平成17年度入学以前 : 数学科目ガイド
線形代数学I(2単位)(1年前期:行列と行列式)
- 行列 : 定義と算法(和・スカラー倍,積),行列の転置
- 連立1次方程式の理論 : 消去法と行列の掃き出し法,解空間
- 行列の階数
- 行列式 : 定義と基本的な性質,余因子展開
- 逆行列
- クラメールの公式
- 【平面上の一次変換と行列】(時間に余裕のある場合に扱う)
- 授業の目標
- 線形代数学への入門として,行列と行列式について講義する.行列と行列式の 演算及び行列の基本変形(掃き出し法)を学び,これらの事柄を連立1次方程 式との関連で理解することを目標にする.
- 到達目標
- 行列と行列式の演算および行列の基本変形(掃き出し法)に習熟する.行列式や 逆行列の計算方法,連立1次方程式の解の公式(クラメールの公式)を理解し, 活用できる力を養う.
- 備考
- 線形代数学Iは線形代数学IIの前提となる.数学科の学生は2年前期の数学基礎1 (代数と解析の演習)で,この内容についてさらに演習を行う.
微分積分学I(2単位)(1年前期:微分法)
- 数列と関数:
- 実数の連続性,数列の収束
- 関数の連続性,連続関数の性質,逆三角関数
- 1変数関数の微分法:
- 微分係数の定義と導関数
- 逆関数の微分法,媒介変数による微分法
- 平均値の定理,高次の導関数とテイラ−の定理
- 不定形の極限
- 多変数関数の微分法:
- 点集合(距離,開(閉)集合,領域等),関数の極限と連続性
- 偏微分,全微分可能性
- 合成関数の微分法,テイラ−の定理
- 写像とヤコビアン,陰関数定理
- 極値問題
- 曲線と曲面
- 授業の目標
- 微分法についての講義を行う.講義の前半では,1変数関数の微分法について 高等学校で学んだことを体系的に整理し,新しい概念や定理の補充を行う.講 義の後半では,多変数関数(主に2変数関数)の微分法について学ぶ.講義の 全体を通して,1変数関数の理論がどのように多変数関数の理論に拡張される かについての理解を深めるとともに,科学の諸分野で起こる問題を数学的に定 式化し,解決する能力を養うことを目標とする.
- 到達目標
- 1変数および多変数の微分法に習熟し,近似値,極限値,極大・極小などを微 分法を用いて具体的に計算できる力を養う.
- 備考
- 微分積分学Iは微分積分学IIの前提となる.ヤコビアンの学習には行列と その行列式の知識が必要である.数学科の学生は2年前期の数学基礎1 (代数と解析の演習)で,この内容についてさらに演習を行う.
線形代数学II(2単位)(1年後期:ベクトル空間と線形写像)(数理系を除く)
- ベクトル空間:定義と例,部分空間
- 一次独立と一次従属,ベクトル空間の次元と基底
- 線形写像:行列との関係,階数,基底の変換
- 線形写像の核と像
- 行列および線形写像の固有値と固有べクトル
- 内積空間:定義と例,ノルム,シュワルツの不等式
- シュミットの直交化,直交補空間
- 対称行列の対角化と2次形式
- 授業の目標
- 線形代数学Iに引き続いて,ベクトル空間と線形写像について講義をする.行列 と連立1次方程式の理論が,ベクトル空間の概念を基礎とした線形写像の理論 として明快にとらえられることを明らかにする.さらに,線形写像の固有値を用 いて,正方行列とくに対称行列を対角化する理論および計算法を修得する.
- 到達目標
- ベクトル空間や線形写像の概念を理解し,行列とベクトルによる具体的な取扱い に習熟する.また,固有値を用いて2次,3次の行列の対角化を具体的に実行で きる力を養う.
- 備考
- 線形代数学IIの学習には線形代数学Iの知識が前提となる.
微分積分学II(2単位)(1年後期:積分法)
- 1変数関数の積分法:
- 定積分の定義と性質
- 原始関数,微分と積分の関係
- 広義積分の定義とその収束の条件
- ガンマ関数,ベータ関数
- 多変数関数の積分法:
- 重積分の定義とその性質(主として 2,3次元)
- 重積分の計算法(累次積分,変数変換による積分など)
- 広義積分の定義とその収束の条件
- 重積分の応用(体積,曲面積,線積分など)
- 授業の目標
- 積分法についての講義を行う.講義の前半では,1変数関数の積分法について 高等学校で学んだことを体系的に整理し,新しい概念や定理の補充を行う.講 義の後半では,多変数関数の積分法について学ぶ.講義の全体を通して,1変 数関数の理論がどのように多変数関数の理論に拡張されるかについての理解を 深めるとともに,科学の諸分野で起こる問題を数学的に定式化し,解決する能 力を養うことを目標とする.
- 到達目標
- 1変数および多変数の積分法に習熟し,定積分,不定積分,線積分,面積, 体積,曲面積などを具体的に計算できる力を養う.
- 備考
- 微分積分学IIの学習には微分積分学Iの知識が前提となる.数学科の学生 は2年前期の数学基礎1(代数と解析の演習)で,この内容についてさらに演習を行う.
微分積分学III(2単位)(2年前期:微分方程式入門 ) (理[物・化・生],医,薬,農,水産の各組に開講)
次の項目より選んで講義を行う.
