大学大学院数理学府数理学専攻
時間的極小曲面の特異点とガウス曲率
3次元ミンコフスキー空間内の時間的曲面は,空間的曲面や3次元ユークリッド空間内の曲面とは異なり,常に実の主曲率が取れるとは限らない.これは時間的極小曲面の場合には,平坦点が二種類の``臍点’’からなること,ガウス曲率の符号が決まらないことに対応する.本講演では,時間的極小曲面のガウス曲率の符号はどのような条件で決まるか,また曲面がある種の特異点を許容する場合にその近傍でガウス曲率がどのように振る舞うかといったことを考察する.
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三口 雄大 (MIGUCHI Katsuhiro) 大阪大学大学院理学研究科数学専攻
earthquake変形を与えるmeasured geodesic laminationの計算
双曲的な曲面を1つ固定すると、そこに入る双曲構造2つの間には、あるmeasured geodesic laminationから定まるearthquakeと呼ばれる変形が存在することが知られている。簡単な曲面の場合、いくつかの曲線の長さで双曲構造のパラメータをとることで、方程式を解くことによりそのmeasured geodesic laminationを具体的に求めることができる。本講演では、3つ穴あき球面や1つ穴あきトーラスの場合について考察する。
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寺本 圭佑 (TERAMOTO Keisuke) 神戸大学大学院理学研究科数学専攻
波面の主曲率とその応用
波面と呼ばれる特異点を持つ曲面のクラスがある。近年,波面の微分幾何学的な研究が活発に行われており,多くの不変量が得られている。 本講演では,波面の主曲率の一方が特異点においても有界となるための条件と波面の不変量との関係を述べる。また,応用として,波面の平行曲面や焦曲面について得られた結果を紹介する。
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本多 俊一 (HONDA Shun'ichi) 北海道大学大学院理学院数学専攻
フレネ型枠付け可能曲線の展直可展面と定傾曲線
ユークリッド空間内のフレネ枠を持つ正則曲線 から生成される可展面の一つとして,[Izumiya-Katsumi-Yamasaki, 1999] において導入された展直可展面がある.本講演では,展直可展面の概念を曲線が特異点を持ち得る場合に拡張し,その基本的な性質を紹介する.具体的には,フレネ型枠付け可能曲線に対して展直可展面を定義し,[Honda-Takahashi, 2016] における枠付き曲線の理論を利用する.いくつかの新しい不変量を導入し,展直可展面の特異点型や定傾曲線との関係を紹介したい.
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青木 雅允(AOKI Masamitsu) 北海道大学大学院理学院数学専攻
有理Gorenstein空間上のストリングトポロジー
ChasとSullivanによるストリングトポロジーをFelixとThomasはGorenstein空間上へと拡張した。Naitoは、有理ホモトピー論を用いて有理Gorenstein空間上の双対ループ(余)積について調べ、Frobenius代数の構造があることを示した。本ポスターでは、有理ホモトピー論における極小Sullivan模型を用いた双対ループ(余)積の計算手法を解説し、具体的な計算結果について述べる。
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中村 聡(NAKAMURA Satoshi) 東北大学大学院理学研究科数学専攻
偏極トーリック多様体に対する対数的チャウ半安定性のある必要条件について
対数的チャウ安定性とは,射影代数多様体とその因子の組に対して定義される,代数幾何学的 (特に幾何学的不変式論的) 概念である.一方微分幾何学的には,射影代数多様体上のケーラー計量で,因子で特異点(conical singurality)を持つものの存在との関連が指摘さている概念である. 本講演では,トーリック多様体とそのトーリック因子に対して,安定性の障害について得られた結果を紹介する.また,種々の具体例でこの障害を計算し,上記の特異計量の存在との関連性を紹介する.
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只野 誉(TADANO Homare) 大阪大学大学院理学研究科数学専攻
Some Cheeger-Gromov-Taylor Type Compactness Theorems via the Modified Ricci Curvature
完備な Riemann 多様体がコンパクトになるための良い条件を与えることは微分幾何学において最も基本的な問題の一つであり, S. B. Myers によるコンパクト性定理が有名である. 本講演では Ricci 曲率の自然な一般化である modified Ricci 曲率や \(m\) -modified Ricci 曲率を用いて Cheeger-Gromov-Taylor 型のコンパクト性定理を与える.
