第12回数学総合若手研究集会
~数学の交叉点~
The 12th Mathematics Conference for Young Researchers

アブストラクト

   

解析

後藤 良彰 (GOTO Yoshiaki) 神戸大学大学院理学研究科数学専攻
超幾何多項式の数値計算と隣接関係式
超幾何関数はべき級数で定義されるが, 特別なパラメータに関しては多項式になる. 統計学からの要請で, この多項式の数値計算を考えている. 超幾何関数の性質の1つである「隣接関係式」を利用すると, この計算を高速化することができる. 講演では, 超幾何多項式の数値計算を考える背景と隣接関係式をどのように利用するかについて紹介する. 時間があれば, ねじれコホモロジー群を用いた関係式の導出についても触れたい.
Download
劉 暁静 (LIU Xiaojing) 茨城大学理工学研究科宇宙地球システム科学専攻
Remarks on Kato’s inequality when \(\Delta_p u\) is a measure
Let \(\Omega\) be a bounded domain of \(\bf R^N\, \) \( (N\ge 1)\). In this article, we shall study Kato's inequality when \(\Delta_pu\) is a measure, where \(\Delta_p u\) denotes a \(p\)-Laplace operator \begin{equation} \Delta _pu = div(| \nabla u |^{p-2}\nabla u), \end{equation} with \(1 < p < \infty \). The classical Kato's inequality for a Laplacian asserts that given any function \(u \in L^1_{\rm loc} (\Omega)\) such that \(\Delta u \in L^1_{\rm loc} (\Omega)\), then \(\Delta u^+ \) is a Radon measure and the following inequality holds: \begin{equation*} \Delta u^+ \ge \chi_{[u\ge 0]} \Delta u \qquad \mbox{ in } D'(\Omega). \end{equation*} A similar inequality holds when \(\Delta u\) is replaced by \(\Delta_p u\) under additional assumptions on distributional derivatives of \(u\in L^1_{\rm loc} (\Omega)\). Our main result further extends Kato's inequality involving \(\Delta_p\) to the case where \(\Delta_p u\in M(\Omega)\), where \(M(\Omega)\) denotes the space of Radon measures on \(\Omega\). Namely, \(\mu\in M(\Omega)\) if and only if, for every \(\omega\subset\subset \Omega\), there exists \(C_\omega > 0\) such that \(|\int_\Omega \varphi\,d\mu|\le C_\omega ||\varphi||_{L^\infty}\), for any \(\varphi\in C_c^\infty (\omega)\). We also establish the inverse maximum principle for \(\Delta_p\) which was introduced by L. Dupaigne and A. C. Ponce when \(p=2\).
Download
長尾 秀人 (NAGAO Hidehito) 明石工業高等専門学校一般科目
\(q\)-Painleve equation of type \(E_6^{(1)}\) arising from Pade approximation
パデ近似と呼ばれる有理関数による近似を応用して,2階線形微分方程式を構成すると面白い微分方程式になることが古くから知られている.さらに,最近になってパンルヴェ方程式と呼ばれる2階非線形微分方程式を構成できることが知られている.本講演では,パデ近似を応用して,2階常微分方程式とパンルヴェ方程式の例をいくつか紹介したい.また,離散パンルヴェ方程式に関する最新の結果についても触れたい.
Download
川越 大輔 (KAWAGOE Daisuke) 京都大学大学院情報学研究科複雑系科学専攻
定常輸送方程式の解の正則性とその拡散光トモグラフィへの応用
非侵襲的な生体イメージング技術として、拡散光トモグラフィの実現が期待されている。本研究では、拡散光トモグラフィを定常輸送方程式の係数決定逆問題として定式化し、数値計算を用いて定量的に係数を推定することを目的とする。このアプローチでは、数値計算の信頼性が重要となってくる。本講演では、適当な条件下で、定常輸送方程式の厳密解が数値計算の信頼性を保証するほどの高い正則性を持つことを紹介する。
Download
北川 めぐみ (KITAGAWA Megumi) お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科理学専攻
Regular multiplicity ergodic actions of compact quantum groups
コンパクト量子群\(G\)の von Neumann 環への regular multiplicity ergodic action は、離散双対量子群\(\hat{G}\)の正則 cocycle 表現の bicommutant への\(G\)の作用から引き起こされる。この対応は cocycle の同値類の集合と full multiplicity ergodic action の同型類の集合の間の自然な対応を導く。さらに\(C^*\)環の枠組みでの対応物が、可換群の場合と同様に normalized cocycle 表現の\(L^1\)環の enveloping \(C^*\)環として定められ、cocycle 表現と\(L^1\)環の unital \(*\)-表現との対応を考えるためには正則 cocycle 表現の場合の考察が重要であることを述べる。
Download
野島 崇史 (NOJIMA Takafumi) 東京工業大学大学院理工学研究科数学専攻
局所Hardy空間の元を外力項とするRiviere型方程式の弱解の正則性
Riviere型方程式とは, ある特殊構造を持つ楕円型偏微分方程式系の総称である. 2次元領域上でこの方程式は \(L^1\) の項を持つ為Calderon-Zygmundの特異積分論は適用できず, その点で臨界型方程式である. 本発表では局所Hardy空間の元を外力項として加えた2次元領域上のRiviere型方程式について考え, その \(W^{1,2}\)-弱解の \(W^{2,1}\)-正則性を証明する.
