概要
- 力学系、エルゴード理論について、記号力学系を中心とし、エントロピー、変分原理、力学系のゼータ関数の性質を学習する。応用として、クッキーカッターと呼ぶ単位区間上の力学系の不変集合のフラクタル次元の評価を与える。また、形式言語と記号力学系の関係をDyckシフトを例として与える。
- 不変測度をもつ力学系について不変量としてのエントロピーが果たす役割
を理解することが目標である。また、変分原理を通じて統計力学との関係を
理解し、周期点の数から定義する力学系のゼータ関数の性質を学ぶ。
- 講義中に随時レポート問題を課す。成績はレポートで判定する。
- 出席率が高いので、レポート問題が解けなくても修士、卒研での研究内容
をA4サイズ1枚でまとめて提出すれば何かしら考慮する。
内容(日程は変わることがある)
- 4/7: 基本的な力学系、周期点、安定性: レポート問題
- 4/11: リアプノフ指数、共役、記号力学系: レポート問題
- 4/14: Markovサブシフト、力学系のゼータ関数: レポート問題
- 4/18: 力学系と不変測度、エルゴード定理: レポート問題
- 4/21: 不変測度とエントロピー: レポート問題
- 4/25 (休講)
- 4/28: Markovサブシフトのエントロピー: レポート問題
- 5/2: (理学院休講)
- 5/9: Gibbs測度(平衡測度)の存在、変分原理、Markov測度の場合: レポート問題
- 5/12: Gibbs測度(平衡測度)の存在、変分原理、Hölder連続関数をポテンシャル関数とする場合: レポート問題
- 5/16: ハウスドルフ測度とハウスドルフ次元、フラクタル集合、自己相似性: レポート問題
- 5/19: クッキーカッターの不変集合、IFS
- 5/23: クッキーカッターの不変集合と次元
- 5/26: 形式言語理論と記号力学系、soficシフトと有限オートマトン、正則言語
- 5/30: (休講)
- 6/6: Dyckシフトとプッシュダウンオートマトン
参考図書
- 森、水谷『力学系入門』(東京図書)
- 久保『力学系I』(岩波)
- Falconer『フラクタル幾何学の技法』(シュプリンガー東京)
注意等
レポートの締切は6月末とする。まとめて提出しても良いし、随時提出して
も良い。全ての問題を解く必要はない。