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藤沢 好(FUJISAWA Ko) 北海道大学大学院理学院数学専攻
同変\(\check C\)ech-deRham理論とその応用
よく知られているように、Atiyah-Bott-Berline-Vergneの局所化公式は同変閉形式の積分計算において非常に有用なツールとなっている。この公式は同変普遍Thom形式を用いて証明されるが、この存在および具体的な構成はMathai-Quillenらによるフェルミオン積分や超対称性の議論を介してなされてきた。本公演ではこの同変普遍Thom形式を、同変\(\check C\)ech-deRham理論の枠組みで導入する。すなわちこの理論において、同変普遍Thom形式はある同変Chern formの局所化として得られる。この方法はMathai-Quillenらの方法と比べてより初等的かつ簡明であり、様々な面で優れたツールを提供してくれるものである。
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Cho Joseph (CHO Joseph) 神戸大学理学研究科数学専攻
Constant mean curvature surfaces in hyperbolic 3-space with curvature lines on horospheres
Following the work of Wente on minimal surfaces in hyperbolic 3-space with one family of curvature lines on spheres, we classify constant mean curvature surfaces in hyperbolic 3-space with one family of curvature lines on horospheres. In doing so, we investigate the relationship between such surfaces and constant mean curvature rotation surfaces, both analytically and geometrically.
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小林 和志 (KOBAYASHI Kazushi) 千葉大学大学院理学研究科基盤理学専攻数学・情報数理学コース
1次元複素トーラス上の安定ベクトル束の成す完全三角系列について
ホモロジー的ミラー対称性予想はある2つの三角圏の同値性として定式化されるが, 特に, その対象として連接層 (正則ベクトル束) とラグランジュ部分多様体が対応する. ここでは, ミラー対として2次元シンプレクティックトーラスと1次元複素トーラスのペアをとり, 1次元複素トーラス上で定義される安定ベクトル束の成す完全三角系列について, それらと対応するラグランジュ部分多様体の成す深谷圏についても考察しつつ議論する.
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劉 曄 (LIU Ye) 北海道大学大学院理学研究院数学部門
Cohomology of Artin groups
Artin groups are a kind of generalization of the classical Artin braid groups. We survey the \(K(\pi,1)\) conjecture and cohomology of Artin groups. We also introduce some recent results.
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数理

中村 文彦 (NAKAMURA Fumihiko) 北海道大学大学院理学院数学専攻
南雲・佐藤モデルにノイズが加えられたシステムの漸近的周期性
脳内ニューロンの発火現象を記述することで知られるカイヤニエロの神経方程式を単純化した南雲・佐藤モデルは、ほとんどのパラメータに対して周期的な挙動を示すことが知られている。本講演ではまず、本モデルの持つ複雑な周期構造について紹介する。その後、本モデルにノイズが加えられた力学形を考察し、加えるノイズの大きさに応じて、もともと持っていた周期性が保存される場合と失ってしまう場合があることを示す。
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篠田 万穂 (SHINODA Mao) 慶應義塾大学大学院基礎理工学専攻
エルゴード最適化問題と非可算個のエルゴード的なmaximizing measureを持つ関数の稠密性
エルゴード最適化問題における中心的な問題は, 力学系上の関数に関する空間平均\(\int \phi d\ \mu\) を最大にする不変測度, maximizing meausreの選出である. 本講演では, 軌道の指数的不安定性を表すLyapunov指数を最大化するという問題をmaximizing measure と結びつけ, 非可算個のエルゴード的なmaximizing measure を持つ関数がC^0位相で稠密に存在するという結果を紹介する.
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福田 一貴 (FUKUDA Ikki) 北海道大学大学院理学院数学専攻
一般化されたKorteweg-de Vries-Burgers方程式の解の漸近挙動
本公演では, 非線形波動現象を記述する方程式の一つである, 一般化されたKdV-Burgers方程式の解の漸近挙動を取り扱う. この方程式の解については, 非線形散逸波と呼ばれるBurgers方程式の自己相似解が漸近形となることが知られている. 本研究では第2漸近形の構成を用いて, その非線形散逸波への最適な漸近レートを得た. この結果は, 過去のKdV-Burgers方程式に関する結果を改良してかつ, 一般化されたBurgers方程式に関する結果を包含したものとなっているので, 過去の結果と比較して紹介する.
