概要
- 解析関数について微分積分学の初歩を学ぶ。解析関数とは、n次関数(多項式)、無理関数、分数関数、三角関数、指数関数、対数関数を総称するものである。解析関数の微分と積分を計算できるようになり、使い方を理解することが目標である。
- また、微分や積分という計算によって関数が持つ情報を取り出すことができる。 微分によって関数の変化する程度を理解し、積分によって関数の値が累積していく程度を理解する。 このような考え方を理解することができれば専門課程の学習にも有意義である。
- 成績は中間期末試験の成績で判定し、合否は中間期末試験の成績に平常点を付加して判定する。 平常点は宿題とレポートの成績から決める。
- 宿題はこのホームページに掲載する。レポート用紙等に解答して提出すれ ばよい。特に断らない限り、宿題は次回の授業開始前に教卓へ提出しておくこと。全然わからない場合でも、何かしら答えて提出するように。0点の宿題でも提出してあれば出欠確認システムの情報と合わせて出席とみなす。学生証は入室時と退出時にカードリーダーにか ざすように。
- 遅れて提出した宿題とレポートの平常点は半分とする。もちろん提出しないよりはずっとよい。
- 最終回が終わった後の成績の問い合わせ等は受け付けない。
- 中間期末試験にはA4サイズ以下の手書き1枚(裏面使用可)を持ち込んでよいものとする。
内容(日程は変わることがある)
- 4/16 様々な関数と数列:等比数列と等差数列は基本的な数列である。等比数列と等差数列は和を求めること
ができる。等比数列の性質は特に重要。分数関数、無理関数、三角関数、指数関数、対数関数は基本的
な関数である。
参考書1. なら第1章、参考書2. なら第1章1節
参考資料:分数関数、無理関数、三角関数、指数
対数関数、数列とその極限
到達度判定問題の略解。到達度判定は成績評 価に算入しない。数学が得意だったかどうか書いてもらった結果は、 得意だった者が14名、そうでない者59名。ただ、この授業で学ぶことは問題 を解く技巧とは異なるので、不得意であったことはあまり関係ない。
- 4/23 数列と関数の極限:等比数列の極限は等比から判定できる。関数の 極限という概念は、関数を定義できない点での関数の振舞を調べる上で重要 な概念である。特に分数関数の未定義点での極限値を計算することは非常に重 要である。下記の参考資料から、数列とその極限, 関数の極限に目を通しておくこと。 参考書1. なら第2章と第3章2節、参考書2. なら第1章2節と第2章1 節、 参考資料: 数列とその極 限, 関数の極限
- 4/30 合成関数と逆関数、連続な関数:関数を合成することで、基本的な 関数から複雑な関数を構成することができる。また、逆関数を考えることで、基本的な 関数を増やすことができる。関数の性質を考えるにあたり、連続な関数という概念は 重要である。関数の表す何らかの量に断絶がなく、変数の値の変化に応じて変 化することを保証する。 参考書1. なら第2章と第3章2節および3節、参考書2. なら第1章2節と 第2章1節の1,2,3、 参考資料: 合成関数と逆関 数, 連続な関数
- 5/7 導関数:導関数という概念は微分積分学の中心的な概念である。導関数 の基本的な定義を与え、多項式と無理関数について導関数を与える。 参考書1. なら第4章1節、参考書2. なら第2章2節の1,2、 参考資料: 導関数
- 5/14 導関数の計算:二つの関数の積について導関数を与える公式を積の微分法として示す。
合成関数と逆関数について、導関数を計算する公式を与える。これらの公式によって、様々な関数から構成される関数は導関数を
具体的に計算することができる。
参考書1. なら第4章2節、参考書2. なら第2章2節の3,4、
参考資料: 導関数の計算
レポート(5/28提出, 10点):今回までの内容を1ページに要約して提出。全て の内容を1ページに書くことはできないだろうから、自分が重要と思う事項 を整理して書くこと。中間試験に持ち込む自筆一枚の準備と考えてもよい。
- 5/19(火曜6限,休講)
- 5/21 三角関数の導関数:三角関数について、加法定理を利用 して導関数を与える。これらの導関数を求めることができると、応用範囲 が格段に広がる。 参考書1. なら第4章3節、参考書2. なら第2章2節の5、 参考資料: 三角関数の場合
