Department of Mathematics
Hokkaido University

ミニワークショップ 統計多様体の幾何学とその周辺 (17)

【作成中】

日時:2025年12月6日(土)〜7日(日)
場所:北海道大学理学部 4号館501
連絡先: 古畑 仁

6日(土)

13:00 藤原 彬嵩 (電気通信大学)  拡張状態空間上のMarkov不変な情報幾何学における構造的双対性
講演要旨:  Chentsovの定理によれば,確率単体にはMarkov不変なアファイン接続として α-接続が入り, このうち平坦となるのは α = ±1 に限られる. この α = ±1 の特殊性を明らかにするため,規格化条件を外し, 確率単体を有限集合上の正測度全体からなる拡張状態空間の部分多様体として捉える視点が有用である. 本講演では,拡張状態空間において,古典的な長岡・甘利の平坦構造とは異なる 新たなMarkov不変な平坦構造を導入する. この新しい平坦幾何学は長岡・甘利の平坦幾何学の構造的双対として現れ, これにより確率単体の (±1)-双対平坦性を完全に対称な観点から捉え直すことが可能となる. 時間が許せば,より一般のMarkov不変な平坦構造についても紹介する.

14:45 小林 彦蔵(広島大学)  正定値対称行列空間上のGL(n, R)-不変統計構造について
講演要旨:  平均0の多次元正規分布族$\mathcal{N}_0$は, 正定値対称行列全体の空間と同一視でき, 特にリーマン対称空間$GL(n, \mathbb{R})/O(n)$の構造を持つ. 本講演では, $\mathcal{N}_0$上の$GL(n, \mathbb{R})$-不変な統計構造 および不変な双対平坦構造の分類について紹介する. 本講演の内容の一部は, 広島大学の奥田隆幸氏との共同研究に基づく.
[参考文献] arXiv:2504.12640

16:30 清 智也(東京大学)  右不変事前分布の調和性 (1)
講演要旨:  リー群上の右不変ハール測度と左不変ハール測度の比は、左不変計量に関して調和関数となる。 この命題の証明と、ベイズ統計学における意義を述べることが2回の講演の目標である。 1日目の講演では、まず上記の命題を証明し、 次にリー群が作用する統計モデル(変換群モデル)について例を交えて説明する。

18:00 懇親会

7日(日)

 9:30 清 智也(東京大学)  右不変事前分布の調和性 (2)
講演要旨:  2日目の講演ではまず、変換群モデルに限らず正則な統計モデルに対して成り立つ統計的予測の漸近理論を概観する。 その上で、1日目に与えた調和性の命題がどのように関係するかを述べる。 本講演は東京大学の駒木文保氏との共同研究である。

13:00 小林 彦蔵(広島大学)  リー群上の左不変統計構造のモジュライ空間
講演要旨:  微分幾何学において, リー群上の特定のクラスの左不変幾何構造を分類することは重要な問題である. リー群上の左不変統計構造は, 情報幾何学の文脈において古畑--井ノ口--小林 [Inf. Geom. (2021)] によって導入された. 本講演では, リー群上の左不変統計構造のモジュライ空間という概念を新たに導入し, 左不変リーマン計量のモジュライ空間が一点となる三系列のリー群について, それぞれのモジュライ空間を調べる. 応用として, これら三つのリー群上の左不変共役対称統計構造 および左不変双対平坦構造の分類を紹介する. 本講演の内容は, 大野優氏 (元北大), 奥田隆幸氏 (広島大), および田丸博士氏 (大阪公立大) との共同研究に基づく.
[参考文献]arXiv:2510.04442

14:45 佐藤 直飛(北海道教育大学)  TBA

16:30 和田 達明(茨城大学)  情報幾何における勾配流のWeyl対称性
講演要旨:  一般に接続は、曲率、捩率、非計量性によって特徴付けられる。 情報幾何の双対平坦空間は曲率も捩率もゼロなので、非計量性が重要であるはずだが、 情報幾何の分野において「非計量性」という用語が使われることはほとんどない。 非計量性はWeyl幾何における基本構成要素であり、計量と共に等価クラスを構成する。 Weyl幾何の枠組みから、非計量性およびWeylゲージ場の重要性を踏まえて、情報幾何における勾配流を説明する。

18:00 終了予定

参加事前登録が必要です.
本研究集会は次の科学研究費ほかにより支援されています: 基盤研究(B) 23K25787(代表:藤原彰夫),基盤研究(C) 22K03279.
講演者からお寄せいただいた情報を随時掲載しています.


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