MFG テキストガイダンス
【幾何01】
- 集合と位相 (小林貞一著), 培風館
- 集合や位相空間の理論は抽象的で高度な数学の題材を記述したり論述するために必要な言語である. 特に無限や連続などが関係してくる事柄を扱うには特に正確な議論が必要になる. 高校までの数学の題材では大雑把に議論していても大過なく進んでくることができたが, 専門家のレベルでは精密な言語が必要になるのである. 最近の高校数学では集合や論理や写像などの概念はあまり強調されなくなりつつある. よって大学の早い時期にこれらをよく練習して慣れていくことは非常に好ましいことである. その意味で集合や位相を学ぶことは, 代数,幾何,解析のどの分野を専攻するにおいても重要である. よって自主ゼミ等で時間をかけて習熟することを奨める. 幾何や解析においては写像や関数などの族といった無限の自由度を有する集合を扱う. それらを適切に扱うためにうまく位相構造を導入して議論の仕組みを作る. そのための一般論を与えるのが位相空間論と言える.
- 第1章 集合と写像
- 第2章 濃度
- 第3章 順序集合
- 第4章 実数直線
- 第5章 位相空間
- 第6章 連続写像
- 第7章 連結空間, コンパクト空間
熱意は必要だが, 予備知識はあまり必要でない. よって1年生でも読み始めることができる. 数学的な言葉使いから始めて位相に出てくる定義や用語を身につけユークリッド空間を位相的にきっちり学ぶに最適. 位相空間論のより上級の知識を得るにはもう1冊読む必要がある.