- 5/28 指数関数と対数関数の場合:指数関数と対数関数は互いに逆関数の 関係になっている。それぞれの導関数を求める。指数関数と対数関数の 性質が重要な役割を果す。 参考書1. なら第4章4節、参考書2. なら第2章2節の6、 参考資料: 指数関数と対数関数の場合
- 6/11 中間試験(50点満点,80分) 出題範囲は前回までの授業内容。宿題はよく復習しておくこと。
特に、導関数の求め方、積の微分法、合成関数の微分法、三角関数、指数関
数、対数関数の導関数を復習しておくとよい。必要なら時計を用意すること。
- 成績優秀者:50点 2153603 2153606
- 平均点:26点
- 6/18 微分法の応用(1):微分法の応用として、関数に関する極小値、極大値という概念を扱う。
参考書1. なら第5章、参考書2. なら第2章3節、
参考資料: 微分法の応用
今日の宿題(3点, 6/25提出)。解答例は授業で 示した通り。
- 6/25 微分法の応用(2):関数のグラフの接線と変曲点という概念を扱い、関数のグラフを精密に描く手法を学ぶ。
参考書1. なら第5章、参考書2. なら第2章3節、
今日の宿題(3点, 7/2提出)。
- 7/2 不定積分:微分の逆演算としての不定積分を定義する。三角関数、
指数関数、対数関数についての不定積分を計算する。
参考書1. なら第4章5節の1、参考書2. なら第3章1節の1
参考資料: 不定積分
今日の宿題(5点, 7/9提出)。
レポート(7/16提出, 10点):5/21から今回までの授業内容を1ページに要約し て提出。自分が重要と思う事項を整理して書くこと。
- 7/9 不定積分の計算と定積分:具体的な不定積分の計算方法を学び、閉区
間$[a,b]$での関数$f(x)$の定積
分という概念を定義する。不定積分によって定まる原始関数の一つ$F(x)=\int f(x)dx$によって、$F(b)-F(a)$と計算で
きることを確かめる。
参考書1. なら第4章5節の2以降、参考書2. なら第3章1節の2,3、
参考資料: 定積分と原始関数、面積との関係
今日の宿題(7点, 提示が遅くなったので7/23提出)。
- 7/16 積分法の応用:面積、体積の計算と定積分の関係を学習する。
参考書1. なら第6章1節から4節、参考書2. なら第3章1節の4,5、
宿題なし
- 7/23 期末試験(50点満点,80分) 試験範囲は中間試験より後、前々回(7/9)までの授業内容とする。
関数のグラフの描き方、不定積分の計算方法などをよく復習しておくこと。
必要ならば時計を忘れないこと。
- 成績優秀者:50点以上 1132152 1155063 1155096 1155100 1155151 2153209 2153227 2153233 2153272 2153609 2153603 2153606
本リストに載った履修者は指示に注 意すること。
- 7/30 期末試験の解説、授業アンケート
参考資料
授業内容の要約を示した。予復習に活用のこと。最低限これら参考資料にだけ は目を通しておくこと。可能であれば対応する授業の前日には読んでおくこと。注意等
成績に関連する資料は5年程度の期間保存することになっているため、提出した宿題、レポート、答案は返却できない。参考書はシラバス指定のどちらか一冊を予復習に使うことが望ましい。
参考書
- 微分と積分 / 岡本和夫 : 実教出版, 1998, ISBN:9784407023954(シラバス指定)
- 新版微分積分I / 岡本和夫 : 実教出版, 2010, ISBN:978-4-407-32168-5(シラバス指定)
- 志賀浩二「変化する世界をとらえる 微分の考え、積分の見方 (大人のための数学 2)」
「数と量の出会い 数学入門 (大人のための数学 1) 」
数学の背景となる考え方を丁寧に書き起し、授業で扱う数学的な概念を導入し なければならない必然性などの解説を重視した本である。
試験と成績について
- 講義内容について一定の水準に達していれば確実に合格する。試験で多少失敗しても、実際の到達度を反映するために平常点を参入する。
- 到達度を判定する試験であり、落とすための試験ではない。過度に神経質になってはいけない。
- やむを得ず試験を欠席する場合(例えば、事故での入院、他人に伝染する可能性のある病気、親族の不幸、など)は何らかの手段で担当教員まで連絡を取ること。