第11回数学総合若手研究集会
~数学を基盤とした多分野間交流による豊かな発展・発見を~
The 11th Mathematics Conference for Young Researchers

アブストラクト

   

解析

川本 昌紀 (Masaki KAWAMOTO) 神戸大学理学研究科数学専攻
外場中のクラインーゴルドン方程式の解の存在と伝播評価
クラインーゴルドン方程式についての散乱理論の研究では(Gerard' 12 など)クライン空間と呼ばれる正値行列で重み付けしたヒルベルト空間上で考察する手法があるが、簡単なポテンシャルを印加する事で、この正値性が崩壊し考察が難しくなる。そこで、Hill方程式と呼ばれる方程式の解析手法を用いてこの困難を避ける手法を説明する。時間があれば解の伝播評価についても説明したい。
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米山 泰祐 (Taisuke YONEYAMA) 東京理科大学大学院理学研究科数学専攻
波束変換を用いた散乱理論の展開
時間に依存する短距離型ポテンシャルをもつシュレディンガー方程式の散乱理論について考察する。この場合の波動作用素の存在はD. R. Yafaev(1978)により示されているが、波束変換という変換を用いて別証明を行う。この講演では波束変換の諸性質について説明を行い、それを用いた波動作用素の存在証明を紹介する。
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可香谷 隆 (Takashi KAGAYA) 北海道大学大学院理学院数学専攻
自由境界の外力項付き曲率流方程式に対する解の挙動と最大存在時刻
本研究では、物理的状態が異なる3つの物質が混じり合わずに共存し、それらの3つの界面が交わった部分で表面張力が働いている状況での相境界の運動を記述するモデルを扱う。 外力がない場合の解の挙動は既に考察されているが、外力項を付け加えたことによってどのように解の挙動に影響するかを考察する。
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劉 暁静 (Xiaojing LIU) 茨城大学理工学研究科宇宙地球システム専攻
Remarks on the strong maximum principle involving p-Laplacian
Let $\Omega$ be a bounded domain of $\bf R^N\, $ $ (N\ge 1)$. In this article,we shall study the strong maximum principle for the following operator; $$ -\Delta_p + a(x) Q(\cdot).$$Here $1<p<\infty$, $ 0\le a\in L^1(\Omega)$, $\Delta_p$ is a $p$-Laplacian and $Q(\cdot)$ is a nonlinear term satisfying the conditions $\bf[Q_0]$ and $\bf[Q_1]$. Let $p^* =\max(1,p-1)$ and let $u$ be a measurable function on $\Omega$, $u\ge 0 \mbox{ a.e. in } \Omega$ such that $ u \in L^{1}(\Omega)$, $Q(u)\in L^1(\Omega)$, $|\nabla u|\in L^{p^*}_{loc}(\Omega) $ and $\Delta_p u$ is a Radon measure on $\Omega$. In addition, we assume that $-\Delta_p u + a(x) Q(u)\ge 0 \text{ in } \Omega$ in the following sense: $\int_E \Delta_p u\,dx \le \int_Ea Q(u)\,dx $ (for every Borel set $ E \subset \Omega$). Then we prove that if $\tilde{u} =0 $ on a set of positive $p-$capacity in$\Omega$, then $ u=0$ a.e. in $\Omega$. Here $\tilde u$ is a quasicontinuous representative of $u$. We also see the sharpness of the condition $\bf[Q_1]$ by constructing counter-examples.
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大澤 進 (Susumu OSAWA) 北海道大学大学院理学院数学専攻
Quantum Estimation Theory of Quantum Statistical Mechanics
講演は欠席されました。
We construct the estimation theory of canonical ensembles in which density operators are described by $\rho= (\mathrm{Tr}e^{-\beta\tilde{H} })^{-1} e^{-\beta\tilde{H}}$, where $\beta$ denotes inverse temperature, $\tilde{H}$ the Hamiltonian of the canonical ensemble. We consider the system to which generalized external fields are added.
In this case, the Hamiltonian is$\tilde{H}=H+\sum_{j=1}^n h_j X_j$, where H denotes the Hamiltonian of a canonical ensemble without external fields, $h_j s$ coupling constants, and $X_j s$ external fields. When$ [ \tilde{H} , X_j] = 0$ holds for any j, we have $L_{h, j}^s= \Delta X_j/2kT$, where $L_{h,j}^s$ denotes the symmetric logarithmic derivative (SLD), k the Boltzmann constant, and T temperature and $\Delta X_j$ is defined by $\Delta X_j:=X_j-Tr\rho X_j$. Corresponding quantum Fisher information matrix elements are $J_{ij}^s=1/(2kT)^2 \cdot Tr\rho(\Delta X_i \Delta X_j+\Delta X_j \Delta X_i )$. When $ [\tilde{H}, X_j]\neq 0$ , but $i[\tilde{H}, X_j]$ is a self-adjoint operator which is strong commuting with both the $\tilde{H}$ and $X_j$ for any j, SLD and corresponding Fisher information matrix are the same as above-mentioned case.
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北川 めぐみ (Megumi KITAGAWA) お茶の水女子大学理学部数学科
作用素環によるMckay対応の拡張
Mckay対応はSL(2,C)の有限部分群のグラフによる分類を与えるものである。本研究では、作用素環の手法や、有限群やコンパクト群の表現論の手法を用いてMckay対応の一般化をする。そのためには、SL(2,C)の有限部分群=SU(2)の有限部分群と言い換えることが重要で、この一般化の結果SU(2)のコンパクト部分群の分類が新たに得られる。その証明では、テンソル圏の考え方が重要となる。
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船川 大樹 (Daiju FUNAKAWA) 北海道大学大学院理学院数学専攻
場の量子論のモデルにおける縮退度の評価について
基底状態(モデルの最低エネルギーに対する固有ベクトル)が存在する場の量子論のモデルに対して、基底状態における縮退度(固有空間の次元)を調べることは場の量子論の一つの問題である。2005年、九州大学の廣島氏によって結合定数が十分小さい場合の縮退度の評価式が与えられた。本講演ではこの評価式の部分的な一般化を発表する。さらにWess-Zuminoモデルなど、4乗相互作用を含むモデルの縮退度について議論する。
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町田 夏久子 (Kakuko MACHIDA) 早稲田大学理工学術院基幹理工学研究科数学応用数理専攻
スイッチングシステムを用いた近似最適制御の構成
本講演では最適制御問題における基本的な問題である近似最適制御構成の一手法を紹介する. 実際, 最適制御は存在しないことがあり, 代替となる近似最適制御を考察するのは自然である. Clarke,Ledyaev, Sontag, Subbotin(1997)は, 古典的な最適制御の構成法を粘性解の枠組みに取り込み, 粘性解の下限畳み込み(inf-convolution)近似を通して近似最適制御の構成法を与えた. 本講演で紹介する方法では, 与えられた最適制御問題に対して, それを近似するスイッチング制御問題を考え, そのベルマン方程式の粘性解を用いて, 近似最適制御を構成する.
