【 二子玉川倫理学 】
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二子玉川に住むアリスさんとテレスさんが,
科学研究の倫理について考えていくコーナーです.
「『アリスとテレス』は、商標出願中です。」(富士通日立プラズマディスプレイ株式会社)
1st January 2004
テレス:
今日は面接の日だね.
アリス:
そう.緊張して,普段の実力が出せないと困るな.
テレス:
大丈夫さ.ところで,どこの面接を受けるんだい?
アリス:
内緒.でも,金融系のシステムを作っているところよ.
テレス:
君は,そういうの強いもんな.
アリス:
それほどでもないけど.今の時代では普通ね.
テレス:
時代か.情報化時代.今は情報を売買する時代だね.まあ,昔からそうだけど.
アリス:
昔から?
テレス:
そう,昔から.だって「知識」というのは情報だからね.
昔から,役に立つ情報はみんなが欲しいから価値があるんだ.
アリス:
だから,セキュリティの問題が重要になるわけね.
テレス:
そう.個人情報の問題もあるけど,知的財産の問題もある.
アリス:
その知的財産は誰が作っているの?
テレス:
そうだな.たとえ話だけど,
情報を作る第一次産業が「科学」だと思うな.
アリス:
よくわからないけれど,それは,科学は農業みたいだ,ということ?
テレス:
そう.よい米を作るには時間がかかる.よい野菜を作るにはこだわりが必要.
アリス:
でも,よいものを作るには市場調査が必要.消費者のニーズが重要とも言えるわね.
テレス:
消費者?
アリス:
情報を使う側のこと.重要な情報を作るような研究をしなければいけない,ということね.
テレス:
よく売れるように,まっすぐなキューリを作るということかな...
アルス:
有機栽培して味をよくするとか...
テレス:
だけど,科学の場合,重要かどうかは,調べてみないとわからないよ.
その科学者が死んで,すっと後からその重要性がわかった,ということもあるよ.
アリス:
たとえば?
テレス:
ニュートン力学でも,電磁気学でも,量子力学でも,社会の必要性から生まれたわけじゃない.
できた後から,役に立つことが徐々にわかってきたんだ.
アリス:
そうかな.いままでそれが生き残って,みんながそれを学んでいるということは,
社会が必要としたからだと思うけど.
テレス:
それは結果だよ.はじめから社会のニーズを気にして,結果を気にして,研究はできないよ.
アリス:
もちろんそうだけど,無視はできないよ.
よい結果を出すように考えて結果を出すように努力しないといけないんじゃない?
テレス:
そうかな...
アリス:
あっ.もう出かけなくっちゃ.
テレス:
面接がんばれよ.
18th June 2003
アリス:
なぜ,科学をするのに倫理が必要なの?
テレス:
えっ?必要なの?
アリス:
だって,核兵器とか,遺伝子組み換えとか,いろいろ問題になっているし.
テレス:
それは,技術の問題だね.
アリス:
技術と科学は違うの?
テレス:
字が違う.まあ,工学と理学の違いだね.
アリス:
そんなこと言っても,知っていれば,作っちゃうじゃない?
テレス:
知っていても,作らないようにすればいい.
アリス:
でも,医薬品とか,介護とか,環境を良くしたりするのはしてほしい.
テレス:
人間の役に立つ知識は使って,害になる知識は使わないということか.
でも,役に立つとか,害になるとかは,誰が決めるの?
アリス:
それは,世論とか,国民投票とかで決めるのかな.
テレス:
専門知識が必要だから,有識者だね.
アリス:
いくら偉くても,新しい知識だから,
それがどんなふうに使われるかまではわからないんじゃない?
テレス:
将来役に立つことは研究するようにして,将来害になることは
研究しないようにするしかないか.
アリス:
でも,立場によって役に立つか害になるかは変わってくるね.
日本だけの問題じゃないし.
テレス:
知識がだれかの害になることに使われることがわかった時点で,相談して,
その知識をそういうふうには使わないようにするしかないよ.
アリス:
じゃあ応用には倫理が必要だけど,
科学を研究すること自体には倫理は要らないってこと?
テレス:
そういうこと.
アリス:
本当かな...
「賢人のように考え,凡人のように語れ」(アリストテレス)
一日一膳.アリスが飲み屋.
欲望に対するブレーキを倫理という.
理性に対するハンドルを論理という.
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© Goo Ishikawa