北海道大学理学部数学科紹介


今,私達の頭上を,気象衛星など数多くの人工衛星が飛んでいます。星出彰彦さんなど宇宙飛行士を乗せたソユーズが地球を周回して,再び正確に地球に帰還します。このすべてを支える基本原理は17世紀後半にニュートンによって発見された重力の法則‐運動方程式とその数学的解法すなわち微分積分法の中に求めることができます。一方,人工衛星に搭載されたコンピューター(の計算システム)という途方もなく大きな機構を可能にした原理は,数学の2進法でした。そんな技術的発展にもその前に,たとえば微分積分法や2進法のような理論的原理的に新しい理解を必要とします。遠くを見るために望遠鏡が,小さなものを見るために顕微鏡が必要であるように,私たちが今まで見ることのできなかったものをよりよく見るためには,新しい道具,あるいは新しい原理という道具が必要になるのです。

いま,宇宙の奥深くを観測しようと,ハッブル望遠鏡が活躍しています。一時期,球面収差のために観測データが不十分なのもになる恐れがありました。このとき,画像処理のためにデジタル解析の理論(数学ではwavelet analysisと呼ばれる)が駆使され,今では,素晴しい画像を地球に送り続けています。このときの画像処理の技術はその後乳ガンの診断に役立っているといいます。このように私たちを取り巻く世界は,もう数学とか,工学,物理,化学,医学という境界を超えて,互いに影響しあいながら発展しつつあります。そのもっとも基本的なところで,数学は次なる発展の胎動あるいは萌芽を静かに準備する学問である,と言うことができるでしょう。

それでは,数学の研究はどのようにして始めるのでしょう。その方法を数学科で学びます。まず微分積分学と線形代数学から始めます。このあと,代数学,幾何学,解析学,計算数学の基礎を学びます。自分のペースと志望に合わせて学習計画をたてることができます。内容が分からないから決められない?その場合は教員に相談して決めることももちろん可能です。いま何が先端で研究されているか,それを将来研究するためには,どんな勉強をすればよいか,どんな勉強の仕方をすればよいか。分からなかったら,聞いてみましょう。いつでも数学科の教員はその相談に応えます。