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冨澤 佑季乃 (Yukino TOMIZAWA) 中央大学理工学部数学科
準線形波動方程式の初期値問題の可解性
準線形波動方程式の初期値問題について論じる。Banach 空間における非自励微分方程式の初期値問題は、ある条件を満たす距離に似た汎関数を設定することで解の存在と一意性を示せる。これは同時に Lipschitz 発展作用素の連続な無限小生成作用素の特徴付けを可能にしている。本講演では、これらの抽象的結果とそれを準線形波動方程式に応用した場合の具体例を紹介する。
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井元 隆史 (Takashi IMOTO) 北海道大学大学院理学院数学専攻
拡張した量子ハイゼンベルク模型の鏡映正値性を用いた解析
鏡映正値性の方法を用いての量子ハイゼンベルク模型の相転移の存在証明は1976年にF.J.Dyson,E.H.Lieb,B.Simonによって示された。今回はこの手法を用いてハイゼンベルク模型の相互作用項4次の項まであるような拡張したモデルに対しても相転移が存在することを示す。
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李 正勲 (Jeonghun YI) 名古屋大学大学院多元数理科学研究科
非アルキメデス的力学系理論でのモンテルの定理の別証明
1916年、P. Montelは「ある領域上に定義された正則関数からなる一様有界な関数族は正規である」ことを示した。彼が示した主張はモンテルの定理と呼ばれ、力学系理論などの諸分野で応用されてきた。2000年、L-C. Hsiaは非アルキメデス解析におけるモンテルの定理の類似を証明し、非アルキメデス的ジュリア集合の性質を見出した。
この講演では、多項式写像における非アルキメデス的モンテルの定理の別証明を紹介する。そのために、複素力学系理論とモンテルの定理、そして、非アルキメデス的力学系理論とモンテル定理を並行に説明し、別証明のための道具として、非アルキメデス的グーリン関数を紹介する。
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鈴木 拓也 (Takuya SUZUKI) 東京大学大学院数理科学研究科
$C^{1}$級領域上の有界関数空間での高階楕円型作用素が生成する半群の解析性について
作用素の半群論という熱方程式などの放物型の方程式の解を調べる理論に関する発表をします。この理論は放物型の方程式の解が、t秒送ったものをさらにs秒送ったものとt+s秒後のものが一致するという性質に着目して作用素が生成する半群と解を対応付けて発展しました。
具体的な内容としては、有界関数空間上で高階楕円型作用素の固有値問題であるレゾルベント方程式のアプリオリ評価を調べることで解の解析性の問題について考察します。
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谷口 晃一 (Koichi TANIGUCHI) 中央大学大学院理工学研究科数学専攻
Scattering problem for semilinear wave equation with a potential
空間3次元において, ポテンシャル項を持つ半線形波動方程式を扱う. ここで, ポテンシャル$V(x)$は非負な実数値可測関数で空間に依存し, 無限遠方で$0$へ減衰すると仮定する.
本講演では, 初期値問題を考え, 時間大域解の存在と解が自由解に漸近することを示し, 波動作用素・散乱作用素の存在を示す.
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高橋 甫宗 (Toshinori TAKAHASHI) 近畿大学大学院総合理工学研究科理学専攻
On the WKB theoretic structure of a Schrödinger operator with a Stokes curve of loop type
ラージパラメータが導入された微分方程式の解析方法である完全WKB解析における方程式の変換理論は主に、パラメータについてのStokes現象を考察する際に重要なものであり、これまでにもAiry型方程式やWeber型方程式への変換が知られている。本講演では、単純変わり点からでたStokes曲線が確定特異点を迂回してできるループ、およびその内部も込めた領域での変形Bessel型方程式への変換論について紹介する。
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渡辺 朋成 (Tomonari WATANABE) 広島大学理学研究科数学専攻
消散型波動方程式におけるStrichartz型評価とその応用
消散型波動方程式の初期値問題を考える。消散型波動方程式とは、波動方程式に摩擦による消散効果を加えた方程式である。この方程式の解は、フーリエ変換を用いた周波数表示により、高周波部分と低周波部分では振る舞いが大きく異なることが知られている。今回はこの事実と影響を説明しつつ、Strichartz型評価と呼ばれる分散型評価の導出と、べき乗型の非線形問題に対する解の適切性への応用を紹介する。
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浅原 啓輔 (Keisuke ASAHARA) 北海道大学大学院理学院数学専攻
d次元水素様原子ハミルトニアンの自己共役性
3次元水素様原子をポテンシャルとする系のハミルトニアンの自己共役性は良く知られている.今回はそれの一般次元での自己共役性を示す.
まずd次元ラプラシアンに関して無限小なポテンシャルとなる関数空間のクラスを求める.加藤-Rellichの定理により、そのクラスの関数をポテンシャルとする系のハミルトニアンは自己共役となる.
その応用としてd次元水素様原子のハミルトニアンの自己共役性を示す.