Download
板倉 恭平 (ITAKURA Kyohei) 神戸大学大学院理学研究科数学専攻攻
一般化されたシュタルクハミルトニアンに対する固有値の非存在
\(\mathbb{R}^n\)上における通常のシュタルクハミルトニアンは\(H=-\Delta -E \cdot x +q(x)\)であり,\(-E \cdot x\)の部分をシュタルクポテンシャルという.\(q\)がある意味で\(-\Delta -E \cdot x\)よりも小さいという条件の下では,\(H\)は固有値をもたない.今回はこのシュタルクポテンシャルの冪を\(\alpha\)乗(ただし,\(0<\alpha \leq 1\))へと拡張した場合でも,ハミルトニアン\(H\)が固有値をもたないことを示す.
Download
若狭 恭平 (WAKASA Kyouhei) 北海道大学大学院理学研究院数学部門
非線型波動方程式に対する初期値問題の解析
空間3次元における小さい初期値に対する非線型波動方程式の解析は, 1979年の Fritz John による結果を始まりとする.この結果はその後,他の空間次元での解析や, 相互作用を考慮した方程式系の問題, 外部初期値境界値問題, さらに近年ではブラックホール等の計量が平坦でない時空での問題等に応用されている.本講演では,これらの研究の紹介をした後, 講演者による John の結果に関連した1次元非線型波動方程式の解析結果を紹介する.
Download
近内 翔太郎 (KONNAI Shotaro) 神戸大学理学研究科数学専攻
中間畳み込みと接続係数
任意の既約rigidなFuchs型方程式はアディションとミドルコンヴォリューションを有限回繰り返すことで1階のから構成できる。しかし、実際にこれらの操作を用いて対象とする微分方程式を構成することはそんなに簡単なことではない。だが、操作に用いる方程式のクラスとパラメータを制限すれば帰納的な構成方法があり、方程式の型を決定できる。講演ではこのことを利用して方程式を構成し、接続問題を解く。
Download
船川 大樹 (FUNAKAWA Daiju) 北海道大学大学院理学院数学専攻
ボース場と相互作用する量子系の模型の基底状態に対する縮退度の評価
ヒルベルト空間上の下に有界な自己共役作用素\(H\)が基底状態を持つ場合、\(H\)の基底状態に対する縮退度を計算することは場の量子論の重要な問題の一つである。本講演ではボース場と相互作用する量子系の模型を定義し、QBモデルと名付ける。このQBモデルが任意の結合定数に対して下に有界な自己共役作用素であり、また基底状態を持つこと、及び十分小さな結合定数に対して縮退度を上から評価することができることを発表する。
Download

幾何

渡邊 一義 (WATANABE Kazuyoshi) 東北大学大学院理学研究科数学専攻
Zero-point of continuous closed 1-form and Lusternik-Schnirelman type Category
多様体上のclosed 1-formは局所的に滑らかな関数として表すことができる. 同様にして, 位相空間上に連続的なclosed 1-formを局所的に連続関数として表すことで定義される.この連続的なclosed 1-formを用いて, M.Farber 氏はコホモロジーに関連したLusternik-Schnireilman category を定義し, 非退化とは限らない多様体上の滑らかなclosed 1-formの零点の個数を力学的な性質との関係を用いて下から評価した. 本講演は連続的なclosec 1-formの零点を適切に定めることによって, その零点の個数に関してもcategoryを用いて評価できることを紹介する.
Download
藤沢 好 (FUJISAWA Ko) 北海道大学大学院理学院数学専攻
同変理論の応用とその発展
空間の対称性はその空間にどのような群が作用するかで記述される。またその空間の対称性が群の表す対称性からいかにズレているかは特異点の形として現れ、このズレから自然に同変コホモロジーと呼ばれる一つの不変量が定式化される。本講演ではこの同変コホモロジーの指数定理への応用と、Cech化による新たな方向への一般化について解説する
Download
只野 誉 (TADANO Homare) 大阪大学大学院理学研究科数学専攻
Ricci ソリトンとその種々の一般化について
本講演では Einstein 多様体の自然な一般化である Ricci ソリトンに焦点を当て, Einstein 多様体に対して成り立つ Myers の定理や Hitchin-Thorpe 不等式のような古典的な性質がどの程度 Ricci ソリトンへ拡張出来るか考察する。時間が許せば Ricci ソリトンの一般化である Ricci almost ソリトンや quasi-Einstein 多様体に対しても同様の考察を行う。
Download
佐竹 翔平 (SATAKE Shohei) 名古屋大学大学院情報科学研究科計算機数理科学専攻
Oriented graphの非対称性について
本講演では向き付けされたグラフ (以下グラフと呼ぶ)を扱う. まず1963年のErdos, Renyiの結果の類似として有限グラフの非対称性の尺度と頂点数に関するその上界を与え, その漸近最良性を示す. 対して, 可算無限ランダムグラフは\(RO\)とよばれる対称なグラフに確率1で同型になることを述べ, 有限と無限の場合のギャップについて述べる. また\(RO\)の自己同型群の位数とその構造についても議論する.