- 求積法(変数分離形,同次形,1階線形の方程式)
- 2階線形方程式(基本解,ロンスキアン,初期値問題)
- 完全形(ポテンシャル関数の存在と求め方)
- 演算子法
- 定係数連立1階線形方程式(未知関数が2個,方程式の個数が2個の場合など)
- 平面曲線とクレ−ロ−の微分方程式
- 計算機を用いた近似解法
- 授業の目標
- 微分方程式の基礎について講義する.基本的な微分方程式の具体的解法を身に つけるとともに,科学の諸分野で起こる問題を数学的に定式化し,解決するた めの基本的な考え方を学ぶ.関連する微分積分学のさまざまな事項への理解を 深めると同時に,微分方程式の背景や他の数学分野との関連なども知る.
- 到達目標
- さまざまなタイプの基本的な微分方程式の解法を修得し,具体的に解けるよう になること.
- 備考
- 線形代数学I,微分積分学I, II で学んだ内容を理解し,使えるようにしておく ことが望ましい.基本的な事項の解説とともに,具体的に解けることを目標に して,講義の随所で必要な計算練習を行う.
微分積分学III(2単位)(2年前期:級数入門) (工[材料化学・情エレ・物工] の各組に開講)
- 基礎概念:実数の連続性 (上限定理) ,数列の極限
- 連続関数の性質 (ε-δ論法, 一様連続性に触れる)
- 級数:収束,発散 (比較判定法, ダランベ−ルの判定法など)
- 整級数:収束半径, テイラー級数, 項別微積分定理
- 授業の目標
- 数列,級数の収束発散に関する基礎的な事柄や,関数のテイラー展開, 整級数とそ の応用などについて学ぶ. 極限や関数の厳密な扱い方に慣れ,級数の収束発散につ いての計算やその判定を行う力を養成することを目標とする.
- 到達目標
- 基本的な級数の収束や和の計算法を修得し, 収束発散の判定方法やε-δ論法 の議論を身につける. 整級数の関数としての取扱いにも慣れる.
- 備考
- 微分積分学Iを理解していることが望ましい.
線形代数学II(2単位)(1年後期:ベクトル空間と線形写像 )(数理系に開講)
- ベクトル空間:定義,部分空間,直和,商ベクトル空間
- 一次独立と一次従属,ベクトル空間の次元と基底
- 線形写像:表現行列,階数,基底の変換,準同型定理
- 行列または線形写像の固有値と固有ベクトル,固有多項式
- 行列の対角化可能性
- 授業の目標
- 線形代数学Iで学んだ内容を踏まえて,ベクトル空間と線形写像について講義 をする.行列と連立1次方程式の理論が,ベクトル空間の概念を基礎とし た線形写像の理論として明快にとらえられることを明らかにする.さらに,線 形写像の固有値を用いて行列を対角化する理論について学ぶ.2年次以降の数 学を学ぶために,ベクトル空間,商ベクトル空間,線形写像の固有値・固有ベ クトルなどの基本概念を十分に理解することを目指す.
- 到達目標
- ベクトル空間と線形写像の抽象的な概念に慣れ,同時に,行列とベクトルによ る具体的な取扱いに習熟する.固有値を用いた線形写像の対角化の仕組みを 理解し,2次,3次の行列の対角化を具体的に計算できる力を養う.
- 備考
- 線形代数学IIの学習には線形代数学Iの知識が前提となる.数学科の学生は2年 前期の数学基礎1(代数と解析の演習)で,この内容についてさらに演習を行う.
微分積分学III(2単位)(2年前期:微分方程式入門)(数理系に開講)
次の項目より選んで講義を行う.- 1階常微分方程式:変数分離形の方程式, 完全型の方程式
- 線形に導き得る方程式, 斉次微分方程式
- クレーローの方程式
- 高階の常微分方程式:定数係数の線形方程式, 特殊な型の2階常微分方程式
- ロンスキアン, 解の一次独立性
- 定数係数連立1階線形方程式
- 級数展開法によって解ける2階線形方程式
- 授業の目標
- 標準的で基本的な微分方程式の解法について講義する. 微分方程式の具体的解法 を修得するとともに,科学の諸分野で起こる問題を数学的に定式化し,解決する ための基本的な考え方を学ぶ.関連する微分積分学のさまざまな事項への理解を 深める.同時に,微分方程式の背景や他の数学分野への関連なども理解する.
- 到達目標
- さまざまなタイプの基本的な微分方程式の解法を修得し,方程式を具体的に解く 力を養う.
- 備考
- 線形代数学I, II,微分積分学I, IIで学んだ内容を理解し,使えるようにしてお くことが望ましい.数学科の学生は2年前期の数学基礎1(代数と解析の演習) で,この内容についてさらに演習を行う.
数学序論1(2単位)(1年前期:数と集合)
- 論理記号の練習(∀,∃など)
- 集合・写像という概念
- 集合と写像の様々な例:数の集合(自然数から複素数),図形と方程式(空間内の平面・直線),合同変換
- 集合の操作:和,共通部分,直積
- 同値関係と商集合(例:整数の合同式)
- 【整数:最大公約数と最小公倍数,ユークリッド互除法】
- 授業の目標
- 現代数学を学ぶために必要な集合と写像について理解することを目指す. 同時に,数学における論証の基本を学ぶ.また,自然数から複素数にいたる 様々な数の集合とそれらの基本的性質を概観する.
- 到達目標
- 集合や写像の概念とそれらの操作に慣れる.また,集合の直積や商(剰余) という考え方を,身近な例をとおして理解する.数学で頻繁に用いられる論 理記号の使い方や,論証の進め方の初歩を身につける.様々な数の集合があ ることを知る.