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日高 建 (Takeru HIDAKA) 九州大学大学院数理学研究院
準相対論的なPauli-Fierz模型のスペクトル解析
粒子と量子場が相互作用する系のスペクトル解析について講演する。今回は準相対論的なPauli-Fierz模型を扱う。Pauli-Fierz模型は粒子と量子輻射場が最小結合した系の模型である。準相対論的なPauli-Fierz模型のハミルトニアンをあるヒルベルト空間上の自己共役作用素として定義し、基底状態の存在を証明する。
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和田 和幸 (Kazuyuki WADA) 北海道大学大学院理学院数学専攻
複素スカラー場のハミルトニアンが生成する熱半群について
ボーズ統計に従う粒子と反粒子が相互作用するハミルトニアンの性質を考察する。このハミルトニアンはボソンフォック空間上で自己共役作用素として実現されるが、ボソンフォック空間の性質によりある確率空間上の作用素とみる事が出来る。そこで確率空間においてハミルトニアンの生成する熱半群を考察する。正値性保存型作用素に関する事実を紹介し、応用としてハミルトニアンが正値性保存型作用素である事を見る。
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幾何

高橋 良輔 (Ryosuke TAKAHASHI) 名古屋大学多元数理科学研究科
On the modified Futaki invariant of complete intersections in projective spaces
Fano多様体上にKähler-Ricci solitonが存在するためには,Tian-Zhuによって導入されたmodified 二木不変量の消滅が必要であることが知られている.近年,Berman-Nyströmによって,この不変量は一般の(singular) Fano varietyに対して拡張され,代数幾何的な安定性の概念が導入された.本講演では,射影空間内の完全交叉に対して,modified 二木不変量を計算する方法を紹介する.
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畑中 美帆 (Miho HATANAKA) 大阪市立大学理学研究科数物系専攻
Pseudographから構成されるスピントーリック多様体
トーリック多様体の族は扇という組合せ論の対象の族と全単射対応があることが知られている.この対応を通してトーリック多様体がスピン構造を持つための必要十分条件を組合せ論の言葉で表すことができる.
一方,pseudographとは多重辺とループを持ってもよいグラフのことをいう.本講演では,有限なpseudographからトーリック多様体を構成する方法を紹介し,構成したトーリック多様体にスピン構造が入るようなpseudographの特徴づけについて紹介する.
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鍬田 英也 (Hideya KUWATA) 大阪市立大学大学院理学研究科
位相的トーリック多様体上の複素直線束の切断の有限次元性
位相的トーリック多様体はIshida-Fukukawa-Masudaにより導入されたトーリック多様体の一般化であり,全向き付けされた位相的トーリック多様体は組合せ論的対象である位相的扇と一対一に対応する.本講演では,ある条件を満たす完備な位相的扇Δに対応する位相的トーリック多様体X(Δ)上の複素直線束Lの切断のなす空間Γ(X(Δ),L)は有限次元であることを紹介する.
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久野 恵理香 (Erika KUNO) 大阪大学大学院理学研究科数学専攻
Uniform hyperbolicity for curve graphs of nonorientable surfaces
$N=N_{g, n}$ を種数 $g\geq 1$, 境界成分 $n\geq 0$ の向き付け不可能曲面とし, $\mathcal{C}(N)$ を $N$ の curve graph とする. 2007年に Bestvina-Fujiwara が, 2013年に Masur-Schleimer が $\mathcal{C}(N)$ は Gromov hyperbolic であることを示したが, その一様性は分かっておらず, その hyperbolicity constant も与えられていなかった. 一方, 2013年に Hensel-Przytycki-Webb は向き付け可能曲面の curve graph は種数と境界成分の個数に依らず 17-hyperbolic であることを示した. 本講演では, この Hensel-Przytycki-Webb による議論を, 向き付け不可能曲面の場合に適用して得られた結果について報告する.
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大森 源城 (Genki OMORI) 東京工業大学理工学研究科数学専攻
非有向閉曲面の$\mathbb Z_2$係数1次ホモロジー上の交叉形式を保つ自己同型群の有限表示
種数$g$の非有向閉曲面$N_g$の$H_1(N_g;\mathbb Z_2)$上の交叉形式を$\cdot :H_1(N_g;\mathbb Z_2)\times H_1(N_g;\mathbb Z_2)\rightarrow \mathbb Z_2$とし、$\cdot $を保つ$H_1(N_g;\mathbb Z_2)$上の自己同型群を${\rm Aut}(H_1(N_g;\mathbb Z_2),\cdot )$とする。${\rm Aut}(H_1(N_g;\mathbb Z_2),\cdot )$は有限群なので有限表示可能である。本講演では${\rm Aut}(H_1(N_g;\mathbb Z_2),\cdot )$の具体的な有限表示について述べる。また、その応用として${\rm Aut}(H_1(N_g;\mathbb Z_2),\cdot )$の2次ホモロジー群の計算について解説する。
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小塚 菜美 (Nami KOZUKA) お茶の水女子大学
リーマン面からの調和写像の収束について
調和写像をエネルギー汎関数の臨界点として定義し、与えられた写像のホモトピー類に調和写像が存在するかという問題を考える。一般にリーマン多様体間の写像には調和写像が存在しないホモトピー類もあるが、値域が負曲率を持つときはその存在が知られている。この拡張として値域がリーマン多様体でない距離空間の場合にも、適当な意味での負曲率を持つ場合には調和写像の存在が示されることを述べる。
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本多 俊一 (Shunichi HONDA) 室蘭工業大学大学院工学研究科数理システム工学専攻
枠付き曲線の縮閉線について
ユークリッド空間内の枠付き曲線に対して縮閉線を定義し、その基本的な性質を紹介する。枠付き曲線はある種の特異点を許容する曲線である。正則空間曲線に対する縮閉線の定義はいくつかあるが、それらには自然と特異点が出てくる。そこで、枠付き曲線に対して縮閉線を定義する事により、縮閉線に対して縮閉線をとるという操作を可能にする。「縮閉線の縮閉線」や「縮閉線による元の曲線の性質」などの幾何学的な性質について紹介したい。
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竹内 司 (Tsukasa TAKEUCHI) 東京理科大学大学院理学研究科数学専攻
Integrability in the geodesic flow for the Berger mertic
Filippo、Marmo、 Salerno、 Vilasiによる定理において、ある条件を満たす対角化可能で不変な$(1,1)$ tensor fieldがrecursion operatorと呼ばれ、これにより可積分系に対する特徴付けを行うことができることが知られている。本講演では、Berger metric の測地流における可積分性について考察を行い、recrusion operator の構成を通して具体的な特徴付けを行った.