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半田 悟 (HANDA Satoshi) 北海道大学大学院理学院数学専攻
高次元イジング模型における「1-arm 指数」の上限評価
強磁性相転移現象を記述する統計力学模型として「イジング模型」というものが知られている.その臨界指数の中で「1-arm指数」と呼ばれる未解決の臨界指数がある.高次元における1-arm指数の平均場の上限評価を得る事ができた.「ランダムカレント表現」と呼ばれる確率幾何学的な表現を用いて相関不等式を導き,評価をすることができる.これはMarkus Heydenreich氏と坂井 哲 氏との共同研究である.
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横田 真秀 (YOKOTA Maho) 東京理科大学大学院理学研究科
禁止グラフによって定義される集合の包含関係について
グラフHが与えられたとき、グラフの族Fで、H-freeかつF-freeでないグラフが有限個しかないようなものは、自明なものを除くとHの位数に対してある程度大きいものしか存在しないことを証明したため、この結果を紹介する。
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武藤 誠 (MUTO Makoto) 一橋大学大学院商学研究科
ヒルベルト変換を使用した為替レートの同期解析
本研究では、二国の為替レート時系列データの間に存在する同期レベルの解析を行う。二国の為替レートが同じ方向に動くという現象はよく観察される。その理由として、為替レート安定化のための為替制度や二国間に存在する強い経済関係の影響などが考えられる。本研究の目的は、そのような為替レートの同期レベルをヒルベルト変換などを用いた同期理論の手法に基づいて解析し、分析対象国の為替に関する動向や制度について新たな知見を得ることである。
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若林 昌平 (WAKABAYASHI Shouhei) 法政大学大学院理工学研究科システム理工学専攻
Hestonモデルに対するRobbins-Monro法を用いたリスク測度計算
金融機関ではリスク管理上, 確率的に起こりにくいが起きれば大きな損失を生む事象に対してリスク計測をする必要がある. ここでは, 株価がHestonモデルと呼ばれる確率微分方程式に従うとし, そのリスク量(VaRとCVaR)を考える. それらにモンテカルロ法を用いた誤差評価を与える. また, Bardou, Frikha, Pages[2009]で与えられたRobbins-Monro法及び分散減少法を用いた改良Robbins-Monro法をHestonモデルに適用した結果と比較する.
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茶木 直人 (CHAKI Naoto) 法政大学大学院理工学研究科システム理工学専攻
確率微分方程式のパラメータ推定手法の比較
現在, 金融市場では金融派生商品が多く取引されており, その価格付けが必要である. その際に, 株価などの価格過程は確率微分方程式により表されることが多く, 確率微分方程式の未知のパラメータをデータから推定する必要がある. ここでは, オイラー・丸山近似を用いてデータを生成し, いくつか提案されている確率微分方程式のパラメータの推定方法を適用していく. その推定方法の違いによる推定結果への影響を考察する.
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蛇口 紘史 (HEBIGUCHI Hirofumi) 法政大学大学院理工学研究科システム理工学専攻
ハザードレート推定に関わる推定誤差とクレジットデリバティブへの影響
企業や国の倒産のリスクに関係する金融商品をクレジットデリバティブと呼ぶ. その数理モデル化の際に, 倒産頻度を表すハザードレートを用いる方法がある. そこでハザードレートが観測できない確率微分方程式に依存する場合がよく考えられるが, 実際にはその確率微分方程式のパラメータやハザードレートを推定する必要があり, 推定誤差が含まれる. 本研究ではそのパラメータ推定誤差やフィルタリングを用いたハザードレートの推定誤差がクレジットデリバティブに与える影響を考察する.
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藤田 創 (FUJITA Sou) 自由学園最高学部(大学部)
社会的行動と感性のモデル化に向けて
本発表では,人間が集団の中で起こす社会的な交互作用,主観的印象による感性情報と感性を生じさせる対象の物理量との関係を学習する方法の事例を紹介する.必ずしも合理的な行動をしない人間の感情や行動に関する複雑ネットワーク・データサイエンスおよび社会学・デザイン学の協働とこれからの発展可能性について考察する.なお,本研究は4名による共同研究である.
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佐藤 純 (SATO Jun) 東京大学 先端科学技術研究センター 数理創発システム分野 西成研究室
閉じた境界条件における吸脱着つきASEPの定常状態
閉じた境界条件におけるASEPは,古くから知られているように\(U_q(sl_2)\)の対称性を持ち,それを用いて厳密に定常状態が構成される.今回我々は,これに吸脱着の効果を取り入れた模型の定常状態を考察する.吸着と脱着の比を有限に保ったまま吸脱着をゼロにする極限を考えると,定常状態が閉じた形に書けることを提案する.これを用いて粒子分布を計算し,超幾何関数およびその\(q\)変形が現れることを見出した.