数学序論2(2単位)(1年後期:ユークリッド空間の位相)
- ユークリッド空間における点列の収束と連続写像(ε-δ論法)
- ユークリッド空間の近傍,開集合,閉集合,閉包,境界
- 開集合・閉集合の概念による連続写像の記述
- 有界閉集合とコンパクト性,連結性,弧状連結性,Rの区間の連結性,中間値の定理
- 【一般の距離空間の概念の紹介】
- 授業の目標
- ユークリッド空間の位相について講義する.ユークリッド空間の位相に関する 基本的な概念や言葉を導入し,これらの概念を用いて数列の収束や関数の連続 性などが厳密に扱えることを明らかにする.
- 到達目標
- ユークリッド空間の位相に関する基本的な概念(ε-δ論法,近傍,開集合, 閉集合など)になれ,具体例の扱いをとおして,使いこなせるようになること. また,集合の連結性やコンパクト性の概念を会得すること.
- 備考
- 数学序論1(数と集合)で学んだ内容を理解し使えるようにしておくことが望 ましい.2年後期の数学基礎2(代数,集合と位相の演習)でこの内容につい ての演習を行う.
数学序論A(2単位)(前期:線形代数)(講究A付き)
- 内積と計量ベクトル空間
- 正規直交系,直交行列とユニタリ行列
- 実対称行列や正規行列の対角化
- 2次形式とその標準化,【2次曲面の分類】
- 線形変換の固有多項式と最小多項式
- 一般固有空間への分解とジョルダンの標準型
- ジョルダンの標準型の応用
- 授業の目標
- ベクトル空間上の線形変換(正方行列)の対角化や標準化についての基礎理論と 計算法を修得することを主たる目標とする.前半では,内積を備えたベクトル空 間を考察し,内積を不変にする正則な線形変換によって,実対称行列や正規行列 が対角化可能であることを明らかにする.後半では,必ずしも対角化可能でない 一般の複素正方行列を扱い,それらがジョルダンの標準型に相似であることを示す. 同時に,微分方程式など他の事項との関連や応用面にも触れて,ジョルダンの標準 型に対する理解を深める.
- 到達目標
- 計量ベクトル空間と内積の扱いに習熟し,直交(ユニタリ)行列による2次, 3次の実対称(正規)行列の対角化,および,2次形式の標準化を具体的に実行 できるようにする.また,ジョルダンの標準型の意味を理解し,簡単な場合に標 準型を求めることができる力を養う.
- 備考
- 線形代数学IIの内容を理解しておくこと.数学基礎1(代数と解析の演習) で,この内容についてさらに演習を行う.
数学序論B(2単位)(後期:多重線形代数, テンソル代数)(講究B付き)
- 線形写像の空間と双対空間,多重線形写像,双一次形式,非退化性
- ベクトル空間のテンソル積とその性質
- 対称テンソルと交代テンソル
- 交代テンソルと行列式
- テンソルのなす結合代数:テンソル代数,外積代数,対称線形代数と多項式環
- テンソル積の応用
- 授業の目標
- テンソル積を中心とする多重線形代数学の講義を行う.過度の抽象化を避けるた め主として有限次元ベクトル空間の場合を扱い,各種テンソルがつくるベクトル 空間や代数を構成してその基本的な性質を学ぶ.数学や物理学の多くの分野での 基礎知識となるテンソルという概念を明確に理解し,使いこなせるようになるこ とを目指す.また,テンソル積の代数,幾何,あるいは解析の分野における応用 にも触れる.
- 到達目標
- 多重線形性や対称(交代)性に基づく各種テンソルの構成と基本的性質を会得し, テンソルの具体的な取扱いを適切に行うことができる.
- 備考
- 線形代数学II,数学序論A(線形代数)の内容をよく理解しておくこと. 数学基礎2(代数,集合と位相の演習)で,この内容についてさらに演習を行う.
数学序論C(2単位)(前期:級数論入門)(講究C付き)
- 実数の基本的性質: 上限と下限,収束の定義,ε-δ論法,コーシー列,完備性(区間縮小法)
- 級数:正項級数,絶対収束級数
- 関数項級数: 一様収束,項別微分定理,整級数,フーリエ級数(初歩的な部分)
- 授業の目標
- 前半では,収束の概念を厳密に定式化し,実数の基本的性質を学ぶ.実数の数列 や級数の収束についての例を豊富に提示して,具体例を通して理解を深めるよう にする.後半では関数列や関数項級数の収束について学習する.関数項級数では 整級数やフ−リエ級数を取り上げ,級数の一様収束の概念を修得し,活用できる ようにする.
- 到達目標
- ε-δ論法の議論を身につけ,実数の基本的性質を理解する.関数列の各点収束 と一様収束の違いをはっきりと認識する.また,整級数の関数としての取扱い に習熟する.
- 備考
- 数学序論2(ユークリッド空間の位相)を学んでいることが理解の助けになる. 数学基礎3(解析,Rnの位相の演習)で,この内容についてさらに演習を行う.
数学序論D(2単位)(前期:多変数解析の基礎)(講究D付き)
- 陰関数および逆関数定理
- 曲線,曲面の関数による記述
- 極値問題への応用
- 連続関数の基本的性質:最大値・最小値の定理,一様連続性
- リーマン積分の定義と基本的性質:連続関数の一様連続性と可積分性
- 授業の目標
- 多変数関数についての陰関数定理や逆関数定理を導き,曲面,曲線を関数で 記述するための基礎を学ぶ.応用として多変数関数の極値問題を扱う.一方, 連続関数がコンパクト集合上最大値や最小値をもつことに代表される連続関 数の基本的性質を,実数の連続性から導く.一様連続性にもとづき,多変数 連続関数の有界閉直方体での積分可能性を示すなど,リーマン積分の定義と その基本的性質を論じる.