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稲葉 和正 (Kazumasa INABA) 東北大学大学院理学研究科数学専攻
On deformations of isolated singularities of polar weighted homogeneous mixed polynomials
複素多項式の孤立特異点の変形では、特異点が有限個の$A_{1}$型特異点のみになるものが存在することが知られている。本講演では2変数擬斉次多項式$f, g$で定義される混合多項式$f\bar{g}$の孤立特異点の変形で、不定値折り目特異点とホップ・リンクを与える孤立特異点が現れるものが存在することを紹介する。
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緒方 勇太 (Yuta OGATA) 神戸大学大学院理学研究科数学専攻
3次元Lorentz空間内の空間的な離散平均曲率一定曲面の構成について
昨年度、講演させて頂いた「3次元Lorentz空間内の空間的な平均曲率一定曲面の構成」の離散版を本講演では扱う。平均曲率一定曲面の構成理論である「DPWの方法」の離散化は、3次元ユークリッド空間内のケースに関して、T. Hoffmann氏が行った。今回の講演では、同様の離散化が3次元Lorentz空間内の空間的な平均曲率一定曲面の構成にも応用できることを紹介し、新たに構成した離散曲面の例も紹介する。
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寺本 圭佑 (Keisuke TERAMOTO) 神戸大学大学院理学研究科数学専攻
カスプ辺の平行曲面について
本講演では,カスプ辺を初期曲面として平行曲面を考えたときに現れる特異点と初期曲面であるカスプ辺の微分幾何学的性質との関係について述べる.
カスプ辺に対して,その主曲率の少なくとも一方が特異点においてもwell-definedとなる条件や,カスプ辺に対する峰点の性質を述べる.また,峰点という概念を用いて初期曲面の微分幾何的な性質と平行曲面に現れる特異点との関係について紹介する.
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DEOLINDO・SILVA JORGE・LUIZ (Jorge luiz DEOLINDO SILVA) 北海道大学大学院理学院数学専攻
Singularities of projections of surfaces in $\mathbb{R}^4$
We study the geometry of surfaces in $\mathbb{R}^4$ associated to contact with lines, planes and hyperplane. This contact is captured by the local and multi-local singularities of the orthogonal projections to $3$-space, projections to plane, the height functions. Here we deal with the multi-local singularities. In particular, we show the existence of (multi-local) robust feature of surface. These are smooth curves representing the various types of multi-local singularities.
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行野 亘 (Wataru YUKUNO) 北海道大学大学院理学院数学専攻
ジェネリックなベクトル場の生成系における一般化されたサブリーマン多様体上の異常測地線の性質について
$C^{\infty}$ 多様体の接束の部分束(接分布)と,その上のリーマン計量の組をサブリーマン多様体と呼ぶ. この多様体では, 2点を結ぶ最短線はリーマン多様体の場合とは異なり, 驚くべきことに, 計量によらず接分布のみから決まる測地線(異常測地線) が存在することがある. 本講演では, 接分布とは限らないより一般化された一次独立とは限らないベクトル場の生成系からなるサブリーマン構造について述べた後, ジェネリックな生成系における異常測地線の性質について紹介する.
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今田 充洋 (Mitsuhiro IMADA) 慶応義塾大学大学院理工学研究科
${\bf C}^{2n}$の複素超曲面における複素概接触計量構造について
正規性を有する実接触計量多様体である佐々木・アインシュタイン多様体は、数学のみならず物理学の研究においても重要な対象として扱われている。本発表では実接触計量多様体の概念を複素多様体へと拡張した複素接触計量多様体にスポットを当てて、この具体例を構成することを考える。主結果として、${\bf C}^{2n}$の超ケーラー構造から、${\bf C}^{2n}$の複素超曲面上へ誘導された構造は複素概接触計量構造の定義を満たしていることを示した。
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小鳥居 祐香 (Yuka KOTORII) 東京大学大学院数理科学研究科
結び目のHOMFLY多項式を用いたMilnorの$\mu$-不変量の表現
絡み目のMilnor不変量とは,絡み数の一般化として定義される整数列によって定まる絡み目の不変量の族である.Polyakにより,長さ3の数列から定まるMilnor不変量は結び目のConway多項式によって表されることが知られている.一方,HabeggerとLinによってMilnor不変量はストリング絡み目の不変量としても定義され,$\mu$-不変量と呼ばれている.
本講演では,$\mu$-不変量が,ストリング絡み目のある条件のもとでHOMFLY多項式で表せることを紹介する.特に,長さ3の数列から定まる$\mu$-不変量の場合においては任意のストリング絡み目に対してHOMFLY多項式と絡み数で表せる
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山下 達也 (Tatsuya YAMASHITA) 北海道大学大学院理学院数学専攻
Vector fields on differentiable schemes and derivations on differentiable rings
多様体上の関数集合のような、滑らかな関数$f:R^n \to R$による作用を持つ集合を$C^\infty$-ringと言い、$R$-algebraである。$C^\infty$-ringでの作用から、$R$-algebraでの$R$-derivationに合成関数の微分の公式が成り立つ$C^\infty$-derivationが定められる。そこで$R$-derivationが$C^\infty$-derivationになる$C^\infty$-ringの条件とその例を紹介する。
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佐藤 敬志 (Takashi SATO) 京都大学大学院理学研究科数学教室
GKM理論を用いた同変ファイバー束の解析について
多様体にトーラスが十分に良い性質をもって作用しているとき、固定点集合への制限を用いて、その同変コホモロジーを具体的に求めることが出来る。特にリー群をパラボリック部分群で割って得られる等質空間には極大トーラスが積により作用おり、ブリュア分解と呼ばれる同変なセル分割が存在し、上記の場合に当てはまる。本講演では等質空間からなるファイバー束を上記の観点から解析する方法を解説し、講演者の結果である$F_4$型旗多様体の同変コホモロジーの具体的な表示を紹介する。
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隅田 大貴 (Daiki SUMIDA) 九州大学数理学研究院
On fold singularities of product maps with radially actions
ミルナーは曲線選択補題を用いて、ミルナー束の全空間上定義される実数値関数$\log\left|f\right|:S_{\varepsilon}^{2n-1}-f^{-1}\left(0\right)\rightarrow \mathbb{R}$の臨界点は、十分小さい$\eta>0$に対して$\left|f\left(z\right)\right|<\eta$には全く含まれないことを示した。同様の事を、原点を中心とする開球$B_{\varepsilon}=B_{\varepsilon}^{2n}\left(\ni 0\right)\subset \mathbb{C}^{n}$における$\log\left|f\right|:B_{\varepsilon}\setminus f^{-1}\left(0\right)\rightarrow \mathbb{R}$の臨界点についても示すことができる($g$についても同様)。この状況で$f,g$のradially actionに関した性質を用いた、$\left(\log\left|f\right|,\log\left|g\right|\right):B_{\varepsilon}\setminus\left(fg\right)^{-1}\left(0\right)\rightarrow \mathbb{R}^{2}$の特異点の判定法を紹介する。
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奥田 喬之 (Takayuki OKUDA) 九州大学大学院数理学研究院
Splitting of singular fibers in barking families
複素曲線族に現れる特異ファイバーの正則近傍のことを「リーマン面の退化」と呼び、その位相同値類は位相モノドロミーを通して曲面写像類群との間に良い対応関係を持っている。これをさらに別のパラメータによって摂動した曲線族の族であって、元の特異ファイバーがより簡単な特異ファイバー達へ分裂するようなもの、即ち「分裂族」の存在性は興味深い問題である。今回の講演では、剥離変形によって構成される分裂族の位相的性質について詳しく述べたい。
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数理

秋田 大 (Dai AKITA) 北海道大学大学院生命科学院
信号処理理論のための超関数の積および畳み込み
一般的な信号処理の教科書では,信号が離散時間か連続時間かという点,周期的であるかどうかという点によって信号を分けて扱っている.これらを統一した概念で扱うため,離散時間信号をデルタ関数の和として表現する方法が考えられるが,従来の超関数の積および畳み込みは信号処理における積および畳み込みを包括するものとなっていない.そこで本発表では従来の信号信号処理理論に合う超関数の積および畳み込みの定義を提案する.
