概要
- 微分積分学の基礎を学ぶ。多変数関数についてリーマン和による定積分の定義を理解すること、広義積分を理解することが目標である。
- 成績は中間期末試験の成績のみで判定する。合否は中間期末試験の成績に 平常点を付加して判定し、総計60点以上で合格(C以上)とする。平常点は宿題とレポートの成績の合計点である。
- 宿題とレポートはこのホームページに掲載する。レポート用紙等に解答し て提出。期限及び提出方法はホームページの指示に従うこと。学生証は入室時と退出時にカードリーダーにかざす。
- 遅れて提出した宿題とレポートの平常点は半分とする。
- 最終回が終わった後の成績の問い合わせ等は受け付けない。
- 中間期末試験にはA4サイズ以下の手書き1枚(裏面使用可)を持ち込んでよいものとする。範囲内の宿題から1問出題する。
内容(日程は変わることがある)
- 原始関数(水3:9/28,火3:10/4):復習と逆三角関数、双曲線関数、逆双
曲線関数に関わる不定積分。
宿題(2点):不定積分$\displaystyle\int \sqrt{x^2+4}dx$ を求めよ。計算過程も記載す ること。提出は以後5回目までの宿題とまとめて6回目の授業開始前に教卓へ。 - 定積分の定義と性質(水3:10/5, 火3:10/11):区分求積法によって定積分
を定義する。
宿題(2点):$\displaystyle\int_0^1 e^x dx$を区分求積法($x_k=k/n$)によって求めよ。 - さまざまな積分計算(水3:10/12, 火3:10/18):積分に関わる漸化式、方程式に帰着させる計算法。
宿題(各2点)- $n$を自然数とする。$\displaystyle I_n=\int_0^{\pi}(\sin x)^ndx$の満たす漸化式を与えよ。
- $m,n$を自然数とする。$\displaystyle \int_0^{2\pi}\cos(nx)\cos(mx)dx$を$m=n$の場合に注意して計算せよ。
- 広義積分の定義と計算例(水3:10/19, 火3:10/25):被積分関数が発散する点を積分区間に含む場合、
無限大を積分区間に含む場合に定積分を定義する。
宿題(各2点):$n$を自然数とする。$\displaystyle I_n=\int_0^\infty x^ne^{-x^2}dx$が- 広義積分として確定することを示せ。
- $I_n$の満たす漸化式を与えよ。
- 広義積分の収束条件(水3:10/26, 火3:11/1):広義積分が存在する条件を与え、実際に広義積分の
存在を判定する。
レポート(10点);今回(第5回)までの内容を1ページに要約する。次回 (第6回)提出。このレポートを中間試験に持ち込みたい場合はコピーを提 出してもよい。
宿題(2点):$f(x)=(e^x+e^{-x})/2$について、$x=0$か ら$x=1$まで動くときに$y=f(x)$のグラフが定める曲線の長さを求めよ。 - 宿題の解説、 ガンマ関数, ベ-タ関数 (試験範囲外, 水3:11/2, 火3:11/8)
- 中間試験(水3:11/9, 火3:11/15, 13:05-14:25, 80分):やむをえず欠席す る場合、必ず連絡すること。
- 長方形領域での重積分の定義とその性質、累次積分による計算 (水
3:11/16, 火3:11/22):長方形領域での2変数関数の重積分をリーマン和(区分求積法)
によって定義し、1変数の積分を繰り返す累次積分によって具体的に計算で
きることを示す。
宿題(2点):長方形領域$D=[2,3]\times [0,1]$について、$\displaystyle\int\int_D ye^{xy}dxdy$を求めよ。 - 一般の領域での重積分と累次積分 (水3:11/30, 火3:11/29):平面上の長
方形領域に限らない一般の領域上での重積分を定義し、具体的に累次積分へ
帰着させる。また、次回の準備として2次の正方行列が表す一次変換と面積
の関係を示す。
宿題(各2点):次の領域$D$で$f(x,y)$を重積分する。累次積分の順番をいれ かえよ。- $D=\{(x,y)|x+y ≥1, x≤1, y≤1\}$