- 到達目標
- 1.逆関数定理,陰関数定理を理解し,活用できること. 2.多変数関数の極大・極小を束縛条件付でも求められるようにする. 3.コンパクト集合上の連続関数の諸性質の証明を理解. 4.関数の一様連続性の概念を修得. 5.一様連続性にもとづくリーマン積分可能性についての証明の理解.
- 備考
- 微分積分学I,IIおよび数学序論C(級数論入門)を履修していることが望ましい. 数学基礎3(解析,Rn の位相の演習)で,この内容についてさらに演習を行う.
数学序論E(2単位)(後期:ベクトル解析)(講究E付き)
- 曲線の長さ,曲面積
- 線積分,面積分
- グリーンの定理, ガウスの発散定理, 【一般の微分形式についてのストークスの定理】
- 授業の目標
- 主として,部分積分を活用した多変数関数の積分論(ベクトル解析)を学ぶ. 単純な図形上のC∞ 関数(微分形式)の積分を主に取扱い,曲線の 長さ・曲面積,また,線微分・面積分の概念になれる.厳密な証明よりも例 を豊富に提示する.
- 到達目標
- 1.曲面積の定義と計算法の理解. 2.面積分の概念の修得. 3.グリーン・ガウス・ストークスの定理に代表される部分積分法に習熱.
- 備考
-
微分積分学II, 数学序論D(多変数解析の基礎)を履修していることが望ま
しい.数学基礎3(解析,Rnの位相の演習)でこの内容の演習を行う.
数学序論F(2単位)(後期:複素関数論入門)(講究F付き)
- 初等関数:指数関数,対数関数とその多価性,など
- 正則関数の基本的性質:コーシー・リーマンの方程式,調和関数
- 複素線積分とコーシーの積分定理,コーシーの積分公式
- テーラー展開
- 留数定理と定積分への応用
- 授業の目標
- 複素関数の微積分の初歩を学ぶ.コーシーの積分定理・積分公式や テーラー展開など,複素関数の微分可能性から導かれる正則関数の基本的 諸定理や性質を理解することを目標に授業を展開する.また,これらの定理 が数学から物理学・工学にいたる広範な領域において基礎的な知識となって いることにも留意し,留数定理の応用として,基本的な定積分の求め方を紹 介する.
- 到達目標
- 正則関数の基本的諸定理や性質を理解すること.また,留数を用いて簡単な 定積分の計算ができるようになること.
- 備考
- 数学序論C(級数論入門)を受講しておくことが望ましい.数学基礎3 (解析,Rnの位相の演習)で,この内容についてさらに演習を行う.
数学序論G(2単位)(後期:集合と位相)(講究G付き)
- 集合:集合の濃度(可算,非可算の区別程度,べき集合),ツォルンの補題とそれに必要な範囲の順序集合(上限,極大,最大など)
- 位相空間の定義(開集合系による)と例(ユークリッド空間や距離空間など)
- 閉集合と閉包,近傍,部分位相空間,直積空間
- 位相空間の間の連続写像
- 位相空間の諸性質:連結性・弧状連結性,コンパクト性,ハウスドルフ性,可算公理
- 距離空間:完備性,点列コンパクトとコンパクトの同値,関数列の同程度連続性とアスコリ・アルツェラの定理
- 授業の目標
- 数学序論2で学んだユークリッド空間上の位相の概念がより一般的に定式化 されて様々な集合に位相構造が定まる仕組みを学ぶ.位相空間の基本的な性質 を表す重要な諸概念を修得することを第一の目標とする.こういった学習をと おして,ユークリッド空間の位相についてさらに理解を深める.集合論では, 可算,非可算の濃度の区別や選択公理(ツォルンの補題)などを学ぶ.
- 到達目標
- 位相空間の定義および位相構造に関わる諸概念を理解し,様々な位相空間の 例や連続写像の扱いに習熟する.コンパクト性をはじめとする位相空間の基 本性質を会得し,具体例に適用できる力を養う.集合論については,選択公 理,順序,濃度などを理解する.
- 備考
- 数学序論1(数と集合),数学序論2(ユークリッド空間の位相)を受講して いることが望ましい.数学基礎2(代数,集合と位相の演習)でこの内容につ いての演習を行う.この科目の内容は多くの専門科目(とくに幾何学と解析学) を学ぶための基礎となる.
数学基礎1(2単位)(前期:代数と解析の演習)
線形代数学I,II ,数学序論A(線形代数)および 微分積分学I,II,III の講義の内容をさらによく理解させるためのトレーニングをおこなう.代数は, 連立1次方程式,行列と行列式,ベクトル空間と線形写像,固有値,内積, ジョルダン標準形,ベクトル空間の直和と商ベクトル空間,から問題を精選 する.解析は,1変数および多変数の微分積分,微分方程式から問題を精選 する.
問題(および解答)は対応科目・本演習の担当者と関連するテーマの教員 が作成し,それを数学教室として徐々に蓄積・改良していく.
