【 メール・レビュー集 Tropical 編 】
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2004年11月5日 石川剛郎によるレビュー
の代わりに,
はこだて特異点研究集会での私(石川)の講演のOHPシート(をスキャナーで読み込んで
pdf にしたもの)と参考文献を掲載しておきます.
参考になれば幸いです.
OHPシート前半部(カラー)
(pdf)
OHPシート後半部(カラー)
(pdf)
講演で配った参考文献
(pdf)
2004年10月25日 電気通信大学の山田裕一さんからのメール.
電気通信大学の山田裕一です.いつもお世話になっております.
いよいよ,「はこだて特異点研究集会」が目前となりました.
最近の mail での企画ものの盛り上がりをみて 私も是非とも参加したい,と
思っていたのですが,残念ですが 参加できそうにありません.
仕事のない 木曜 だけでも と思っていたのですが無理そうです.
すみません.参加する先生方にどうぞよろしくお伝え下さい.
ところで,この5月に私は念願の トルコの集会(S. Akbulut 氏の主催)
に参加してきました.自分の分野(4次元トポロジー)の有名人に会えて
幸せな1週間でした.
http://www.math.metu.edu.tr/~gokova/2004/index.html
実は,そこでの1つの主要テーマとしてトロピカル幾何がありました.
G.Mikhankin とその学生(たしか),また I.Itenberg, Welsinger の講演を
聞きました. (後の2人は,いくつかの点を通る有理曲線の個数の話ですが).
私は 代数幾何が勉強不足なので,ほんの雰囲気しか理解できません
でしたが,何か大きな動きがあるようだ,と感じてきました.
帰ってきたら e-mail 勉強会のテーマになっていてびっくりでした.
「はこだて特異点研究集会」の成功を祈り,後で 噂 を耳にするのを楽しみに
しています.
失礼致します.
先頭
へ.
2004年7月25日 石川 剛郎による「勝手にレビュー」
B. Sturmfels, Solving Systems of Polynomial Equations,
Regional Conference Series in Mathematics, No. 97,
Amer. Math. Soc., (2002). ISBN: 0-8218-3251-4
の9章(pp. 119--131)
のうちの,
9.3 The Bergman Complex of a Linear Space.
9.4 The Tropical Variety of an Ideal.
9.5 Exercises.
のレビューです.
9.3 では,
Bergman complex $B(X)$ をマトロイド理論と関係づけ,
いくつかの例を挙げて論じています.
9.4 では,
変数 $t, x_1, \dots, x_n$ の多項式 $f$ の tropicalization を定義しています.
そして,変数 $t, x_1, \dots, x_n$ の多項式環の
イデアル $I$ に対して,$I$ に属する多項式の tropicalization をとり,
それらに対して $\R^n$ の tropical variety $trop(I)$ が定義されます.
($I$ が $x_1, \dots, x_n$ の多項式環の
イデアルの場合に,この tropical variety と $I$ の Bergman complex
の関係を紹介し,さらに「非アルキメデスアメーバ」を紹介しています.
9.5 は演習問題ですね.そのうち解いてみます.
ところで,
B. Sturmfels, Solving Systems of Polynomial Equations,
Regional Conference Series in Mathematics, No. 97,
Amer. Math. Soc., (2002). ISBN: 0-8218-3251-4
には,他にもおもしろい話題が(おもしろい側面から)載っています:
第1章は1変数多項式の解を求める話,第2章は零次元イデアルの
Gr\" obner 基底の話で,これは residue や写像度と関連して興味があります.
第3章は Bernstein の定理や,Khovanskii の寡項式(fewnomial) の話で,
これまた前々から興味があります.
第4章は終結式の話,第5章は準素分解の話,第6章は経済学(Nash のゲーム理論)
との関係の話,第7章はヒルベルト第17問題や実零点定理で,これまた
実代数幾何から興味深く,第8章はランダム多項式の話,
第9章は,おなじみの熱帯代数幾何で,第10章は微分方程式との関係の話で,
さっと眺めるだけでも楽しいものです.
