概要
- 微分積分学の基礎を学ぶ。1変数関数のテイラー展開、特にマクローリン展開を計算でき、2変数関数の偏導関数、テイラー展開を理解することが目標である。
- 成績は中間期末試験の成績のみで判定する。合否は中間期末試験の成績に平常点を付加して判定し、総計60点以上で合格(C以上)とする。平常点は宿題とレポートの成績から決める。宿題は1問2点(1回の宿題に2問あれば合計4点)、レポートは1回10点とする。
- 宿題とレポートはこのホームページに掲載する。レポート用紙等に解答して提出。特に断らない限り、宿題は次回の授業開始前に教卓へ提出しておくこと。全然わからない場合でも、何かしら答えて提出するように。学生証は入室時と退出時にカードリーダーにかざす。
- 遅れて提出した宿題とレポートの平常点は半分とする。
- 最終回が終わった後の成績の問い合わせ等は受け付けない。
- 中間期末試験にはA4サイズ以下の手書き1枚(裏面使用可)を持ち込んでよいものとする。範囲内の宿題から1問出題する。
- 参考のために、昨年度の試験問題を示す。これ は文系向けクラスの試験だからもう少し難しくするが、およそこのような問題にする予定。
内容(日程は変わることがある)
- 4/15 関数のn次関数近似(宿題, 略解)
複雑な関数$f(x)$を$x=a$の近くでn次関数(1次関数、2次関数、3次関 数,$\dots$)$g(x)$の値が$f(x)$に近くなるように$g(x)$の各次の係数を定めるには どうするか学習する。テイラー展開への準備。
- 4/22 数列と関数の極限 (宿題, 略解)
上に有界な単調増加数列、下に有界な単調減少数列は収束するという 公理のもとに数列の極限を定める。関数の極限を右極限と左極限が一致す ることから定める。(講義中に自然対数の底$e$を与えるところ、 $k<n/2$としたが、$2\le k\le n$でよい。 参考資料の注意7に改めて示した。)
- 5/6 中間値の定理、導関数と平均値の定理(宿題, 略解)
導関数の定義を2通り与え、同値であることをしめす。連続関数の中間値の定理と最大値最小値の存在から、微分可能な関数についてロルの定理を示し、さらに平均値の定理を示す。
- 5/13 テイラーの定理とマクローリン展開、テイラー展開、指数関数と対数関数のマクローリン展開(宿題, 略解)
平均値の定理を繰り返し用いてテイラーの定理を証明し、マクローリン展開、テイラー展開を与える。 指数関数と対数関数についてマクローリン展開を与え、簡単な性質を確かめる。
- 5/20 三角関数のマクローリン展開(宿題, 略解)
三角関数とその逆関数、双曲線関数についてマクローリン展開を与え、簡単な性質を確かめる。
レポート;今回までの内容を1ページに要約する。次回提出。このレポートを中間試験に持ち込みたい場合はコピーを提出してもよい。(レポートの意図:学習した内容を他者へ簡潔に伝えられることは重要な能力である。また、学習した範囲を自分なりにまとめることは学習成果を自己確認することにも通じ、試験対策としても有効である。)
- 5/27 復習と応用:1変数関数のグラフとして定まる曲線の曲率半径(試験範囲外、宿題なし)
- 6/10 中間試験(50点満点,80分, 14:50-16:10)試験範囲は三角関
数のマクローリン展開の回まで。念のために、宿題から1問出題する。双曲
線関数は試験範囲である。結果については
6/24以降に理学部3号館514室前に学生番号と 中間試験得点、平常点の組を掲示する。こち らを参照。 - 6/17 2変数関数の極限、偏導関数、2次曲線と2変数関数
(宿題, 略解)
2変数関数について極限の考え方、偏導関数(偏微分係数)の概念を与え る。また、2次関数$x^2+y^2$と$x^2-y^2$のグラフの概形を観察する。
- 6/21(火) 6限(休講)
- 6/24 2変数関数の微分可能性、合成関数の微分法、変数変換(特に極座標変換)(宿題, 略解)
2変数関数について微分可能性(全微分)を決める条件を定める。また、 合成関数の微分法と変数変換について偏導関数を用いて具体的な計算法を 与え、最も重要な例として極座標変換を取り上げる。
- 7/1 2変数関数の極値(宿題, 略解)
2変数関数の極値を与える条件として偏微分係数が0と定め、2階の偏導関 数による条件式を与える。証明には方向微分を使う。
- 7/8 2変数関数のテイラー展開(宿題, 略解)
2変数関数のテイラー展開を与える。1変数関数のテイラー展開に帰着させて導出する。
レポート;中間試験より後から今回までの内容を1ページに要約する。 次回提出。このレポートを期末試験に持ち込みたい場合はコピーを提出してもよい。
- 7/15 条件付き極値問題(宿題, 略解)
条件のついた極値問題の解法として、ラグランジュ乗数法を扱う。
- 7/22 ヘッセ行列と2次形式(試験範囲外、宿題なし)、授業アンケート
- 7/29 期末試験(50点満点,80分,14:50-16:10)試験範囲は2変数関 数の極限から2変数関数のテイラー展開、条件付き極値問題まで。 結果
- 8/5 休講
資料
参考資料
資料:大学数学のための準備(ギリシャ文字、数学記号等) http://www.math.sci.hokudai.ac.jp/candidate/GUIDE.pdf注意等
成績に関連する資料は5年程度の期間保存することになっているため、提出した宿題、レポート、答案は返却できない。参考書はシラバス指定のどちらか一冊を予復習に使うことが望ましい。
参考書
どちらか一冊持っていれば十分である。- 入門微分積分学 / 三宅 : 共立出版
- 微分(改定版)/ 上見他 : 共立出版
試験と成績について
- 講義内容について一定の水準に達していれば確実に合格する。試験で多少失敗しても、実際の到達度を反映するために平常点を参入する。
- 到達度を判定する試験であり、落とすための試験ではない。過度に神経質になってはいけない。
- やむを得ず試験を欠席する場合(例えば、事故での入院、他人に伝染する可能性のある病気、親族の不幸、など)は何らかの手段で担当教員まで連絡を取ること。