- 対応科目
- 線形代数学I,II ,数学序論A(線形代数), 微分積分学I,II,III
数学基礎2(2単位)(後期:代数,集合と位相の演習)
数学序論2(ユークリッド空間の位相), G(集合と位相), B(多重線形代数, テンソル代数)の講義の内容をさらによく理解させる ためのトレーニングをおこなう.
問題(および解答)は対応科目・本演習の担当者と関連するテーマの教員 が作成し,それを数学教室として徐々に蓄積・改良していく.
- 対応科目
- 数学序論2(ユークリッド空間の位相), G(集合と位相), B(多重線形代数, テンソル代数)
数学基礎3(2単位)(後期:解析,Rnの位相の演習)
数学序論C(級数論入門),D(多変数解析の基礎),E(ベクトル解析), F(複素関数論入門)の内容を更によく理解するためのトレ−ニング.
問題(および解答)は対応科目・本演習の担当者と関連するテーマの教員 が作成し,それを数学教室として徐々に蓄積・改良していく.
- 対応科目
- 数学序論C(級数論入門),D(多変数解析の基礎), E(ベクトル解析),F(複素関数論入門)
代数学1(2単位)(前期:群論1)(講究付き:1)
- 基礎概念:群,部分群,剰余類,直積,可換群
- 準同型定理:準同型写像,正規部分群,剰余群
- 有限生成アーベル群:構造定理,階数,ねじれ群
- 群の例:整数の加法群,巡回群,二面体群,対称群,線形群
- コメント
- 群論の初歩を扱う.引き続き,代数学4(群論2)を履修することが望ましい.
代数学2(2単位)(前期:環と体)(講究付き:2)
- 基礎概念:環と体,整域,部分環,部分体,イデアル,体の標数,商体
- 環準同型定理:準同型写像,同型,剰余環
- 極大イデアルと素イデアル
- 多項式:体係数の多項式の性質,既約性の判定
- 拡大:添加,代数的,超越的,代数拡大,拡大次数,単純拡大
- 環の例:有理整数環,ガウスの整数環,多項式環,べき級数環,行列環
- 体の例:方程式の分解体,数の体,有理関数体,有限素体
- コメント
- 環論と体論の初歩を扱う.体の拡大については,定義および例を紹介する程度. 引き続き,代数学3(環と加群),代数学5(体論 (ガロアの理論)),を履修 することが望ましい.
代数学3(2単位)(後期:環と加群)(講究付き:3)
- 準備:環についてのおさらい
- 環の扱い:直積,中国式剰余定理,分数化
- 一意分解:素元分解,一意分解整域,単項イデアル整域,ユークリッド環
- 環上の加群:加群とベクトル空間,準同型定理,完全系列(核や余核の概念)
- 単項イデアル整域上の有限生成加群:単因子,構造定理とその応用
- コメント
- 環と加群の基礎を学ぶ.時間に余裕があれば,ネーター性も扱う.代数学2 (環と体)の前半部分を理解していることが望ましい.代数学続論1(環論2) でさらにすすんだトピックスを学ぶ.
代数学4(2単位)(後期:群論2)(講究付き:4)
- 準備:群論の基礎についてのおさらい,代数系
- 群の作用:G-集合,軌道分解,置換表現,シローの定理とその応用
- 正規列:可解群,べき零群,単純群,組成列
- 生成元と関係式:基本関係式による群の定義
- コメント
- さらに発展した群論を学ぶ.代数学1(群論1)を履修しておくことが望ましい. 引き続き代数学続論1(環論2)を履修することが望ましい.
代数学5(2単位)(後期:体論(ガロア理論))(講究付き:5)
- 準備:体についてのおさらい
- ガロア拡大:代数拡大,ガロア拡大とガロア群,方程式のガロア群
- 基本定理:ガロア理論の基本定理,ガロア群の計算
- 有限体:有限体の性質,有限体の構成
- ガロア理論の応用:方程式のべき根による解法
- コメント
- ガロア理論を扱う.代数学2(環と体)(それとできれば代数学1(群論1)) を履修しておくことが望ましい.代数学5(体論(ガロア理論))とともに, 代数学4(群論2)と3(環と加群)を聞けば理解の助けになる. 引き続き,代数学続論1(環論2)を履修することが望ましい.
幾何学1(2単位)(前期:曲線論と曲面論)(講究付き:1)
- フレネ・セレーの公式,第2基本形式,ガウス曲率,測地線, 曲面のオイラー数とガウス・ボンネの定理
- 到達目標
- 1.曲線や曲面の幾何学的な取り扱いに慣れ,多様体の概念を自然に受け入れられるようになること. 2.曲率や測地線などの幾何学的概念の意味を理解し,具体的な場合に計算ができること. 3.ガウス・ボンネの定理などを通じて,局所的概念と大域的概念の有機的な関連を学ぶこと.
- 備考
- 数学序論A(線形代数),B(多重線形代数,テンソル代数), D(多変数解析の基礎),E(ベクトル解析),G(集合と位相) を前提とする. 引続き,幾何学3(多様体入門) を受講することが望ましい.
幾何学2(2単位)(前期:トポロジー入門)(講究付き:2)
- 閉曲面のトポロジー: 閉曲面の分類(紹介),商位相
- 基本群:位相不変量,ホモトピーの概念と不変量,基本群,被覆空間, 群の表示,ファン・カンペンの定理
- 到達目標
- 1.閉曲面の位相的分類と構成を正しく理解すること.商空間の概念を理解すること. 2.ファン・カンペンの定理などを用いて,具体的な場合に,基本群が計算できること. 3.不変量の概念を理解すること.代数的な対象を用いて空間の位相不変量(ホモトピー不変量)を得る, という過程・方法を学ぶこと.
