【 平成数学研究所 】
2003年8月29日更新
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数学論文の評価について:
数学の論文をどうレフリーするか,ということは難しい問題である.
これは,
peer review (論文の価値を他の専門家,研究仲間が評価する)の本質に関係する.
「数学の定理が正しい」とはどういうことか,という問題と関係する.
特に,計算機を援用した分類などの場合,判定が難しい.
実は,普通の証明についても,その証明が
本当に正しいかどうかを論理的に完全にチェックするのは
事実上不可能である.
まあ,数学などはまだ良い方で,物理とか工学とか他の分野の仕事をどう referee
するか,ということよりはまだやさしい(数学の方がまだマシ?)とも言える.
ところで,実験科学の場合,「再現可能性」が重視される.
数学の計算や分類でも,計算機を使ったような場合,その計算や分類が
再現可能かどうかがキーポイントになる.
レフェリーは,その計算を再現する必要なないが,再現可能かどうか,
読者が
論文中の(あるかもしれない)計算の誤りを見つけることが十分に可能なように書かれているかどうか,ということをチェックする,といったところに落ち着く.
しかし,再現可能性のチェックはどうすればよいのか,が新たな問題となる.
残念ながらほとんどの著者は,
このことを意識して論文を書いてはいないと思われる.
数学の論文の評価基準:「重要性」「整合性」「芸術性」「再現可能性」...?!
本研究所では,
現代の最先端の数学の研究を行う.
同時に,その現代数学の原点が何であるのか,
われわれの社会的状況を丹念に解明していきながら,
「歴史をさかのぼって」
一つ一つ,つきとめていくための
研究センターである.
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