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小坂 亘 (Wataru KOSAKA) 北海道大学大学院工学院量子理工学専攻
非一様電磁場中の単一荷電粒子に対する量子論的数値解析
我々は、一様電場、非一様磁場中の単一荷電粒子について、2次元非定常シュレーディンガー方程式を数値的に解き、その位置と力学的運動量の分散の時間発展を調べてきた。本研究ではさらに、電場に対しても、磁場の場合と同様に非一様性を与え、分散の時間発展に対する寄与を調べた。その結果、位置および力学的運動量の分散の時間発展に対し、電場の非一様性は影響しないことが明らかになった。
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Chan Poh Kam (Poh Kam CHAN) 北海道大学大学院量子理工学専攻
Quantum Mechanical Diffusion of a Magnetized Particle in the Presence of a Field Particle in the Extended Gyration Cycle
We have solved the two-dimensional time-dependent Schrödinger equation with standard notations for a magnetized proton in the presence of a fixed field particle with an electric charge. The results at the 50th gyration, the Probability Distribution Function of the particle tends to have almost uniformly distributes along the classical cyclotron orbit. This distribution is due to the increasing variances.
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小山 民雄 (Tamio KOYAMA) 東京大学大学院情報理工学系研究科数理情報学専攻
Holonomic modules associated with multivariate normal probabilities of polyhedra
有限個の半空間の共通部分として書けるユークリッド空間の部分集合をpolyhedronと呼ぶ。多変量正規分布によるpolyhedron内の確率は、polyhedronを決定するパラメータの函数と見なすことができるが、適当な条件の下で多変数の実解析関数となる。この実解析関数の複素領域への解析接続や、この関数が満たす線形微分方程式系とそれに付随するD加群の性質(ホロノミック性やホロノミックランク)などについて紹介したい。
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栗田 紘大 (Kodai KURITA) 北海道大学大学院工学院量子理工学専攻
重みを考慮した不完全投影データからのCT再構成法
一般的なComputed tomography(CT)では入射方向可変システムにより全方位からの投影データが得られるが、計測系の配置等の制約により一部の区間のデータが得られない場合には再構成の精度が悪くなる。そのような場合に対して、一つの固定方向からの投影データを追加し、再構成の精度が改善されることを本研究で示す。固定方向からのデータには重みを持たせ、データが得られない区間を補完する役割を持たせている。
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山本 健 (Ken YAMAMOTO) 中央大学理工学部物理学科
ベキ乗則を導く確率モデルと映画の統計データへの適用
単語の出現頻度や人口などの様々な確率分布において、観測値やデータの大きさが順位に反比例するというジップの法則が経験的に知られている。本講演ではジップの法則を再現するシンプルな確率過程を紹介し、映画の興行収入に関するジップの法則への適用を試みる。
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一木 信吾 (Shingo ICHIKI) 東京大学大学院工学系研究科
吸脱着を持つ一次元非対称単純排他過程の動力学について
一次元非対称単純排他過程とは、一次元格子上を体積排除の効果を持つ多数の粒子が相互作用しながら非対称に移動する簡単なモデルである。このモデルは、車や生物などの自己駆動粒子の流れの解析において広く用いられている。ここではさらに途中の格子が空いていた場合にはある確率で粒子が吸着し、また途中の格子が粒子で埋まっている場合にはある確率で脱着するようなメカニズムを加えたモデルの動力学について考察を行う。
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千野 由喜 (Yuki CHINO) 北海道大学大学院理学院数学専攻
ランダムピニング模型における相転移・臨界現象について
ランダムピニング模型は,タンパク質などの高分子がある領域に局在または非局在するという二つの相での相転移・臨界現象を示すことが知られている.また,この統計力学模型はランダムな環境下でのランダムな現象を考えたdisorderedな模型であり,高分子の形状を決めるランダムネスと環境の変化のランダムネスの時間尺度の違いを反映したquenchedとannealedに型を分けて考察することができる.
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小川 駿 (Shun OGAWA) 京都大学大学院情報学研究科数理工学専攻
二次元完全流体における渦度場のパターン
二次元トーラス上の完全流体において, 安定な層流に摂動を加えると, トーラスの縦横比と摂動のサイズによって, (a)ランダウ減衰により摂動が減衰して層流に戻る. (b) 二つの止まっている渦が生じる. (c) 四つの走る渦が生じる. という三通りのパターンが現われることが数値的に確認されていた. 本研究では, ランダウ減衰と非線形トラップの時間スケールの比較と, 渦のサイズに関する制限により, (a)-(c)のどのパターンになるのかを判別する不等式を求め, 実現されるパターンを予測した. 本発表は, Julien Barré 氏(ニース大), 森田英俊氏(京大理), 山口義幸氏(京大情報)との共同研究に基づく.