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上島 芳倫 (KAMIJIMA Yoshinori) 北海道大学大学院理学院数学専攻
体心立方格子上の最近接自己回避歩行に対するレース展開
最近接自己回避歩行は臨界現象を示し,それは臨界指数によって特徴付けられる.一般に,十分高次元では,臨界指数は簡単な値に退化する.そのことを証明する手法がレース展開である.\(\mathbb{Z}^d\) 上では1992年に原とSladeによって,\(d\geq 5\) で示された.その論文は結果と証明で120頁以上にも及ぶ.それを,体心立方格子上で考えることにより,20頁前後にすることが可能になった.現在,\(d\geq 6\) までで証明が完成している.
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弓林 司 (YUMIBAYASHI Tsukasa) 大妻女子大学社会情報学部
可積分理論に於ける“三角圏”構造
本講演では、可積分理論、特に、ソリトン理論の雛形である佐藤理論、其の基礎方程式たる広田三輪方程式を、八面体空間上の場の理論の方程式と見做し、其の “三角圏” 構造を議論したい。
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寺西 功哲 (TERANISHI Noriaki) 北海道大学大学院理学研究院数学部門
一般化されたスピンボソンモデルの自己共役性
非相対論的粒子とボソン場の相互作用するモデルの一つに、一般化されたスピンボソンモデル(以下単にGSBモデルという)がある。通常のGSBモデルの相互作用項は\(B\otimes\phi(g)\)であるが、今回は高次の\(I\otimes\phi(g)^{2n}\)の形の特異摂動を加えた場合の自己共役性について述べたい。
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田中 吉太郎 (TANAKA Yoshitaro) 北海道大学大学院 理学研究院数学部門
非局所発展方程式の反応拡散近似
近年,対象までの距離に依存して働きをかえる空間大域的に影響を及ぼす相互作用の存在が報告され,合成積つきの発展方程式が提案されている.この合成積の積分核の形によって,発展方程式の解が不安定化することが報告されているが,積分核の形と解の不安定化の関係は不明であった.講演では,合成積つきの発展方程式を反応拡散系で近似することで両者の関係を説明し,さらに解の不安定化について発表を行いたい.
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代数

佐竹 翔平 (SATAKE Shohei) 名古屋大学大学院情報科学研究科 計算機数理科学専攻
The automorphism group of the countable random graph, tournament and digraph
1963年のErdős-Rényiの仕事を起点として,ランダムグラフ(またはRadoグラフ)の自己同型群が研究されてきた. 現在ではP.J.Cameron氏らによる,多くの 非常に興味深い結果が知られている.本講演では,その自己同型群に関するこれまでの結果を紹介し,ランダムグラフのトーナメント(完全グラフの向き付け)ならびに有向グラフ類似の自己同型群に関する講演者の結果についても述べる.
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赤坂 健介 (AKASAKA Kensuke) 室蘭工業大学大学院 情報電子工学系専攻
有限体上の2次形式に付随する指標和について
\(q=p^{m}(p:奇素数)\)とする.有限体\(\mathbb{F}_{q}\)に成分をもつ\(n\)次対称行列と\(\mathbb{F}_{q}^{\times}\)の指標\(\chi\)に対して, \begin{equation*} h(A,\chi)=\sum_{U\in SL_{n}(\mathbb{F}_{q})}\chi\left(tr(^{t}UAU)\right) \end{equation*} と定義する.ただし\(\chi(0)=0\)とおく.これはジーゲル・カスプ形式に付随し,いわゆる\(Twiste Koecher-Maass\)級数に応用されている.\(m=1\)のとき,\(h(A,\chi)\)は\(H.Katsurada\)によって求められている.本講演では\(m\)が一般のときについて\(h(A,\chi)\)を\(H.Katsurada\)とは別の方法で求める.