さて,一応設定したテキストは終了しました.
次に何を読むかですが,やはり Mikhalkin あたりでしょうか?
G. Mikhalkin, Amoebas of algebraic varieties and tropical geometry.
arXiv:
math.AG/0403015
.
(これは,math.AG/0108225 の増補版のようです).
先頭
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2004年6月11日 石川 剛郎による「勝手にレビュー」
B. Sturmfels, Solving Systems of Polynomial Equations,
Regional Conference Series in Mathematics, No. 97,
Amer. Math. Soc., (2002). ISBN: 0-8218-3251-4
の9章(pp. 119--131)
のうちの,
9.2 Amoebas and their Tentacles
のレビューです.
$X \subet (\C^*)^n$ を subvariety とします.
%ただし,$\C$ は複素数全体
写像 $\log : (\C^*)^n \to \R^n$ を
$\log(z_1, \dots, z_n) = (\log\vert z_1\vert, \log\vert z_2\vert,
\dots, \log\vert z_n\vert)$
で定義します.$X$ のアメーバとは,$\log(X) (\subset \R^n)$ の
ことです.対数をとっているので,
端の方が無限遠に延びたアメーバのような形をしています.
(と言っても,実際にアメーバを見たことはありませんけど.)
ところで,p.124 の13行目の "the complement of $X$ in $\R^n$"
の $X$ は $\log(X)$ ですね.
さて,次に $X$ に対して,logarithmic limit $B(X) \subset S^{n-1}$
を,アメーバ $\log(X)$ が無限遠に延びる方向の集合として
定義します.
そして,原点に関しての $B(X)$ の cone を $\tilde{B}(X)$ とします.
このとき,
定理:
$X$ が既約で $d$ 次元のとき,
$\tilde{B}(X)$ は $d$ 次元凸有理 polyhedral cone の有限和である.
$B(X)$ は $(d-1)$-次元多面複体である.
の Gr\" obner basis を使った証明が書いてあります.
$B(X)$ のホモロジーがどうなるか,などの問が自然に湧いてきます.
最後にグラスマン $G_{2, 5} = Gr(2, \C^5)$ の例が載っています.
私(石川)は,$Gr(2, \R^5)$ という6次元多様体が好きで,
他のこととも関連して非常に興味があるのですが,
この例はよくわかりませんでした.
先頭
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2004年5月10日 石川 剛郎による「勝手にレビュー」
ゴールデンウィーク中になんとか,
B. Sturmfels, Solving Systems of Polynomial Equations,
Regional Conference Series in Mathematics, No. 97,
Amer. Math. Soc., (2002). ISBN: 0-8218-3251-4
の9章(pp. 119--131)
のうち,
9.1 Tropical Geometry in the Plane と
9.2 Amoebas and their Tentacles
を読みました.(Amoeba は「アメーバ」と訳し,
Tentacle 「触手」とでも訳しましょう).
Tropical semiring (熱帯半環)とは,$\R \cup \{-\infty\}$
%\R は実数全体
に,tropical addition(熱帯和) $a + b := \max\{ a, b\}$ と,
tropical multiplication(熱帯積) $ab := a + b$ の演算を入れたものです.
(右辺は"温帯和"というか,通常の和です.
でも,こうして書いてくると,
"tropical" というネーミングは,欧米(+日本?)中心主義,温帯中心主義,
南北問題などと関わって,少しいやらしい気もしてきますね.
まあ,気にしないことにして,
この演算で代数幾何をやろうという趣向です.
たとえば,変数 $x$ に関する tropical polynomial(熱帯多項式) とは,
熱帯演算に関して $f(x) = a_nx^n + a_{n-1}x^{n-1} + \cdots + a_1x + a_0$,
つまり,
$f(x) = \max\{ a_n + nx, a_{n-1} + (n-1)x, \dots, a_1 + x, a_0 \}$
という形の式のことです.$f(x)$ の "variety" とは,
$f(x)$ が微分可能ではないような $x \in \R$ の集合と定義します.