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寺西 功哲 (Noriaki TERANISHI) 北海道大学
時間作用素について
ヒルベルト空間$\mathcal{H}$上の自己共役作用素$H$に対し,ある非自明な線形部分空間$D\subseteq\mathcal{H}$上で$TH-HT=i$を満たす対称作用素$T$を$H$の時間作用素という.本講演ではこの時間作用素の存在に関する結果を解説したいと思います.
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江夏 洋一 (Yoichi ENATSU) 東京大学大学院数理科学研究科
Asymptotic behavior of solutions of renewal equations in epidemiology
本講演では, 感受性個体, 感染個体や回復個体等の数を変数とする感染症モデルの endemic な平衡解の漸近安定性に関する近年の成果を報告し, 基本再生産数 $R_0$ を用いた感染症の終局的な流行規模を議論する. 再生方程式にあらわれる感染伝達パラメータが感染齢 (感染からの経過時間) について単調増加ならば, 感染個体の感染齢を持つ方程式系は遅延方程式系に書き直される事例も紹介し, グループモデルなどの関連話題や open problem も紹介したい.
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大泉 嶺 (Ryo OIZUMI) 明治大学 研究・知財戦略機構、東京大学数理科学研究科
生物個体と集団の数理
統計力学が1粒子の運動からその集団の動態を記述しようと試みているように、生物学においても生物一個体の生活史から、その個体群の動態を記述しようという考えがある.本講演では、生物一個体の繁殖、成長、死亡の三つの情報から、その集団がどのようなダイナミクスを描くか?という問題を確率微分方程式と偏微分方程式の枠組みを用いてその解析の手法を紹介したい.
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山口 崇幸 (Takayuki YAMAGUCHI) 広島大学理学研究科数学専攻
Gray-Scott モデルのトランジェント軌道に対する共変 Lyapunov ベクトルの引き戻しによる数値解析
反応拡散方程式の一つである Gray-Scott モデルの適切な初期値とパラメータにおいて、定常解に収束するトランジェント軌道は自己複製パターンを示す.このような軌道に対して、共変 Lyapunov ベクトルを求めるための引き戻しによるアルゴリズムを応用して解析を行った結果を報告する.具体的には、定常解の線形化系の固有ベクトルを軌道に沿って引き戻したベクトルを求め,得られたベクトルによって軌道の特徴づけを試みた.
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赤間 知子 (Tomoko AKAMA) 上智大学理工学部物質生命理工学科
演算子の変換に基づく時間微分方程式の効率的な数値解法:3項間漸化式法の開発
時間微分方程式である時間依存Schrödinger方程式やその近似式を数値的に解くことにより、電子や原子、分子等の多体系の時間発展を記述できる。数値解法としてはこれまでRunge-Kutta法等が用いられてきたが、計算コストが高いという問題点があった。本研究では、演算子の変換を導入することにより、時間発展を記述するシンプルな3項間漸化式を導出し、これを用いて効率的で高精度な時間発展計算を可能にする方法を開発した。
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恩田 将樹 (Masaki ONDA) 自由学園最高学部数理情報研究室
パターン認識を用いたかたちと動きの数理解析
本研究は宮加谷直哉との共同研究である.パターン認識の応用として,毛筆文字とサッカーの数理解析事例を紹介する.(1)毛筆文字特有の筆先の柔らかさは,字形のみならず,はね・はらい・とめなどの筆法で生じる書き手特有の個性が表現されやすい.本発表では,画像のクラスごとに正規直交基底を求め,入力画像を各クラスの部分空間に射影して識別する方法と,画像に2値化,細線化,端点検出などの最適化をほどこすことで形状特徴を抽出する方法を紹介する.(2)サッカーゲームにおける得点の優位性を,勢力圏分割を示すボロノイ図によりモデル化することで考察する.本発表では,選手の向きも考慮した運動ボロノイ図を用いて,おもにディフェンスの視点から,サッカーにおける定説の妥当性を検証する.
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代数

柴田 和樹 (Kazuki SHIBATA) 立教大学大学院理学研究科
切断イデアルに対応する半群環のstrongly Koszul性について
切断イデアルはSturmfels-Sullivantによって定義された概念であり、切断イデアルの環論的性質とグラフのクラスには様々な関係がある。本講演では、切断イデアルに対応する半群環がstrongly Koszulであることの必要十分条件を紹介する。
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野本 文彦 (Fumihiko NOMOTO) 東京工業大学理工学研究科数学専攻
An explicit formula for the specialization of nonsymmetric Macdonald polynomials at t = ∞
一般のアフィン・ルート系に付随する非対称 Macdonald 多項式のヘッケ・パラメーター t を t = ∞ と特殊化したものと、カレント代数上のワイル加群の PBW 型 filtration との間の関係が Cherednik-Orr により予想されている。一方で私は最近、アフィン量子群上の量子ワイル加群の結晶基底の実現を与える量子 Lakshmibai-Seshadri パスのある (明示的な) 部分集合の次数付き指標を取ったものが、上記の特殊化に一致することを証明した。講演では、この明示的公式について (具体例を交えながら) 紹介する。
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伊東 杏希子 (Akiko ITO) 神奈川大学工学部数学教室
類数が 3 で割れる二次体のある無限族の存在について
複素数体の部分体のうち、有理数体上の 2 次元ベクトル空間となるものを二次体という。扱っている二次体の構造が有理数体からどのくらいかけ離れているのかを測る尺度としてイデアル類群がある。本講演では、判別式の比が $s : t$ となる二次体のペア$(\mathbb{Q} (\sqrt{sD}), \mathbb{Q} (\sqrt{tD}))$ のうち、イデアル類群の位数(類数)がともに $3$ で割れるものについて得られた結果を述べる。
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中島 規博 (Norihiro NAKASHIMA) 豊田工業大学工学部
射影空間の分解を用いた射影Reed-Muller符号の復号法とその性能評価
誤り訂正符号の符号化・復号化のプロセスでは,ディジタル通信などにおいて生じる誤りを自動的に修正し元の情報を復元することを目的とする.宇宙船通信の分野では,訂正能力の高い代数的符号であるReed-Solomon符号・Golay符号・Reed-Muller(RM)符号などの復号法の研究が進み,1972年のマリナー計画では符号長32の1次RM符号を使って火星写真の電送に成功した.本講演ではRM符号の射影化として定義された射影RM符号の復号法について発表する.本研究は豊田工業大学松井一氏との共同研究である.