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伊東 良純 (ITO Ryojun) 千葉大学大学院理学研究科基盤理学専攻数学情報数理学コース
一般超幾何関数を経由した虚数乗法を持つ楕円曲線のBeilinson予想
2012年、Rogers氏とZudilin氏は導手27の楕円曲線の\(L\)関数の\(s=2\)での値\(L(E_{27}, 2)\)を一般超幾何関数\(_{3}F_{2}\)の値で表した。彼らの手法を用いて\(L(E_{32},2)\)、\(L(E_{64},2)\)を\(_{3}F_{2}\)の特殊値で表す。また、これらの結果と大坪氏によるレギュレーターの超幾何関数表示を比較し、Beilinson予想の特別な場合であるBlochの定理の超幾何関数を経由した証明を得る。
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川﨑 菜穂 (KAWASAKI Naho) 東北大学大学院理学研究科数学専攻
Arakawa-Kanekoの多重ゼータ関数の特殊値の積分表示について
Arakawa-Kanekoの多重ゼータ関数には, `双子の兄弟’と呼ばれるKaneko-Tsumuraの多重ゼータ関数が存在する. 今回, これらの多重ゼータ関数の特殊値における二つの定理をよりシンプルに再証明することができたので, このことについて紹介する. 再証明には, 二つの多重ゼータ関数の特殊値における反復積分表示を用いる. これらの積分表示は, S.Yamamotoによって導入された2色ポセット(半順序集合)上の積分を用いて書き換えられるので, このことについても述べる.
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松原 祐貴 (MATSUBARA Yuki) 神戸大学大学院理学研研究科数学専攻
\(W\)代数と見かけの特異点論
\(n\)点の確定特異点を持つ\(\mathbb{P}^1_{\mathbb{C}}\)上の放物接続のモジュライ空間 には見かけの特異点論による標準シンプレクティック座標が定まり, 対象である放物接続はこの座標を用いて具体的に成分表示できる. 一方で, \(W_{3}\)代数は\(n\)点を固定した\(\mathbb{P}^1_{\mathbb{C}}\)の\(SL(N, \mathbb{C})\)束上の接続が満たす偏微分方程式によって定まる. これらのことから, \(W_{3}\)代数が満たす偏微分方程式を標準シンプレクティック座標を用いて表せることが分かったので紹介する.
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黒田 匡迪 (KURODA Masamichi) 北海道大学大学院理学研究院数学部門
APN関数の一般化について
有限体\({\mathbb F}_{p^n}\)からそれ自身への関数\(f\)で, 各方程式 \begin{align*} f (x + a) - f (x) = b, \ \ a (\not = 0), b \in {\mathbb F}_{p^n} \end{align*} が高々\(2\)つの解を\({\mathbb F}_{p^n}\)に持つものを almost perfect nonlinear (APN) 関数という. 特に, \(p=2\)の場合に, 暗号理論や有限幾何学への応用が期待され, 盛んに研究されてきた. 一方で, \(p\)が奇素数の場合では, \(p=2\)の場合と同様の性質は成り立ちづらく, \(p=2\)の場合に比べてあまり研究されてこなかった. 本講演では, \(p\)が奇素数の場合の APN 関数を定義しなおし, それが\(p=2\)の場合の自然な一般化になっていることを紹介する. なお, この研究は北海道大学の辻栄周平氏との共同研究である.
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酒井 悠帆 (SAKAI Yuho) 島根大学大学院総合理工学研究科
一般Lucas sequenceの素数における可除性とLaxton群について
一般Lucas sequence \(\{{\cal G}_n \}\)は, 与えられた整数\(t,s\)に対して, \({\cal G}_0, {\cal G}_1 \in \Bbb Z,\ {\cal G}_{n+2}=t {\cal G}_{n+1}-s{\cal G}_{n}\ (n \in \Bbb Z)\)で与えられる数列である. ここで, 私は素数 \(p\)を固定したときに, \(p\)で割り切れる項が存在する一般Lucas sequenceはどのようなものか, 具体的に決定した. また, 先行研究であるLaxton(1969)の結果と本研究の関係について述べる. 本研究は, 青木美穂氏(島根大学)との共同研究である.
