渦の特徴付け

Contents

アブストラクト

胸部大動脈形状の特徴と渦構造の関係について 水藤 寛(岡山大)
胸部大動脈の形状には個人差が大きく、それによってもたらされる血流の様相にも特徴がある。動脈硬化や大動脈瘤の形成に影響があるとされる壁面剪断応力の分布を指標とし、大動脈形状~渦構造~壁面剪断応力の関連について報告したい。
致死性不整脈を総括的に概観する 大坂元久(日本獣医生命科学大)
致死性不整脈の大半は心室細動による。その電気現象的機序は渦巻き型の興奮旋回である。心室細動の維持機構と数理モデルの関連について解説する。数理モデルは厳密性は欠くが数理的な興味を満足させ本質を洞察するものと、あくまでも精緻なモデルに分かれる。今回は総括するという立場すなわち臨床応用に向けるという観点から、心室細動を電気ショックで止める、すなわち除細動に数理的な観点から助言できるかについて述べる。
「渦」と「地」をめぐる諸相 中島和歌子(東大)
本発表においては、「渦」と「地(大地・土地)」の関係性について、20世紀アメリカを中心に、宗教学的・美術史学的事例に着目しながら考えてみたい。渦的なかたちを地面に描くということ、並びに、その渦に沿って動くこと(渦動)の意味を考察するとともに、特定の土地のエネルギーを象徴するキーワードとしての「渦」についても紹介する。
結晶成長における渦の対の相互作用 大塚 岳(群馬大)
らせん転位による結晶の成長では、その表面にステップにより描かれる渦巻模様が見られる。この渦巻模様について、二つの中心が表面に存在するとき、その対の距離によって成長が速くなったり、止まったりする現象が見られる。本講演では、この対による成長の変化について考える。
内旋(involution)としての復興 森反章夫(東京経済大)
復興を、「発展」「開発」の視点からとらえるのでは、東日本の沿岸被災集落の実践は捉えられないのではないか。そこで、被災地復興の動向を、内旋過程として記述することを試みる。
TBA 鈴木 泉(東大)

歳差回転球内流れ 木田重雄(同志社大)
歳差回転する球内に生ずる流れの構造について述べる。特に、境界層の特異性から生ずる円錐剪断層と細い管状に集中した渦度の輪に注目する。渦の特徴づけの方法のひとつである「低圧力渦法」についても触れる予定である。
二次元多重連結領域における流線の位相構造の分類とその語表現 坂上貴之(京大)
二次元空間に多くの障害物や島があるような領域を考え、そこに非粘性・非圧縮の流体があるとする。このとき、この流体の運動によって作られる流れ(流線)のトポロジカル(位相幾何学的な)構造を分類し、それをある「文字列」として特徴づける方法について解説する。文字列表現のおかげで、渦構造のトポロジカルな特徴づけが可能となり、また起こりうるすべての流れパターンの網羅的な分類も可能となることを見る。