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小原 まり子( Mariko OHARA) 東北大学大学院理学研究科数学専攻
On algebraic $K$-theory of quasi-cohorent modules over spectral schemes
We prove that $\Omega B (BGL)$ represents the sheafification of $K$-theory functor $K$ on the affine spectral schemes with respect to Zariski (resp. Nisnevich) topology. We prove $K(R^b) \simeq K(\pi_0 R^b)$ for connective bounded spectrum $R^b$.
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植松 哲也 (Tetsuya UEMATSU) 豊田工業高等専門学校
アフィン対角的2次曲面の Brauer 群について
代数多様体の Brauer 群は, 多様体の性質を調べるのに役立つ群のひとつとして知られているが, そのためには, Brauer 群の元を具体的な形で表示しておくことが望ましい.本講演では, $b,c,d$ をパラメータとして, $x^2+by^2+cz^2+d=0$ という方程式で定まるアフィン代数曲面の族を考えたとき, 各曲面の Brauer 群の生成元を与えるような「解の公式」に当たる表示を求める問題について考えたい.
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古牧 弘幸 (Hiroyuki KOMAKI) 北海道大学大学院理学院数学専攻
Multi-Poly-Bernoulli numbers と Poly-Bernoulli numbers の関係性
ベルヌーイ数の一般化である多重ベルヌーイ数と、その一般化であるMulti-Poly-Bernoulli numbers(MPBN)の間にある関係性を述べる。まず、MPBNをべき乗の形で表わす式を挙げ、そこから得られた関係式を紹介する。 次にスターリング数を用いて、MPBNの特殊な場合と多重ベルヌーイ数の間にある関係性を紹介する。 そして最後にMPBNの特殊な場合を拡張したものと多重ベルヌーイ数との関係性を述べる。
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亀山 統胤 (Noritsugu KAMEYAMA) 信州大学大学院総合工学系研究科
フロベニウス拡大とアウスランダー・ゴーレンステイン環
アウスランダー・ゴーレンステイン環は数学の様々な分野に登場 する環である. しかし, 様々な分野に登場する扱いやすい環でありながらその構成方法についてはあまり研究されていないのが現状である. そこで本講演ではフロベニウス拡大の概念を使い,アウスランダー・ゴーレンステイン環から別なアウスランダー・ゴーレンステイン環を体系的に構成する手法について研究して得た結果について述べる.
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荒川 智匡 (Tomoki ARAKAWA) 上智大学理工学部
Effective nonvanishing of pluriadjoint line bundles
複素多様体上の正則直線束に定義される特異エルミート計量や乗数イデアル層などの解析的対象は、1988 年にA. Nadel によって証明された小平消滅定理の一般化 (Nadel の消滅定理) を契機として現在までに高次元射影代数多様体の研究に広く応用されてきた。本講演ではこれらの概念を紹介し、非特異偏極多様体 $(X, L)$ 上の多重随伴束 $m(K_X+L)$ の効果的非消滅問題への応用を解説する。
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黒田 匡迪 (Masamichi KURODA) 北海道大学大学院理学院数学専攻
平面三次曲線と直線からなる半安定な組のGITモジュライ
射影平面${\mathbb P}^2$内の三次曲線と直線からなる半安定な組のGITモジュライ$\overline{P}_{1, 3}$の研究を行っている.本公演では,非安定,半安定あるいは安定な組の幾何学的な分類と$\overline{P}_{1,3}$における非自明な同一視についての結果を紹介する.また、中村郁氏によるHesseの三次曲線のモジュライ$SQ_{1,3}$やV. Alexeev氏による完備なモジュライ$\overline{AP}_{1,3}$との関係についての結果も紹介する.
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板垣 智洋 (Tomohiro ITAGAKI) 東京理科大学大学院理学研究科数学専攻
Notes on the Hochschild homology dimension and truncated cycles
Bergh, Han, Madsenはno loops conjectureの2-truncated cycles版が成り立つことを示し, 一般の整数$m$に対してその$m$-truncated cycles版を予想している. 本講演では, truncated quiver algebraのHochschild homologyの加群構造を利用し, 多元環のあるクラスについて$m$-truncated cycles版が成り立つことを述べる.
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土谷 昭善 (Akiyoshi TSUCHIYA) 大阪大学大学院情報科学研究科情報基礎数学専攻
reflexive凸多面体とその双対凸多面体の$\delta$列
整(格子)凸多面体を$n$倍に膨らませたものの格子点の個数をEhrhart多項式と呼ぶ。$\delta$列とはEhrhart多項式の母函数における分子の係数のことである。近年、$\delta$列はさまざまな研究の対象となっている。その中でも特に、reflexive(Gorenstein Fano)凸多面体の$\delta$列は特殊な形をしている。本講演では、reflexive凸多面体と特にその双対凸多面体の$\delta$列の研究について紹介する。
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田端 亮 (Ryo TABATA) 広島大学大学院理学研究科数学専攻
Immanant 不等式の精密化とその極限挙動
Immanant とは, 行列式や恒久式を一般化する n 次正方行列上の関数であり, n 箱のヤング図形でラベル付けできる. Immanant に関する古典的な問題に半正値エルミート行列上の不等式があるが, その精密化を考えると, ある行列がその境界を与えることが予想される. 今回は, その行列の immanant の n → ∞ としたときの挙動及びヤング図形の形状との関係についての結果及び予想を紹介する.