- 備考
- 数学序論G(集合と位相)を前提とする. 代数学1(群論1)を受講していることが望ましい. また,引き続き,幾何学4(ホモロジー論)を受講することが望ましい.
幾何学3(2単位)(後期:多様体入門)(講究付き:3)
- 多様体の定義と例 (球面や射影空間)
- 写像とその微分:接ベクトル空間,写像の微分,余接ベクトル空間,臨界値と正則値,部分多様体(例: 2次曲面)
- ベクトル場と微分形式 (主に低次のもの):ベクトル場とその積分,リー微分,外微分,リー括弧積
- 到達目標
- 1.多様体の具体例を学んで,多様体の概念に慣れること. 2.接ベクトルや写像の微分などの基本的対象・方法を正しく理解し, 具体的な場合に使いこなせるようになること. 3.ベクトル場や微分形式を使った計算ができるようになること.
- 備考
- 数学序論D(多変数解析の基礎),E(ベクトル解析),幾何学1 (曲線論と曲面論),解析学3(常微分方程式論と力学系理論入門) を前提とする. 幾何学5(多様体の幾何とトポロジー)も受講することが望ましい.
幾何学4(2単位)(後期:ホモロジー論)(講究付き:4)
- 単体複体,有限胞複体とそのホモロジー
- 特異ホモロジー群:ホモトピー不変性,マイヤー・ヴィエトリス完全列,空間対のホモロジー完全列,切除定理,1次元ホモロジー群と基本群の関係
- ホモロジーの応用
- 到達目標
- 1.ホモロジーの概念・手法と幾何学的意味を正しく理解すること. 2.ホモロジー論を適用して,具体的な空間のホモロジー群が計算できること. 3.ホモロジー群がいろいろな問題に応用されることを知ること.
- 備考
- 数学序論A(線形代数),B(多重線形代数,テンソル代数),とくに 商ベクトル空間に習熟していること, 幾何学2(トポロジー入門),代数学1(群論1)を前提とする. 代数学4(群論2)も受講していることが望ましい. また,幾何学5(多様体の幾何とトポロジー)を受講するのが望ましい.
幾何学5(2単位)(後期:多様体の幾何とトポロジー)(講究付き:5)
次のA(西暦偶数年度)またはB(西暦奇数年度)を隔年でおこなう.
-
A: 多様体の向き,微分形式の積分,ストークスの定理,ド・ラーム コホモロジー,特異コホモロジーとの同型 等
-
B: 横断正則性,写像度,ベクトル場の指数,ポアンカレ・ホップの定理(ベクトル場とオイラー標数)等
- 到達目標
- 1.幾何学1〜4で学んだ(学んでいる)種々の幾何学的概念についての 理解をさらに深め,それらの有機的な関連を学ぶこと. 2.種々の幾何学的概念が,いろいろな問題に応用されることを理解すること.
- 備考
- 数学序論B(多重線形代数,テンソル代数),幾何学1(曲線論と曲面論), 2(トポロジ−入門),3(多様体入門),4(ホモロジ−論)を受講したか, または受講していることを前提とする.
解析学1(2単位)(前期:Rn上のルベーグ積分論)(講究付き:1)
- 外測度,可測関数
- ルベーグ測度零集合
- 収束定理:単調収束定理,ファトゥーの補題,ルベーグの優収束定理とその応用
- Lp空間の定義とL1空間の完備性
- フビニの定理とその応用
- リーマン積分とルベーグ積分との関係
- 授業の目標
- リーマン和の極限として得られるリーマン積分は,具体的な関数の積分を計算 する上では便利であった.しかし,リーマン積分可能な有界な関数列の極限 として得られる関数は,リーマン積分可能には必ずしもならない.極限操作を 多用する解析学では使い勝手がわるい.そこで極限操作について閉じているよ うな積分概念がルベーグにより導入された.ここでは,ユークリッド空間上で の関数のルベーグ積分についての基本的性質の習熟を目指す.
- 到達目標
- 1.ルベーグ測度零集合の概念の習得,カントル集合の理解. 2.積分と極限操作の交換に関する定理の理解とその応用. 3.重積分についてのフビニの定理の理解と応用. 4.L1空間の完備性の理解.
- 備考
- 可測関数,測度に関するより深い性質については,解析学4(測度論)で解 説する.余裕があれば,ワイエルシュトラスの多項式近似にもふれる. なお,数学序論D(多変数解析の基礎)を受講しておくことが望ましい.
解析学2(2単位)(前期:複素関数論(有理型関数の理論))(講究付き:2)
- 正則関数の基本的性質
- 最大値原理,鏡像の原理,等角写像
- ローラン展開と特異点の分類(孤立特異点,除きうる特異点,極,真性特異点)
- 有理型関数
- リーマンの除去可能特異点定理
- 偏角の原理
- 授業の目標
- 数学序論F(複素関数論入門)をすでに受講している事を仮定して, 複素関数論における基本的性質について学ぶ.
- 到達目標
- 正則関数,有理型関数,等角写像,調和関数について基本的性質を理解する.
解析学3(2単位)(前期:常微分方程式論と力学系の理論入門) (講究付き:3)
- 解の存在と一意性定理: 逐次近似法による解の構成法と局所解の一意性について述べる.
- 線形方程式: 線形連立方程式の解全体のなす解空間の構造を調べ,定数係数線形微分方 程式系の一般解を求める.
- 安定性:方程式の解の時間無限大での挙動について調べる.