Download
山本 悠登 (YAMAMOTO Yuto) 東京大学大学院数理科学研究科
トロピカル幾何学とモノドロミー変換
トロピカル幾何学とは、実数全体に負の無限大を付け加えた集合に、“加法”として2数の最大値をとる操作を、“乗法”として通常の加法を与えることでできる半環上の代数幾何学である。複素代数多様体の1パラメーター族\(\{X_q\}_q\)に対して、トロピカル化と呼ばれる方法で、トロピカル多様体\(T\)を対応させることができる。本講演では、\(\{X_q\}_q\)の\(q=\infty\)周りのモノドロミーを\(T\)を用いて具体的に記述する方法を紹介する。
Download
久野 恵理香 (KUNO Erika) 東京工業大学大学院理工学研究科数学専攻
Right-angled Artin group のハンドル体群への埋め込みに関して
有限グラフ \(\Gamma\) の right-angled Artin group \(A(\Gamma)\) に関して, 2012年に Koberda が \(\Gamma\) が向き付け可能曲面 \(S\) の曲線グラフ \(\mathcal{C}(S)\) の誘導部分グラフであるならば \(A(\Gamma)\) は \(S\) の写像類群 \({\rm Mod}(S)\) の部分群になることを示し, 2013年に Kim-Koberda がその逆は一般には成り立たないことを示した.本講演では, ハンドル体群と円板グラフに対して同様のことを考え得られた結果について報告する.
Download
加葉田 雄太朗 (KABATA Yutaro) 北海道大学大学院理学院数学専攻
Recognition problem of map-germs and applications
最初に平面から平面へのcorank \(1\)かつ\(A\)-余次元\(6\)以下の写像芽の\(A\)-型を決定するための判定法を与える. 次に上記の判定法を利用してジェネリックな曲面の中心射影に現れる特異点の分類及び曲面の射影変換による分類を紹介する.また曲面の分類とBDEの位相型の分類との関連も紹介する.
Download
本多 俊一 (HONDA Shun'ichi) 北海道大学大学院理学院数学専攻
正則曲面上のフロンタルと接触可展面
\(\mathbb{R}^3\)内の正則曲面\(M\)上のフロンタルに対して接触可展面\(OD_\gamma\)を定義し、その性質を紹介する。\(M\)上のフロンタルは\(\mathbb{R}^2\)上のフロンタルの拡張であり、\(\mathbb{R}^3\)内の枠付き曲線である。フロンタル及び枠付き曲線はある種の特異点を許容する曲線である。本講演は泉屋周一氏(北海道大学)、高橋雅朋氏(室蘭工業大学)との共同研究に基づく。
Download
緒方 勇太 (OGATA Yuta) 神戸大学大学院理学研究科数学専攻
平面的な曲率線をもつ極小曲面の分類とその変形について
ユークリッド空間内の「平面的な曲率線をもつ極小曲面」は古くから研究されており、A. EnneperやL. P. Eisenhart、J. C. C. Nitscheなどの研究が存在する。本講演では、神戸大学のJ. Cho氏との共同研究で得られた結果について、先行研究で得られている分類定理の別証明とこれらの曲面の変形族の存在について報告する。講演の最後では、具体的に構成した曲面のアニメーションも紹介する。
Download
大森 源城 (OMORI Genki) 東京工業大学大学院理工学研究科数学専攻
向き付け不可能曲面の写像類群の表示について
向き付け不可能曲面\(N\)の写像類群\(\mathcal{M}(N)\)とは,\(N\)の自己微分同相写像のアイソトピー類からなる群である.Paris-Szepietowski は\(N\)の境界成分が\(0\)か\(1\)の時に\(\mathcal{M}(N)\)の有限表示を与え,更に Stukow はその表示を書き換えることで Dehn twist とY-同相写像を生成系とする\(\mathcal{M}(N)\)の有限表示を与えた.本講演では,その Stukow の表示を用いることで,単純な\(\mathcal{M}(N)\)の無限表示が得られる事について紹介する。
Download
韓 呼和 (HAN Huhe) 横浜国立大学
Strictly Convex Wulff Shapes and \(C^1\) Convex Integrands
In this talk, it is shown that a Wulff shape is strictly convex if and only if its convex integrand is of class \(C^1\). Moreover, its applications are given.