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鈴木 雄太 (SUZUKI Yuta) 名古屋大学大学院多元数理科学研究科
素数と平方数の和について
「十分大きい自然数は平方数であるか素数と平方数の和であろう」というHardy-Littlewoodの予想がある。自然数 \(N\) を素数と平方数の和で書き表す表し方の個数の短区間 \(X\le N\le X+H\) 上での平均を考える。Languasco&Zaccagnini(2016)は大体 \(X^{0.5}\le H\le X\) の下で、この平均の漸近式を得た。最近、この成立範囲を \(X^{0.337}\le H\le X\) にまで広げることに成功したので報告する。
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松澤 陽介 (MATSUZAWA Yohsuke) 東京大学大学院数理科学研究科
代数多様体の自己有理写像の力学次数と算術次数
代数多様体の自己写像が与えられたとき,これを離散力学系とみなして その複雑さを測る幾つかの尺度が定義される. 例えば,位相的エントロピーや力学次数のような幾何学的な量は広く研究されている. 一方,代数多様体が代数体上定義されている場合,数論的な複雑さを測る量として算術次数というものがある. 算術次数は自己写像の各軌道に対して定義される量なのだが,軌道が十分に複雑な場合,自己写像の力学次数と一致すると予想されている. この予想に関して講演者によって得られた結果を紹介する.
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宮谷 俊典 (MIYATANI Toshinori) 北海道大学大学院理学院数学専攻
流多項式のオイラー標数相互律
向き付けられたグラフを与えたときにそのグラフの各辺からアーベル群に値を対応させる。このような写像で、ある条件を満たすものをflowといいその個数を流多項式という。この流多項式に負値を代入するとorientationとflowの組みの個数を数えているという結果がBreuerとSanyalによって証明された。これを流多項式の相互法則という。今回の結果としてはこの相互法則を吉永、長谷部氏により確立されたオイラー標数相互律としてより一般的なものとして解釈できるようにした。
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辻栄 周平 (TSUJIE Shuhei) 北海道大学大学院理学研究院数学部門
Distinguishing Rooted Trees by Their Order Quasisymmetric Functions
Richard P. Stanleyにより,chromatic symmetric function は木を区別するということが予想されている. 半順序集合に対し,order quasisymmetric function を定義し,類似の問題について考えることができる. 根付き木は order quasisymmetric function により区別されるという結果を紹介する. 本研究は北海道大学の長谷部高広氏との共同研究である.
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宮崎 弘安 (MIYAZAKI Hiroyasu) 東京大学大学院数理科学研究科数理科学専攻
モデュラス付き高次Chow群に対するホモトピー不変性の一般化について
数論幾何は代数的トポロジーの手法を取り入れて発展してきた。中でも特異ホモロジーの類似としてBlochにより導入された高次Chow群は数論幾何の普遍コホモロジー理論を実現する重要な対象である。近年、空間対のホモロジー群の類似としてモデュラス付き高次Chow群が定義された。これは類体論の高次元化などの大きな応用を持つ。本講演ではモデュラス付き高次Chow群の定義と性質を解説し、講演者の最近の結果について述べる。
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武田 裕康 (TAKEDA Hiroyasu) 北海道大学大学院理学院数学専攻
principal nilpotent tuplesに付随する超幾何系とその合流操作について
木村弘信氏、高野恭一氏は\(\mathfrak{gl}(n,\mathbb{C})\)のregular elementの極限操作が一般超幾何系の合流と対応することを示した。本講演ではregular elementの一般化であるprincipal nilpotent \(p\)-tupleに付随する超幾何系を導入し、その合流操作について述べる。 本研究は北海道大学の齋藤睦氏との共同研究である。
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相川 勇輔 (AIKAWA Yusuke) 北海道大学大学院理学院数学専攻
On the ranks of elliptic curves in towers of function fields
楕円曲線は数学の様々な領域に現れる重要な対象であり, 整数論においてはその有理点集合を調べることが中心的な課題である. 楕円曲線の階数とは有理点集合の大きさを表す量のことだが, ここでは関数体\(\mathbb{C}(t)\)上の楕円曲線と関数体のある拡大列に対し, その階数の有界性を問う. 本講演では, この問いに対して新たな肯定的例の構成を紹介する. これは先行結果とは本質的に異なる例である.
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木村 雄太 (KIMURA Yuta) 名古屋大学大学院多元数理科学研究科
Tilting for preprojective algebras and reduced words
与えられた三角圏に傾対象が存在するか否かは, 三角圏を研究する上で基本的な問題の一つである. 本講演ではクイバー\(Q\)の前射影多元環および\(Q\)のコクセター群の元\(w\)から得られる三角圏を扱う. \(w\)の既約表示ごとに三角圏に準傾対象が存在することがわかる. ここで準傾対象とは, 傾対象の条件を弱めた概念である. 更に, \(w\)の既約表示に条件を課すことで, 準傾対象が傾対象となることがわかる.