- 授業の目標
- 自然現象の多くは微分方程式によって記述される.ニュートンが古典力学を 体系化して以来,物理学や工学だけでなく,生物学や経済学などの多くの分 野でも微分方程式は中心的な役割を演じる.本講義は微分積分学III(微分方 程式入門)にひきつづいて独立変数がひとつの微分方程式すなわち常微分方 程式の基礎理論を紹介し,その力学系への応用について述べる.また非線形 方程式の解の挙動の調べ方についても解説する.
- 到達目標
- 常微分方程式の局所解の存在定理の証明を通して,関数列の収束の概念に対 する理解を深める.定数係数の線形方程式系の解法に習熟して行列の標準型, 固有値の重要性を認識する.また,解の安定性の概念を理解し,線形方程式 の場合の解の挙動を分類できるようにする.相図を作れるようにする.
- 備考
- 微分積分学III(微分方程式入門)を受講していることが望ましい.
解析学4(2単位)(後期:測度論(一般論))(講究付き:4)
- シグマ加法族と測度
- 外測度と拡張定理
- エゴロフの定理
- ルージンの定理
- ラドン・ニコディムの定理,ルベーグ分解
- 【時間が許せばルベーグ・スティルティス積分についてもふれる. また,へルダーの不等式,ミンコフスキーの不等式にもふれ,Lp空間が バナッハ空間であることなどにもふれる.またリース・マルコフ・角谷の 定理にもふれる.】
- 授業の目標
- 解析学1に引き続き面積体積の拡張概念である測度について,より一般にま たより深い性質を学ぶ.
- 到達目標
- 1.シグマ加法族の理解. 2.可測関数についてのエゴロフの定理とルージンの定理の理解と応用. 3.ラドン・ニコディムの定理の理解. 4.外測度からの測度の構成法の理解.
- 備考
- 収束定理や,フビニの定理は,解析学1でも特殊な場合ではあるがふれてい るので,既知とする.
解析学5(2単位)(後期:関数解析(ヒルベルト空間論入門)) (講究付き:5)
- 内積とノルム,シュヴァルツの不等式
- 直交補空間,射影定理,リースの定理
- 正規直交基底,パーセヴァルの等式
- 有界線形作用素(エルミート作用素,正規作用素,射影作用素等)
- 【(時間があれば)完全連続作用素】
- 授業の目標
- 関数解析学のなかでも基本的でかつ応用範囲の広いヒルベルト空間論を講義 する.前半でヒルベルト空間における諸概念の性質を説明し,後半では ヒルベルト空間上の代表的な有界線形作用素を扱う.
- 到達目標
- ヒルベルト空間そのものに関する完全な理解と,有界線形作用素に対する基 本的性質の理解.
- 備考
- 解析学1(ルベーグ積分論)を受講しておくことが望ましい.
解析学6(2単位)(後期:関数空間論(フーリエ解析))(講究付き:6)
- 無限回微分可能関数空間の理論:開集合U上の無限回微分可能関数のなす空間(C∞(U))や, 台がコンパクトとなる無限回微分可能関数のなす空間(C0∞), 及び急減少関数のなす空間(S )等の定義を学び,それぞれの空間に属する代表的な関数の例を知る. C∞(U)及びS については,位相が可算個のセミノルムで定義され,完備な空間 となる事を理解する. 但し,局所凸線形空間の一般論には踏み込まない.
- Lp空間の理論:ヘルダーの不等式を学び,完備なノルム空間になる事を理解する.
- 合成積とその応用:ヤングの不等式等の合成積に対する基本的な評価式を理解する. 応用として,関数の近似や関数空間における稠密性を学習する.
- フーリエ級数の理論:フーリエ級数のLp空間に於ける収束や各点収束, 一様収束等がどのような条件で成立するか理解する.また,基本的な関数のフーリエ級数を計算する.
- フーリエ変換の理論:急減少関数空間に於いてフーリエ変換が自己同型写像となる事(反転公式), 及び,L2空間におけるフーリエ変換の定義を学び自己同型な等長作用素となる事を理解する. また,フーリエ変換は合成積を積と,可微分性を増大度と交換する事を学習する.ガウス 関数のような応用上重要な関数に対してフーリエ変換像を計算する.
- 授業の目標
- Lp空間や急減少関数空間等の様々な関数空間とその例を学習する. また,それらの空間に於いて,フーリエ変換及びフーリエ級数の理論と 具体的な計算法を理解する.
- 到達目標
- Lp空間や急減少関数空間の扱いに習熟する.また,与えられた関数の フーリエ変換像やフーリエ級数が計算出来るようになる.
- 備考
- 解析学1(ルベーグ積分論)を履修している事が望ましい.
解析学7(2単位)(前期:関数解析(バナッハ空間論))(講究付き:7)
- バナッハ空間の定義と例
- 有界線形作用素と一様有界性原理,開写像定理
- 閉作用素と閉グラフ定理
- 共役空間と弱収束
- 共役作用素と最小閉拡張
- ハーン・バナッハの定理とその応用
- コンパクト作用素とフレッドホルムの交代定理
- 授業の目標
- バナッハ空間とバナッハ空間における有界線形作用素の基礎理論について講義す る.より詳しくは,ハーン・バナッハの定理,共役空間,共鳴定理,有界線形作 用素,弱位相,汎弱位相,レゾルベント・スペクトル,コンパクト作用素につい て講義する.