Download
Batista Erica (BATISTA Erica) 横浜国立大学
Topological classification of map germs using Reeb graphs
Inspired by the works of Fukuda, Arnold, Maksymenko and Prishlyak we introduce an adapted version of the Reeb graph that turns out to be a complete topological invariant for map germs from \(\mathbb{R}^3\) to \(\mathbb{R}^2\).
Download
大場 貴裕 (OBA Takahiro) 東京工業大学大学院理工学研究科数学専攻
Compact Stein surfaces as branched coverings of \(D^4\) with same branch sets
LoiとPiergalliniによって、4次元多様体がコンパクトStein曲面であることと、「正ブレイド状曲面」と呼ばれる曲面で分岐する\(4\)次元円盤\(D^4\)の単純分岐被覆であることは同値であることが示された。しかし、Stein構造の正ブレイド状曲面に対する振る舞いは未だ解明されていないことが多い。今回の発表では、正ブレイド状曲面とその曲面上分岐する被覆の微分同相類は同じであるが、Stein構造は異なるという構成例を紹介する。
Download

数理

千野 由喜 (CHINO Yuki) 北海道大学大学院理学院数学専攻
Self-avoiding walk on random conductors
ランダムな環境下での自己回避歩行(Self-avoiding walk : SAW)を考える.ランダムな環境を導入することにより,臨界点の周りにおける二点関数や帯磁率などの物理量の振る舞いがどのように変化するのかを考える,特に今発表では帯磁率の臨界点がどのようにずれるのかの定量・評価を扱う.
Download
Horocholyn Stefan (HOROCHOLYN Stefan) 首都大学東京理工学研究科数理情報科学専攻
On the Stokes matrices of the \(tt^*\)-Toda equation
We derive a formula for the signature of the symmetrized Stokes matrix \(\mathcal{S}+\mathcal{S}^\mathrm{T}\) for the \(tt^*\)-Toda equation. As a corollary, we verify a conjecture of Cecotti-Vafa regarding when \(\mathcal{S}+\mathcal{S}^\mathrm{T}\) is positive definite, reminiscent of a formula of Beukers and Heckmann for the generalized hypergeometric equation. The condition \(\mathcal{S}+\mathcal{S}^\mathrm{T} > 0\) is prominent in the work of Cecotti and Vafa on the \(tt^*\) equation; we show that for the \(tt^*\)-Toda equation, the Stokes matrices \(\mathcal{S}\) satisfying this condition are parameterized by a convex polytope.
Download
一木 信吾 (ICHIKI Shingo) 東京大学大学院工学系研究科
隣接サイトの状態に依存する吸脱着機構を持つ完全非対称単純排他過程
吸脱着機構を持つ完全非対称単純排他過程について考察する。特に、隣接サイトの状態に依存して異なる吸脱着レートを持つ模型を考える。そして、この模型の非平衡定常状態について平均場近似を用いて解析する。
Download
小山 民雄 (KOYAMA Tamio) 東京大学大学院情報理工学研究科数理情報学専攻
Holonomic gradient method for the probability content of a simplex region with a multivariate normal distribution
ホロノミック勾配法(HGM)とは、微分方程式系を利用した数値計算の手法である。本公演では、多変量正規分布による単体内の確率の数値計算にHGMを応用する。そのために、多変量正規分布による凸多面体の確率が定める関数の理論的性質を調べ、この関数の特殊値や、関数が満たす微分方程式系の明示的表示を与える。その際に、凸多面体の組み合わせ論や佐藤超函数、D加群の理論など、様々な数学の道具が役に立つことを述べる。
Download
永原 健大郎 (NAGAHARA Kentaro) 東京工業大学大学院理工学研究科数学専攻
ロジスティック成長する個体群に対して空間非一様性が与える影響
ある種の魚や動物の個体密度分布の数理モデルである反応拡散ロジスティックモデルに対し、一定の資源量の下で生物の個体数が増加する環境資源の配置を具体的に求めることは、保全生物学における重要な問題とされている。本公演では、個体数に対する大域的最大化解の性質と、環境資源の配置が区間上でbang-bang性を持つ場合の個体数の拡散係数に対する漸近展開が得られることを中心に述べ、行った数値解析も紹介する。
Download
布田 徹 (FUDA Toru) 北海道大学大学院理学院数学専攻
\(\mathbb{Z}^d\)サブシフトにおけるBrudnoの定理
\(S\)を\(\mathbb{Z}^d\)サブシフト、\(\sigma\)を\(S\)上のシフト作用、\(\mu\)を位相力学系\((S,\sigma)\)上のエルゴード的シフト不変測度とする。\(d=1\)のとき、A.A.Brudno は次のことを示した:保測力学系\((S,\mu,\sigma)\)上のKSエントロピー\(h_{\sigma}(\mu)\)と、Kolmogorov複雑性密度\(K(\omega)(\omega\in S)\)はほとんど至るところ一致する。この定理を一般の自然数\(d\)の場合に拡張する試みを紹介する。
Download
篠田 万穂 (SHINODA Mao) 慶應義塾大学大学院基礎理工学専攻数理科学専修
Ruelle-Perron-Froveniusの定理によるGibbs測度の存在証明
一次元格子上の各点において\(\{1,\cdots,n\}\)の状態を取りうる粒子系のエネルギーを記号力学系上の関数として考える。その関数に対する平衡状態を変分定理を満たす不変測度として定義する。関数がヘルダー連続性をもつ場合、平衡状態の存在と一意性が成り立つ。平衡状態の存在を示すにあったて本質的であるRuelle-Perron-Frobeniusの定理を紹介する。この定理は行列に関するPerron-Frobeniusの定理を無次元化したものであり、関数解析が重要な役割を果たす。
Download
Pereira Glauber (PEREIRA Glauber) サンパウロ大学
Transmuted Logistic II Distribution
A generalization of the logistic II distribution so-called the transmuted Logistic II distribution is proposed and studied. The estimation of the model parameters is performed by maximum likelihood method.