方程式 $f(x) = 0$ の解とは,
tropical semiring における零元が $-\infty$ なので,すなわち,
$f(x) = - \infty$ をみたす $x$ のことですが,
上の定義は,このことと整合する,というようなことが書いてあります(p.119)が,
ここの箇所はわかりませんでした.
それはともかく,2変数熱帯1次式
$f(x) = ax + by + c = \max\{ a + x, b + y, c\} $
の variety は,1点から発する,南向き,西向き,北東向きの3本の半直線から
なります.重箱の隅を覗き込んだ状況ですか.角の線が3本.
したがって,熱帯2直線は1点で交わる,というわけです.
一般の2変数熱帯多項式 $f(x) = \sum_{(i, j) \in A} \omega_{ij}x^iy^j$
($A \subset \ZZ^2$ は有限集合)を考えましょう.
%\ZZ は整数全体
たとえば,
$f_1(x, y) := 0x^2 + 1xy + 0y^2 + 1x + 1y + 0$
(係数は $0$ でも $1$ でも必ず書く)は,すなわち,
$f_1 = \max\{ 2x, 1 + x + y, 2y, 1 + x, 1 + y, 0 \}$
ですが,これの variety を描くのはなかなか大変です.が,
命題 9.2 を使えば(regular subdivision of Newton polygon を使って)
簡単に描けるということですね.(variety を描くときに,どの部分が無限に延びて,
どこで止まるか,がわかる).
定理 9.5 は,熱帯ベスーの定理($d$ 次曲線と $e$ 次曲線は $de$ 個の交点を持つ)です.
9.2 のレビューは後日.
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2004年4月19日 齋藤幸子さん(北海道教育大,函館)からのメールです.
齋藤幸子です.
2月のMSRIでは,Mikhalkin,Itenberg,Shustinが,
Real tropical varieties についての講演していました.
Welschinger invariant の具体的計算を行っていました.
ワークショップのvideoが公開されています:
http://www.msri.org/publications/video/index08.html
それから,ワークショップ参加者あてにShustinから次のメールが来ました:
Dear participants of the program "Topological aspects
of real algebraic geometry",
Those who want to learn more on the tropical algebraic geometry
and its relations to the complex algebraic geometry, symplectic
geometry, combinatorics of convex polytopes etc., are welcome to
the Oberwolfach seminar "Tropical algebraic geometry" which
will be run by I. Itenberg, G. Mikhalkin, and E. Shustin
at the Mathematisches Forschungsinstitut Oberwolfach on
October 10 - 16, 2004.
For all the details visit the web site
http://www.mfo.de
or, more precisely,
http://www.mfo.de/cgi-bin/path?../cgi-bin/tagungsdb?type=21&tnr=0442B
E. Shustin
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2004年4月17日 石川 剛郎記.
Tropical 幾何をどうして"Tropical" というか知りませんでしたが,
宮岡礼子さんから送って頂いた M.Gross の講演録(庄田敏宏さん作成)
を見ると,「ブラジルの計算機科学者がその有用性を見つけたから」
と書いてありますね.
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2004年4月15日
宮岡礼子さん(九大・理)からのメール
面白そうな企画のお誘い、ありがとうございます.
トロピカル幾何の「アメーバ」の講演を
一月のDurham での集会でM. Grossが行い、このノート
(慶応で作成)を以前私の学生だった庄田敏宏君
(東工大でこの春学位をとりました.極小曲面論です)
が作成したものを、提供してもらいましたので
添付(dvi)
します.なんだか面白そうです.
Atiyah-Berndt の仕事の講演も以前に上智大で
してもらいましたが,これは論文になっているので
問題ないですね.
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