【 数学特区 】


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2006年4月5日更新

● Be speedy, be steady and be smart!

● 論文を書くということは,道を作るようなものだ.A 地点から B 地点まで,道を順に作っていく必要はない.最初はとびとびの足場を作っていけばよい.そして,全部つながったときが完成だ.途中で切れている道は,未完成だ.穴があったら,埋めないと危ない.
道にもいろいろある.大きな道,小さな道.高速道路もあれば,野原の小道もある. 最初に道を作るのは偉い.細い道を広い道に整備するのも偉い.バイパスを作るものよい.横道にそれてもよい.つなげておけば,いずれ何かの役に立つだろう.

● 「わかった瞬間がおもしろい」

● 数学は簡単ならざるべからず.

● 数学の定理 (theorem) は,正しければ一応受け入れられる. もちろん,重要であるとか美しいなどと評価されることとは別だが,正しいことはとにかく正しい. 正しければ誰でも認められる. それは,すでに出来上がって評価された理論の中での話だからだ.よい理論の中の 定理は,その定理自体がつまらないものでも,重要であるということはよくあることだ. 一方,数学の理論 (theory) は,正しいからといって必ずしも受け入れられない. 理論は,定理の連鎖であって,その枠組み自体が理論の神髄なのだから.
定理をつくるには勇気は要らない.理論をつくるには勇気が要る.

● 静寂がなければ音楽はできない.零がなければ数学はできない.

● 数学をするということは,人の頭で考えることではなくて,自分の頭で考えることだ.

● なぜ数学を学ぶのか,何のために数学をするのか,答えられないなんて,そんなのはイヤだ! (参考: アンパンマンのマーチ )

● 数極道(すうごくどう).(棟方志功さんの「板極道」(ばんごくどう)に 倣って).

● 数学は,知のユニバーサルデザインだ!

"エプシロン・デルタ論法は難しい"といわれる.でも, たとえば,「限りなく近付く」「だんだん近付く」 という説明がよいかというと,このような表現は, 頭の良い特別な人にはわかるが,だれにもわかるというものではない. 「どんどん近付く」 「ぐんぐん近付く」 といくら擬態語で説明されても, 特定の人にはわかるかもしれないが,分からない人にはいっこうにわからない. なんとなく分かった気になっても使えない.正確に伝わらない.

英語だと「converges to」「tends to」あたりで説明するのだろう. では,数学は言語によって変わってくるのか. 日本数学会は「日本数学」会で,アメリカ数学会は「アメリカ数学」会なのか. そんな,ばかな.

あいまいな表現は,共同体の外では通じない. 「宇宙人」には通じない.1年後の自分にも伝わらないだろう.

「口当たりのよい説明」「すぐわかる説明」というものは, わかるひとにはすぐわかるが,わからない人には一向にわからない. どうがんばってもわからない.いくら時間をかけてもわからない. つまり,特定の人だけのための説明なのである.

たとえば,経路の空間上でざっとで積分して 計算する,というのは,頭の良い特別な人には,わかるが, 誰にでもわかる,というものではない. 全然ユニバーサルでないのだ.特別なセンスがないとわからない代物なのだ.

世の中にはどうも誤解が多いようだが, 数学は「誰にでもわかる」ことを目指しているのだ. 特別に頭のよい人にすぐにわかる,ということは まったく目指していない.逆である. 時間をかけて正しくステップを踏めば誰でもよくわかる, ということを目指しているのだ. 数学は,貴族のための学問ではなく,市民に開かれた学問だ. いわば,知のユニバーサルデザインなのである.

しかし,また逆の意味で誤解してもらってはこまるが, このような性格をもつ数学を生み出す側には, 「誰にでもわかるように説明できる」という特定の才能がどうしても必要である. しかも時間がたっぷりかかる. 特定の才能のある人がじっくり時間をかけて, 誰にでもわかるような説明を生み出していく, それが数学の生産現場なのである.

● たとえ話:登山ツアーで5合目までバスで行き,さあここから 登りましょう,と言われても,平地しか歩いたことのない人には 無理だ.坂道を登り,階段を登り,近所の低い山を 登った経験が必要になる.数学も同じこと...
では,なぜ,数学を山登りにたとえるのか? なぜ人々は,山に登るのか?なぜ人々は,重力に逆らおうとするのか? なぜ人々は,数学をするのか?なぜ人々は, 人生の栄光をほしがるのか?

● 数学の特長,その1

芸術性:美しい.
永久性:永遠に正しい.
自由性:何ものにもとらわれない.

● 数学の特長,その2

普遍性:どこにでも現れる.
抽象性:本質だけを取り出す.
汎用性:いろいろと応用できる.

● 良い数学を創ることは,上手な龍の絵を描くようなものだ. 腹は膨れないが,すがすがしい気持ちになれる.

● 数学には雄大なる構想もあるが, その雄大は粗大ではない. 極微の末梢においても, 寸毫の齟齬を容さな い. 放胆にして, 同時に細心なるところに, 数学の特色がある... (高木貞治「数学小景」より).

● 数学とは何だろうか?「自然は数学の言葉で書かれている」という. 自然科学一般が,"神"のつくった法則 を調べるものなら, 数学の役目は,"神"がどのように法則をつくるか, そのつくり方を調べることではなかろ うか?


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アンパンマンのマーチ

作詞 やなせ たかし 先生 作曲 三木 たかし 先生

そうだ うれしいんだ
生きる よろこび
たとえ 胸の傷がいたんでも

なんのために 生まれて
なにをして 生きるのか
こたえられない なんて
そんなのは いやだ!

(以下略)


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© Goo Ishikawa