Download
竹内 博志 (TAKEUCHI Hiroshi) 東北大学大学院理学研究科数学専攻
行列問題を用いた可換梯子型パーシステントホモロジー群の直既約分解
近年の位相的データ解析では,実データ解析の需要に応えるため,ジグザグパーシステント加群などの時系列位相的データ解析の手法が提案されてきた.本研究では,ジグザグパーシステント加群の直既約分解を前提として,現在ガラスのデータ解析に応用されている梯子型パーシステント加群の直既約分解を,行列問題を用いた新しい分解アルゴリズムによって達成した.
Download
金森 由妃 (KANAMORI Yuki) 北海道大学大学院環境科学院生物圏科学専攻
eigenvector sensitivity analysisによる 生物群集の季節動態を駆動するプロセスの環境勾配に沿った空間パターン
生態学において,eigenvector sensitivity analysisは,物理的環境の変化が個体群動態を駆動するプロセスに与える影響を定量的に評価するために用いられる.本研究では,この手法を多種系に拡張することで,岩礁潮間帯の固着生物群集の季節動態を駆動するプロセスが環境勾配に沿ってどのような空間パターンを示すのかを明らかにした.
Download
半田 悟 (HANDA Satoshi) 北海道大学大学院理学院数学専攻
イジング模型の確率幾何的表現による相転移・臨界現象の解析
イジング模型は,強磁性体の代表的な統計力学模型である.特に,\(\mathbb{Z}^d\)上で定義され,各格子点にスピン確率変数を与えて定義されるスピン系に属するが,うまく変形することで,確率幾何的な表現に直すことができる.本ポスターでは,その表現を紹介するとともに,その表現を用いて,臨界現象を解析・考察する.
Download
弓林 司 (YUMIBAYASHI Tsukasa) 首都大学東京大学院理工学研究科物理学専攻
不変周期点代数多様体の”成分”と再帰方程式の"基本領域"の双対性
本講演では、不変周期点代数多様体の"周期的に振る舞う部分集合による分解"と、再帰方程式が定義する"空間の対称性の基本領域による分解"の間の双対性について与える。
Download

代数

平川 義之輔 (HIRAKAWA Yoshinosuke) 慶應義塾大学理工学研究科
On the descent of certain modular Calabi-Yau varieties via the Cynk-Hulek construction
S. CynkとK. Hulekは、低次元Calabi-Yau多様体から高次元Calabi-Yau多様体を構成する方法を導入し、L関数が保型形式で記述される(保型的な)Calabi-Yau多様体の例を構成した。この講演では、彼らの方法にWeil係数制限関手とK3曲面(Calabi-Yau曲面)上の固定点自由対合とを組み合わせることで、有理数体上の保型的なCalabi-Yau多様体の新たな例を構成する方法について述べる。
Download
大川 幸男 (OHKAWA Sachio) 東京大学大学院数理科学研究科
On the Riemann-Hilbert correspondence for unit \(F\)-crystals
Emerton-KisinはWitt環\(W_{n}(k)\)上滑らかなスキーム\(X\)に対し, unit-Frobenius付き\({ \cal D}_{X/W_{n}(k)}\)-加群と\({\mathbb Z}/p^{n}{\mathbb Z}\)-エタール層との対応を適切な導来圏の間の圏同値として構成した. この講演では彼等の結果を\(W_{n}(k)\)上滑らかなスキームに埋め込み可能な代数多様体\(X/k\)に対して拡張する.