- $D=\{(x,y)|y≥e^x-1, x≥0, y≤ 1\}$
- 重積分と変数変換(水3:12/7, 火3:12/6):重積分に関する変数変換を定義
し、変数変換のヤコビアンが重要な役割を果たすことを確かめる。2x2行列
の簡単な説明。
宿題(各2点):- $D=\{(x,y)|0≤ x+y≤ 1, 0≤ x-y≤ 1\}$について次の 重積分を求めよ。$n,m$は自然数とする。 \[\int\int_D(x+y)^m(x-y)^ndxdy\]
- $R>1$を定数とする。$D=\{(x,y)|1≤x^2+y^2≤ R^2, x≥0, y≥0\}$について次の重積分を求めよ。 \[\int\int_D\frac{1}{x^2+y^2}dxdy\]
- 広義重積分の定義と計算例(水3:12/14, 火3:12/13):重積分について
広義積分を定義し、計算例と変数変換の例を扱う。
宿題(各2点):次の広義重積分は発散するか有限か。- $D=\{(x,y)|0<x≤1, x-1≤y≤ 1-x\}$, \[\int\int_D \frac{y^2}{x}dxdy\]
- $D=\{(x,y)|0≤x<1, x-1≤y≤ 1-x\}$, \[\int\int_D \frac{y^2}{x-1}dxdy\]
- 重積分と線積分、グリーンの定理(水3:12/21, 火3:12/20):線積分を定義
し、重積分との関係を与えるグリーンの定理を扱う。線積分を定義して計算
するところまでを期末試験の範囲に含める。
宿題(2点):
$C=C_1+C_2+C_3$は次の通り定める。
$$C_1=\{(x(t),y(t))|0≤t≤1, x(t)=t, y(t)=0\}$$
$$C_2=\{(x(t),y(t))|0≤t≤1, x(t)=1-t, y(t)=t\}$$
$$C_3=\{(x(t),y(t))|0≤t≤1, x(t)=0, y(t)=1-t\}$$
$P(x,y)=2xy$, $Q(x,y)=x^2-y^2$について
線積分$\int_C P(x,y)dx+Q(x,y)dy$を求めよ。定義に従って求めてもグリー
ンの定理を使っても良い。
レポート(10点);今回(第12回)までの内容を1ページに要約する。読むこ とで提出者が重要だと思う点が読み取れるように書くこと。感想文とは違 うことに注意すること。 次回(第13回)提出。このレポートを期末試験に持ち込みたい場合はコピーを提 出してもよい。
- 担当教員体調不良のため休講:宿題とレポート提出は期末試験時に提出。
期末試験は予定通り。
3変数関数の積分と体積(試験範囲外, 水3:1/11, 火3:1/10) - 期末試験(水3:1/18, 火3:1/17, 13:05-14:25, 80分)
02160877 02160895 02160899 02166130 02169143 02150707 02156110これから宿題、レポートを提出する場合は理学部3号館514室まで(最終締切2/2 17:00)。
参考資料
資料:大学数学のための準備(ギリシャ文字、数学記号等) http://www.math.sci.hokudai.ac.jp/candidate/GUIDE.pdf注意等
成績に関連する資料は5年程度の期間保存することになっているため、提出した宿題、レポート、答案は返却できない。参考書はシラバス指定のどちらか一冊を予復習に使うことが望ましい。
参考書
どちらか一冊持っていれば十分である。- 入門微分積分学 / 三宅 : 培風館
- 積分/ 上見他 : 共立出版
試験と成績について
- 講義内容について一定の水準に達していれば確実に合格する。試験で多少失敗しても、実際の到達度を反映するために平常点を参入する。
- 到達度を判定する試験であり、落とすための試験ではない。過度に神経質になってはいけない。
- やむを得ず試験を欠席する場合(例えば、事故での入院、他人に伝染する可能性のある病気、親族の不幸、など)は何らかの手段で担当教員まで連絡を取ること。