理数応援ニューフロンティア・プロジェクト 数学コース

MFG テキストガイダンス

【幾何06】
曲線と曲面の微分幾何 (小林昭七著), 裳華房
著者の小林昭七先生は現代日本を代表する微分幾何学者の一人です。その研究成果はもとより、小林先生の書く教科書は定評があり、野水克己先生との共著;Foundation of Differential Geometry I, II (John Wiley & Sons)は現代微分幾何学を学ぶための世界的にも標準的教科書となっています。本書は、微分幾何学の基礎である曲線と曲面の微分幾何学に関して、特に大域的性質を述べることを目標にして書かれた教科書です。初版が出版されたのは1977年ですが、現代にいたるまで、日本語で書かれた曲線・曲面の微分幾何学の教科書として、標準(基準)となる位置を保っています。内容は、微分形式や動標構という概念を背景にして、それらを表に出さず、初学者にも理解されやすいように配慮されて書かれています。初版当時の最終目的はガウス・ボンネの定理を解説することにありましたが、再版時(1995年)において、現代でも研究の最先端にある極小曲面の基本的性質に関する章が付け加えられています。本書を読了された読者から上記のFoundation of Differential Geometry に挑戦する意欲のある人が出てくることを期待します。
以下目次の抜粋を掲載しておきます:
  1. 平面上の曲線、空間内の曲線
  2. 空間内の曲面の小域的理論
  3. 曲面上の幾何
  4. Gauss-Bonnetの定理
  5. 極小曲面

平面曲線の性質から始まって、極小曲面の性質までに至る、小林ワールドをぜひ堪能してください。