Download
佐々野 詠淑 (SASANO Nagatoshi) 九州大学マス・フォア・インダストリ研究所
双一次形式を用いてLie代数とその表現を次数つきLie代数に埋め込む方法
有限次元半単純Lie代数を次数付けすると、放物型概均質ベクトル空間と呼ばれる有限次元簡約可能Lie代数及びその完全可約表現の組が現れる。換言すれば、有限次元半単純Lie代数に、その部分構造として埋め込まれる簡約可能Lie代数及びその表現が放物型概均質ベクトル空間である。本講演ではこれを拡張して、任意の簡約可能Lie代数及びその表現を(一般には無限次元の)次数つきLie代数に埋め込む方法を紹介する。
Download
辻栄 周平 (TSUJIE Shuhei) 北海道大学大学院理学研究院数学部門
\(\psi\)グラフ配置の自由性の頂点重み付きグラフの性質による特徴づけ
ベクトル空間の有限個の超平面の集まりを超平面配置という.Stanleyはある種の頂点重み付きグラフ\( (G, \psi) \)に対して超平面配置\( \mathcal{A}_{G, \psi} \)を導入し,超可解性を特徴づけ,自由性と同値であると予想した.本講演では\( \mathcal{A}_{G, \psi} \)の自由性の特徴づけについて説明する.本研究は北海道大学の陶山大輔氏との共同研究である.
Download
Lee Hyunseok (LEE Hyunseok) 延世大学大学院数学専攻
On Transcendence Theory with little history, new results and open problems
This talk will be dealt to a survey of transcendence theory, including little history, the state of the art and some of the main conjectures, the limits of the current methods and the obstacles which are preventing from going further.
Download
黒田 匡迪 (KURODA Masamichi) 北海道大学大学院理学研究院数学部門
ある型の混合 Hodge 構造の分類空間のコンパクト化について
加藤和也氏, 中山能力氏, 臼井三平氏により, 混合 Hodge 構造の分類空間\(D\)の自己同型群\({\rm Aut}(D)\)の離散部分群\(\Gamma\)による商空間\(\Gamma \backslash D\)のトロイダル部分コンパクト化が構成された. それは\(\Gamma\)に対して, 適切な弱ファン\(\Sigma\)を与え, 冪零軌道の空間\(D_{\Sigma}\)の\(\Gamma\)による商空間\(\Gamma \backslash D_{\Sigma}\)として与えられた. 本講演では, ある型の混合 Hodge 構造の分類空間について, そのコンパクト化の構造を具体的に紹介する. また, このコンパクト化と Alexeev 氏による完備なモジュライ\(\overline{AP}_{1,3}\)との関係についての結果も紹介する.
Download
小山 宏次郎 (OYAMA Kojiro) 九州大学大学院数理学府数理学専攻
Ohno-type relation for finite multiple zeta values
有限多重ゼータ値とは,多重ゼータ値の類似物で,その枠組みは近年Zagier氏により提唱された.本公演では,有限多重ゼータ値のある関係式について紹介する.この関係式は,多重ゼータ値の関係式の1つである大野関係式の,有限多重ゼータ値における類似物として,金子氏により予想されていたものである.また,その特殊化として,斎藤・若林両氏により証明された和公式を与えられることについても紹介したい.
Download
大竹 秀一 (OTAKE Shuichi) 早稲田大学基幹理工学部
Orthogonal decompositions of integral trace forms of certain algebraic number fields via Bezoutians
有限次代数体\(K\)やその整数環上には, 有理数体上の trace 写像が定める二次形式が付随しており, それぞれ \(K\)の trace form 或いは integral trace form と呼ばれる.本講演では, \(K\) が円分体や, ある種の trinomial から定まる場合に, その integral trace form の 直交分解を, Bezoutian と呼ばれるものを用いて明示的に与える.
Download
柴田 和樹 (SHIBATA Kazuki) 立教大学理学部
マトロイドの組合せにおけるトーリックイデアルについて
マトロイドはWhitneyによって導入された概念であり、線形独立の概念の一般化となっている。今回はマトロイドからつくられるトーリックイデアルについて、マトロイドを組合わせたときにどのようになるのかについて講演を行う。
Download
山縣 幸司 (YAMAGATA Koji) 名古屋工業大学院工学研究科情報工学専攻情報数理類
円分体の最大実部分体の整数環について
\(\zeta\)を\(1\)の原始\(n\)乗根とする.円分体\(\mathbb{Q}(\zeta)\)の最大実部分体の整数環が\(\mathbb{Z}[\zeta+\zeta^{-1}]\)であることは基本的な結果である.この結果のよく知られた証明としては円分体の整数環の場合に帰着するものがある.本講演ではChebyshev多項式との類似を用いたこの結果の別証明を紹介する.また,組合せ論的な手法でなされている円分体の最大実部分体の判別式の計算についても,Chebyshev多項式の終結式を用いて行ったのでそれも紹介する.