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鈴木 タオ (SUZUKI Tao) 大阪大学大学院情報科学研究科
Depth functions of monomial ideals
depth とは可換環論における重要な普遍量の一つである。depth function とは、環をイデアルの冪で割った剰余環の depth を値に持つ数値関数のことをいう。この対象は代数的側面と組合せ論的側面を併せ持つ。実際にある特別なクラスに関して組合せ論的対象の情報を用いてこの関数を記述できる。この講演では既知の結果と 主定理 について、具体的な計算方法とともに紹介する。
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伊藤 孝明 (ITO Takaaki) 首都大学東京大学院理工学研究科数理情報科学専攻
代数曲線の関数体を係数体とする曲線のトロピカル化の種数について
付値体上の代数多様体\(X\)に対し、付値の像を考えることにより、\(X\)のトロピカル化\(V^{trop}(X)\)が得られる。 今回は、代数曲線\(C\)の関数体\(K(C)\)を係数体として考える。\(K(C)\)は\(C\)の各点に応じた付値を持つので、\(C\)の各点に応じたトロピカル化が考えられる。 一般に、\(K(C)\)上の代数曲線\(X\)をトロピカル化すると種数は保たれない。ここで、トロピカル曲線の種数はその\(1\)次ベッチ数として定義する。 本講演では、\(X\)についての緩い仮定のもとでは、\(C\)のある点に対応するトロピカル化により、\(X\)の種数と\(V^{trop}(X)\)の種数が一致することを示す。
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小見山 尚 (KOMIYAMA Nao) 名古屋大学大学院多元数理科学研究科
負の整数点での多重ゼータ関数の特異点解消と繰込みの関係について
多重ゼータ関数は非正整数点のほとんどが極に位置することが知られている。そこで、これらの点での”特殊値”を定める方法として古庄、小森、松本、津村の4氏により特異点解消という手法が、Ebrahimi-Fard、Manchon、Singerの3氏により繰込みという手法が導入された。講演者は4氏の特異点解消による値と3氏の繰込みによる値の間に明示的な関係を与えた。今回はその間に得られた関係について話す。
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小関 直紀 (KOSEKI Naoki) 東京大学大学院数理科学研究科
Bridgeland 安定性条件と曲面の双有理幾何学
Bridgeland安定性条件とは、超弦理論における\(\Pi\)-安定性に対応する数学的概念であり、三角圏に対して定義される。特に代数多様体の導来圏上のBridgeland安定性条件は、双有理幾何学との関連から近年盛んに研究されている。本講演では、代数曲面の双有理幾何学に由来するBridgeland安定性条件の構成について、先行研究と筆者により得られた結果を紹介する。
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門田 慎也 (KADOTA Shin-ya) 名古屋大学大学院多元数理科学研究科
\(G_2\)型ルート系のゼータ関数の特殊値について
ルート系のゼータ関数とは Zagier により定義された Witten のゼータ関数 (半単純Lie代数の有限次元既約表現にわたる級数で定義される関数)を一般化したもので, 小森-松本-津村によって定義され, 関数としての性質や特殊値の研究が行われている. 本講演では, 小森-松本-津村による \(G_2\) 型ルート系のゼータ関数の特殊値に関する 予想について得られた結果を紹介する. 本研究は岡本卓也氏と田坂浩二氏との共同研究である.
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荒川 智匡 (ARAKAWA Tomoki) 上智大学理工学部
On the uniform birationality of the pluriadjoint line bundles
滑らかな複素代数多様体 \(X\) とその上の豊富な直線束 \(L\) の組を偏極多様体と呼ぶ. 偏極多様体の分類理論においては, 多重随伴束 \(\mathcal{O}_X (m(K_X+L))\) の大域切断の存在 (非消滅性) を調べることが重要である. 本講演では, \(L^2\) 正則切断の劣随伴定理を紹介し, それを用いて多重随伴束の一様非消滅性を導く方法について説明する.
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奥村 喜晶 (OKUMURA Yoshiaki) 東京工業大学理学院数学系
ある例外的なアーベル多様体の非存在性について
代数体上のAbel多様体に付随した法\(\ell\) Galois表現は、ほとんどすべての素数\(\ell\)で全射に近いものとなる. では、残された有限個の例外的な素数の大きさはどれくらい一般的に評価できるだろうか. 本講演ではこの問題と関連したRasmussen-Tamagawa予想がabsolutely simple な場合に帰着できること、Abel多様体がCM factorを持つ場合に予想を解決したことを紹介する.
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