【 科研費連絡係 】


2009年2月19日更新. index に戻る.
萌芽研究「トロピカル幾何の位相代数幾何への応用」
研究代表者 石川剛郎
2007年度〜2008年度


研究実績報告
トロピカル幾何は,さまざまな研究分野と関係する,新しくて魅力的な研究対象である.代数幾何,とくにトーリック幾何・トポロジー,可積分系,力学系,計算理論等と深く関わっている.本研究課題では,2つの問題, 「与えられた次数を持つ実代数ノーダル曲線のトロピカル幾何による数え上げと構成」「与えられた次数を持つ実代数射影結び目のトロピカル幾何による数え上げと構成」に関し,Mikhalkin 氏等との研究打ち合わせを行った. トロピカル幾何と超離散可積分系との関連研究を深め,トロピカル幾何を通して,実代数幾何・位相幾何における問題に組み合わせ論や超離散幾何やオートマトン理論が係る,領域を超えた新しい研究を行った.また,関連する研究者たちとの研究打ち合わせ・情報交換を行い,トロピカル極限に近い実代数多様体のトポロジーの理論を構築する手がかりを見つけ,「トロピカル化」を幾何学的に深く理解することが可能となった.

2009年3月,トロピカル幾何の研究会が鈴鹿医療科学大学にて開催されます. 研究集会「トロピカル幾何と超離散系の展開」の案内

2007年9月から2ヶ月,トロピカル幾何の専門家である Mikhalkin さんが北海道大学に滞在し, 私(石川)と共同研究を行いました.(日本学術振興会短期外国研究員).

2007年9月に研究会「トロピカル幾何学と関連分野」を北大で開催しました. 詳しくは, 研究会案内 を御覧ください.


基盤研究 (B) (2) 「外微分式系への応用特異点論」
研究代表者 石川剛郎
2002年度〜2005年度

無事終了いたしました!Thank you!
得られた主な成果:
● モンジュ・アンペール方程式の幾何学的解の特異点(ガウス曲率一定曲面の特異点やアファイン球面の特異点など)の分類, ● グルサ分布の分類と特異ルジャンドル曲線の分類を明確に結び付ける「グルサ・ルジャンドル対応」の解明, ● 特異ルジャンドル多様体の分類基礎理論(安定性,余次元,有限確定性,ヴァーサリティー)の構築, ● 特異ルジャンドル曲線の分類問題への基礎理論の応用, ● 可展面の特異点の分岐に対する外微分式系の応用, ● 射影双対で双退化する部分多様体に関するアダムス数評価, ● コイソトロピック写像の特異点理論の導入, ● シンプレクティック・モデュライ空間の局所化定理の証明, ● 写像商空間の微分構造に関する基礎理論の構築, ● 特異ルジャンドル結び目の分類理論(diffeomorphism-isotopy による分類と contactomorphism-isotopy による分類の合致), ● 3変数モンジュ・アンペール方程式の新しい特異点の発見, ● ユニモダル平面曲線の分類とそのシンプレクティック・モジュライ空間の決定, ● 量子幾何光学におけるフェーズ特異点やポーラリゼーション特異点への応用, など多数.
● はこだて特異点研究集会

はこだて特異点研究集会ホームページ を御覧下さい!

「特異点強化セミナー」用も問題,コメント,募集中!「特異点論の将来」への提言,募集中!

時期および開催期間:2004年10月27日(水)朝から10月30日(土)の午前中
開催場所:サン・リフレ函館(函館勤労者総合福祉センター) 函館市大森町2-14.
お問い合わせは石川まで E-mail で.
関連して E-mail 勉強会を立ち上げました: E-mail 勉強会 へ移動する.
基盤研究 (B) (2) 「外微分式系への応用特異点論」
研究代表者 石川剛郎
2002年度〜2005年度

この研究課題は,何を目指しているのか?
外微分式系の解曲線全体の空間を考え,外微分式系への種々の操作を,解空間への操作として とらえ直す.そこに特異点論を応用する.
いろいろな幾何学的問題を深く追求していくと, 適切に外微分式系を設定すれば, その微分方程式系の積分多様体やその特異性を調べることに問題が帰着される場合が多い.
ここで,「外微分式系」とは, 偏微分方程式系を, 微分形式や外微分の考え方を使って幾何的に扱いやすく見直したものであり, 「積分多様体」とはその解曲面のことである.

たとえば, 1階の偏微分方程式の解法は接触構造の積分多様体 (ルジャンドル多様体)の問題に帰着される. 負定曲率曲面の研究などモンジュ・アンペール方程式では, 特別なルジャンドル解を見つけることに帰着される. コントロール理論や特異ルジャンドル多様体の研究では, より一般の非可積分系 (非ホロノーム系)の解空間を調べる必要が生じる.
このように外微分式系の解空間の研究に問題が帰着される.


テーマは古典的であるが,そこに非常な特異性が存在するために, いままでは研究する手掛かりがまったくなかったり, 問題設定さえされずに見過ごされてきたものである. しかもそれらのテーマは基本的な重要性をもち, その解決自体に多くの応用が期待される.

もちろん,外微分形式の理論は数多くあるが, 私(石川)の持っている問題意識は従来のものと全く違う. 外微分式系の解の特異点を扱う理論で, 私(石川)が満足できるようなものは,まだない.
しかし, 新たな問題意識をもって研究すれば, 先達のすぐれた仕事の意義を別の側面から認識でき, 予想もしなかった広大な研究領域を見い出すことができると信じている.

けだし,これが「カルタンの夢」だったのではないか,と考えるからである.

研究代表者 石川剛郎
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© Goo Ishikawa