Download
金久保 有輝 (KANAKUBO Yuki) 上智大学大学院理工学研究科理工学専攻数学領域
古典群の double Bruhat cell 上のクラスター変数と結晶基底
代数群\(G=SL(r,\mathbb{C})\)の座標環は、小行列式と、小行列式から組み合わせ論的に構成される関数を生成元に持つ。このような代数をクラスター代数と呼ぶ。最近の我々の研究で、\(G\)上の小行列式と、量子群の表現論における結晶基底の関連がわかった。量子群は、\(G\)のリー環から構成されるため、この関連は\(G\)の大域的な座標環の研究と、局所的な研究の新たな繋がりを示している。本講演では、古典群\(G\)に対して、この結果を紹介する。
Download
伊藤 孝明 (ITO Takaaki) 首都大学東京大学院理工学研究科数理情報科学専攻
プロジェクトネットワークの最短完了時間として実現できるトロピカル多項式の特徴づけ
いくつかの作業の間に順序を与えたものがプロジェクトネットワークである。プロジェクトネットワークの最短完了時間は、各作業の所要時間のトロピカル多項式で表されることが知られている。本講演では、与えられたトロピカル多項式がプロジェクトネットワークの最短完了時間として実現できるための必要十分条件について述べる。そのために、まずは必要条件をいくつか紹介する。この必要条件を満たすトロピカル多項式には単純グラフを対応させることができ、最終的にグラフの言葉を用いて必要十分条件を与える。
Download
大音 智弘 (OOTO Tomohiro) 筑波大学大学院数理物質科学研究科数学専攻
有限体係数のローラン級数におけるディオファントス近似
ディオファントス近似の基本的な問題として,与えられた実数が有理数でどのくらい良く近似できるかというのがある.この問題を調べることにより,超越数や不定方程式への応用などがなされてきた.本講演では,この基本的な問題のローラン級数に対する類似について考える.そのために,Diophantine exponentというどのくらい良く近似できるかの尺度を導入し,その性質について得られた結果を紹介する.
Download
岩佐 亮明 (IWASA Ryomei) 東京大学大学院数理科学研究科
Deformation of algebraic cycle classes on a degenerate fiber
退化する代数多様体の族を考える。退化したファイバー上の代数的サイクルがいつ全空間に伸びるか、という問題についてGrothendieckの変動Hodge予想に倣って予想を定式化する。この予想を無限小のレベルで考察し、“形式的変形”と“代数化”という二つの部分に分ける。形式的変形とは、退化したファイバーYのK群\(K_0(Y)\)の元がいつ\(\varprojlim K_0(Y_n)\)に持ち上がるか、という問題である。この形式的変形問題を基礎体が有理数体上代数的という場合に解決したので、これを紹介する。これはBloch-Esnault-Kerz及びMorrowの結果の(退化した場合への)一般化である。
Download
土谷 昭善 (TSUCHIYA Akiyoshi) 大阪大学大学院情報科学研究科情報基礎数学専攻
Gorenstein Fano polytopes arising from order polytopes and chain polytopes
本研究は大阪大学の日比孝之氏と松田一徳氏との共同研究である。order polytopeとchain polytopeは、有限半順序集合から作られる整凸多面体である。これらを組み合わせることで、toric varietyと深い関わりを持つGorenstein Fano polytopeを3種類構成することができる。本講演ではこれらの整凸多面体を紹介すると共に、体積やその他の性質に関する結果を紹介する。
Download
山田 祐見 (YAMADA Yumi) 山形大学地域教育文化学部地域教育文化学科システム情報学コース
ルート系のエルハルト多項式とその零点
[R.Bacher et al.(1999)]で,ルート格子の部分集合を凸に包むことによってできる整格子凸多面体のエルハルト多項式が導かれた。本講演では,その手法を紹介し,更に,A・C型ルート系におけるエルハルト多項式の根の実部がすべて-1/2になることの数値実験を紹介する。その他に,エルハルト多項式の係数の満たす合同式などを紹介する。
Download
岡本 健太郎 (OKAMOTO Kentaro) 九州大学大学院数理学府数理学専攻
ゼータ関数と結び目不変量
有限集合上の力学系から定義されるゼータ関数が知られている。このゼータ関数を一般化し、組み紐に関するゼータ関数を構成した。主な性質として、このゼータ関数の留数には結び目の不変量であるAlexander多項式が現れる。さらに、Jones表現に付随する組み紐の"L関数"が自然に考えられ、対数微分の特殊値に結び目のJones多項式が現れる。本講演では、この組み紐のゼータ関数とL関数の関係を詳しく説明する。
Download
田村 朋之 (TAMURA Tomoyuki) 九州大学大学院 数理学府
有限群の整数値指標とnecklace ringの有限の台を持つ元に関する考察
有限群の複素数体上の有限次元表現は, その交代テンソル積表現の指標の母関数を通じN.Metropolis(1983)が導入したnecklace ringの元を一つ定める. 本講演では表現の指標が整数値であることと, 対応した元が有限の台をもつことの同値性を述べ, 特に交代テンソル積表現の指標の母関数が有限積で記述出来ることを説明する. またこのような特徴を持つnecklace ringの元の乗法について述べる.