- 到達目標
- 積分方程式の研究に端を発して,いわば無限次元空間における線形代数とも いえる抽象論として関数解析の理論が整備されてきた.これは,偏微分方程 式への身近な応用ばかりでなく,数学の諸分野の基礎的道具である.まずは, その基礎概念と抽象論の理解を,目標とする.そして,関数解析の具体例へ の適用に目を向けさせる事を目標とする.
- 備考
- 関数解析の具体例への適用は,その重要性にも関わらず,いろいろな解析学 の知識を求められるため,講義では十分な説明が出来ない場合がある.その 点の不備は,なるべく講究で補いたいが,それでも学生一人一人の真剣な自 習が不可欠である. なお,解析学1(ルベ−グ積分論),5(関数解析(ヒルベルト空間論入門)), 6(関数空間論)を受講しておくことが望ましい.
解析学8(2単位)(前期:確率論)(講究付き:8)
- 確率空間
- 確率変数と確率分布
- 独立性
- 確率変数と収束
- 大数の弱法則
- モーメント母関数
- 特性関数
- 中心極限定理
- 授業の目標
- 測度論的確率論の基本的な事柄を,厳密に,しかも直感的にも理解すること を目標にする.
- 到達目標
- 確率現象に対し,それを測度論の言葉で数学的に厳密に記述する方法を習得 すること,さらにその背後の直感的意味を理解すること,の両方を目標とする.
- 備考
- 統計学1,解析学1(ルベ−グ積分論),4(測度論),6(関数空間論) を受講しておくことが望ましい.
解析学9(2単位)(後期:解析上級 )(講究付き:9)
次のA(西暦奇数年度)またはB(西暦偶数年度)を隔年でおこなう.
-
A:複素関数論(数学序論F,解析学2で扱われない複素関数論の基礎的な事項)
- 部分分数展開(ミッタク・レフラーの定理)
- 整関数の乗積表示
- 解析接続と解析関数
-
B: 偏微分方程式論(偏微分方程式論への入門的講義)
- 偏微分方程式の定義と例
- 1階偏微分方程式
- 2階偏微分方程式
- 備考(A)
- 数学序論F(複素関数論入門),解析学2(複素関数論) を受講しておくことが望ましい.
- 備考(B)
- 数学序論D(多変数解析の基礎),E(ベクトル解析), 解析学3(常微分方程式と力学系の基礎理論),6(関数空間論)を受講 しておくことが望ましい.
計算数学1(2単位)(前期:離散数学概説)(講究付き:1)
- 離散数学の基礎
- 数理論理学
- データ構造とアルゴリズム
- コメント
- 数学序論1(数と集合),数学序論G(集合と位相)を受講しておくの が望ましい.
計算数学2(2単位)(前期:離散力学系入門)(講究付き:2)
- 1次元写像の分岐とカオス
- 高次元写像の性質
- コメント
- 数学序論G(集合と位相),解析学3(常微分方程式と力学系の理論) を受講するのが望ましい.
コンピュータ1(2単位)(前期)
UNIX を中心とするネットワーク環境を利用する情報リテラシー概念の習得に あてる.具体的には,E-mail, NetNews による情報交換の基本,文書作成の基 本的な道具としての TeX 導入,簡単なプログラム作成を目標とする.
計算数学3(2単位)(後期:古典的計算論)(講究付き:3)
- オ−トマトン理論
- 形式言語
- チュ−リング機械
- 決定不能問題
- コメント
- 計算数学1(離散数学概説)をあわせて履修することが望ましい.
計算数学4(2単位)(後期:協同現象,シミュレ−ション) (講究付き:4)
- 非線形非平衡系の数学
- 分岐理論
- 摂動論
- コンピュータ・シミュレーション
- コメント
- 計算数学2(離散力学系入門)をあわせて履修することが望ましい.
コンピュータ2(後期)
計算数学2,計算数学4を念頭に置き,やや大規模なプログラミング, 計算機の効率的な利用などを目標にする.
数学講読1-6(4単位)(2年前期より4年後期まで)
- (ねらい)セミナー形式で, 興味,知識や到達度に応じて選んだ数学の文献を講読する. 文献講読を通じて,科学的に問題を考察することを学ぶ. 自由な発想の勉学により理解を深めること, そしてそれを明確に発表できるようになることを目的とする. 他者への伝達の仕方を工夫することによって, 自身も理解が深まることを, 学生諸君はこのセミナー形式を通じて発見することになるだろう.
- (授業内容)学生は,教員が提示した多くの文献の中から, 興味,知識や到達度に応じて教材を選ぶ. 少人数にわかれて(通常はひとつのグループが4人以下), セミナー形式で文献講読を行う. すなわち,教員の助力を受けながら,受講者が交代で文献の内容を報告する. 学生の能力にあわせた進度で, 正確で深い理解を目標にセミナーは行われる. 自由な発想による研究,勉学の可能性を多くもつという点で, 熱意ある学生にとっては魅力あるものとなるはずである. なお,数学講読6(4年後期)については, セミナー以外の形式をとる場合もある.
- (成績評価の方法) 報告にあたってその理解や表現方法について評価する. 一方,発表者以外については,質問や討論という形での参加の姿勢を随時評価する.
- コメント
- 教材の提示および受講申し込みは,前期の数学講読 1,3,5は前年度1月か2月,
後期の数学講読 2,4,6は同じ年度の6月か7月に行う.
数学科事務室掲示板に掲示するので,それに従うこと.
- なお,数学講読4(3年後期)または数学講読5(4年前期)を履修することが卒業要件となっている.