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平川 義之輔 (Yoshinosuke HIRAKAWA) 慶應義塾大学大学院理工学研究科
On the descent of modular Calabi-Yau varieties arising from the Cynk-Hulek construction
谷山志村予想は、有理数体上の任意の楕円曲線のL関数が保型的なL関数であることを主張する数論幾何の重要な定理であり、この定理を高次元のCalabi-Yau多様体に拡張することは自然な問題である。今回は、有理数体上の保型的なCalabi-Yau多様体の構成に向けて、Cynk-Hulekの方法により代数体上のCM楕円曲線から構成した保型的なCalabi-Yau多様体の定義体の降下に関する結果を紹介する。
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Suriajaya Ade Irma (Ade Irma SURIAJAYA) 名古屋大学大学院多元数理科学研究科
一般化されたリーマン予想の下でのディリクレL関数の対数関数の臨界線付近における挙動
リーマンゼータ関数及びその導関数の零点は長い間研究されてきた。リーマンゼータ関数の一般化の一つであるディリクレL関数に対し、リーマンゼータ関数と類似する性質の研究が盛んに行われている。ディリクレL関数及びその導関数の零点を調べるために、リーマンゼータ関数の場合と同様に、ディリクレL関数の対数関数の臨界線付近における挙動を知ることが大事である。この講演では、一般化されたリーマン予想の仮定の下でのディリクレL関数の対数関数の臨界線付近における評価を紹介する。
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鈴木 雄太 (Yuta SUZUKI) 名古屋大学大学院多元数理科学研究科
一般リーマン予想の下でのHardy-Littlewood予想の例外集合について
Hardy-Littlewoodは「十分大きい自然数は平方数であるか素数と平方数の和であろう」と予想したが、この予想の例外集合の大きさ$E(x)$をGRH下で評価したい。本講演では、 Perelli-Zaccagniniが注意した$E(x)\ll x^{1/2}(\log x)^{3+\varepsilon}$という評価をより注意深く計算することにより、$E(x)\ll x^{1/2}(\log x)^{3/2+\varepsilon}$にまで改善する方法を報告する。
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門田 慎也 (Shinya KADOTA) 名古屋大学大学院多元数理科学研究科
多重ゼータ値に対する少し変わった重みつき和公式
多重ゼータ値とは自然数の組に対して多重級数で定義される実数であり, 現在ではそれらの間の線型関係式がたくさん知られている. Eie-Liaw-Ong(2013)はOhno-Zudilin(2008)の多重ゼータ値に関する重みつき和公式のある種の一般化を与えた. 今回は, Eie-Liaw-Ongの結果の拡張になっている, パラメータを含むある種の重みつき和公式が得られたので紹介する.
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小野塚 友一 (Tomokazu ONOZUKA) 名古屋大学大学院多元数理科学研究科
等号付き多重ゼータ関数の非零領域
リーマンゼータ関数を多変数化した多重ゼータ関数は近年盛んに研究されている。多重ゼータ関数の中でも一番有名なものはEuler-Zagier型多重ゼータ関数であるが、今回扱うのは等号付き多重ゼータ関数と呼ばれる多重ゼータ関数である。今回の発表では、この等号付き多重ゼータ関数の非零領域について得た結果を紹介する。また今回紹介する証明方法はEuler-Zagier型多重ゼータ関数には適用できないのだが、その理由も述べる予定である。
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小川 泰朗 (Yasuaki OGAWA) 名古屋大学多元数理研究科
Derived categories and generalized complexes
加群圏上の鎖複体とは、次数付き加群で2-微分($d^2=0$)を有する対象である。3-微分や4-微分ではまずいのだろうか?実はより一般に、N-微分($d^N=0$)を有する鎖複体を考えた場合にも加群圏の導来圏が上手く定義できることが知られている。本講演では、反復代数(repetitive algebra)を用いた更なる一般化が可能であることを紹介し、通常の導来圏との関係についても述べる。
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服部 至宏 (Yukihiro HATTORI) 室蘭工業大学工学研究科博士前期課程数理システム工学専攻
小山中島のL-関数の母関数表示
組み合わせ論的ゼータ関数の一つのArtin-Mazur ゼータを例に, Koyama-Nakajima L-函数 という組み合わせ論的ゼータ関数(Artin-Mazur ゼータの一般化) の行列式表示の形に着目して母関数表示を導く.その際に,Artin-Mazurゼータと同様に力学系モデルによる解釈を母関数表示に与えた.
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矢城 信吾 (Shingo YASHIRO) 九州大学大学院
Del Pezzo 曲面上のACM曲線の極小自由分解について
Del Pezzo 曲面とは,very ample な反標準因子$-K_{X}$による射影空間の埋め込みによって構成される.これらは,$\mathbb{P}^{2}$の$r$点Blow-up $(0 \leq r \leq 6)$および$\mathbb{P}^{1}\times\mathbb{P}^{1}$に同型である.今回,これらの曲面上にある曲線(より一般的に因子)がACMであるための条件とそれらの極小自由分解について述べる.
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百瀬 康弘 (Yasuhiro MOMOSE) 信州大学大学院 総合工学系研究科
アソシエーションスキーモイドの構成法とその性質
代数的組合せ論における研究対象としてアソシエーションスキーム(以下, ASと表記)があり, 符号やデザインといった組合せ的対象を研究するのにも応用されている. アソシエーションスキーモイド(以下, 単にスキーモイドと表記)とは小圏を用いてASを一般化したものである. 勿論ASはスキーモイドであるが, 亜群と呼ばれる小圏からスキーモイドを構成する方法も知られている. 本講演では, それとは別のスキーモイドの構成法を紹介しその性質を述べる.
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青山 暢 (Toru AOYAMA) 神戸大学理学研究科数学専攻
イデアルの素分解におけるモジュラーアルゴリズムの応用
有理数係数の多項式に関する計算においてボトルネックになる場合が多い、係数爆発を解消するために用いられる手法の一つが、係数を有限体に制限して計算した後にヘンゼル構成や中国剰余定理を利用して正しい計算結果を復元するモジュラーアルゴリズムである。今回はイデアルの素分解アルゴリズムである Laplagne アルゴリズムにモジュラーの手法を応用したアルゴリズムを紹介する。
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中屋 智瑛 (Tomoaki NAKAYA) 九州大学大学院数理学府数理学専攻
ある微分方程式のモジュラー形式解と楕円曲線の超特異多項式
標数$p$の超特異(supersingular)楕円曲線の閉体上の同型類は有限個であり、その$j$不変量を根にもつ多項式はsupersingular polynomialとよばれる。一方、Serre微分とよばれる$SL_2(\mathbb{Z})$に関する重さ12のcusp form $\Delta$と関係する微分作用素があり、これから構成されたある微分方程式は、重さ$p-1$のモジュラー形式解をもつ。この解の基本領域内における有限個の零点$\tau$に対し、$j(\tau)$を根にもつ多項式を考える。これら二つの多項式は法$p$で一致することが知られているが、本講演ではSerre微分における$\Delta$をより一般のmodular form $E_{4}^r E_{6}^s \Delta^t$に変えて微分作用素を構成しても同じ結果が成り立つことを示す。
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