Download
原田 遼太郎 (HARADA Ryoutarou) 名古屋大学大学院多元数理科学研究科
Eulerの二重ゼータ値の公式について
L.Eulerは自身の論文「Meditationes circa singulare serierum genus」(1776)において, 二重ゼータ値の関係式を導く手法としてprima methodus, secunda methodus, tertia methodusを編み出した. しかしprima methodusが正しい方法で導かれている一方で, secunda methodusとtertia methodusはその議論において, 厳密な数学の観点から考察の余地を残している. 本発表ではこの二つの手法の証明を正当化することで, 実際に公式が成り立つことと複シャッフル関係式という多重ゼータ値の既存の関係式からこの公式が導かれることについて述べる.
Download
百瀬 康弘 (MOMOSE Yasuhiro) 信州大学大学院総合工学系研究科
行列戸田積と三角圏
戸田積は, 基点付き位相空間の圏上において定義されるあるホモトピー集合の部分集合である. そして, ホモトピー群の計算を行う際に用いられてきた. 行列戸田積は戸田積を一般化した概念であり2-圏上で定義される. 一方, 三角圏上にも戸田積が導入されている. 本講演では, 特に余複体のなす, 2-圏上の行列戸田積と三角圏上の戸田積の間の関係を与える. 本研究は新海健一郎氏(信州大学)との共同研究に基づく結果である.
Download
鈴木 雄太 (SUZUKI Yuta) 名古屋大学大学院多元数理科学研究科
素数と素数の\(k\)乗の和について
自然数\(k\)を固定し、与えられた自然数を素数と素数の\(k\)乗の和で表すことを考える。Hardy-Littlewoodのheuristicsを用いれば、このような表し方の個数に対して漸近式を予想することができる。そこで、この予想される漸近式の例外集合を短区間中で評価したい。この問題に対するBauer(1998)による先行結果の改善を得ることができたので報告する。
Download
早坂 亮太 (HAYASAKA Ryota) 山形大学地域教育文化学部地域教育文化学科システム情報学コース
新しい格子不変量
正方格子\(\mathbb{Z}\)において、任意の正整数nに対して丁度n個の格子点を通るような円が存在する(cf. [1])。今回、n=3,4,5,...,10に対して丁度n個の格子点を通る円の最小半径を求めるプログラムを作成した。さらに六角格子においても同様な考察を行った。発表では、それぞれの格子が持つこの不変量(最小円の半径の2乗)の値やそれらから得られた定理、今後の課題などについて紹介する予定である。
Download
小野塚 友一 (ONOZUKA Tomokazu) 名古屋大学大学院多元数理科学研究科
リーマンゼータ関数の導関数の\(a\)点
この講演ではリーマンゼータ関数の導関数の\(a\)点の分布について、3つの結果を話す。最初の結果はRiemann von-Mangoldt formulaを\(\zeta^{(k)}(s)\)の\(a\)点に一般化して得られた評価である。2つ目の結果は\(a\)点に関するある種の和の評価であり、最後の結果は\(a\)点密度の評価である。
Download
太田 和惟 (OTA Kazuto) 慶應義塾大学理工学部数理科学科
On the Mazur-Tate refined conjecture of BSD type
Mazur-Tateは楕円曲線のL関数を Stickelberger 元の楕円曲線類似である Mazur-Tate 元で置き換え、BSD予想の群環版を定式化した。予想の内、弱BSD予想にあたる、Mazur-Tate元の零点の位数がMordell-Weil 群の階数以上である、という主張を比較的妥当な仮定のもとで証明できたのでこれについて解説する。
Download
親木 翔平 (OYANOKI Shohei) 奈良教育大学大学院修士課程教育学専攻科数学教育専修(情報を含む)
グラフに付随したハイパー群
有限ハイパー群とは, 有限群を拡張したものである.また,グラフとは,頂点の集合と辺の集合からなる図形のことである.本研究では,グラフから隣接行列などの代数的な道具を用いてハイパー群を構成することを行った.また,ハイパー群からグラフを構成することも行った.本講演では,有限群と有限ハイパー群との違いについて述べ,具体例を交えながら,グラフからハイパー群を構成する方法について述べる.
Download
川崎 菜穂 (KAWASAKI Naho) 京都産業大学大学院理学研究科数学専攻
多重ゼータスター値の\(q\)-類似の積分表示について
多重ゼータ値(multiple zeta value,MZV)にはDrinfel'd積分を用いた反復積分表示がよく知られているが,最近,それとは別の積分表示が山本氏によって導入された.この山本氏による積分表示はMZVの\(q\)-類似である\(q\)-MZVへの拡張可能であることがわかったので,そのことについて紹介する.それは従来から知られているJackson \(q\)-積分を用いた積分表示とは形が異なるものになっている.
Download

Copyright © 2013 Department of Mathematics, Hokkaido University All Rights Reserved.