MFG テキストガイダンス
【数理02】
- 熱・波動と微分方程式(俣野博・神保道夫 著), 岩波書店
- 自然科学(や社会科学)の研究においては現象のモデル方程式を作り, その解の性質をを数学的に性質を調べることを通じてもとの現象を探求するということが行われます. 現象と数学の解を比較することでモデル方程式の妥当性が検証され, さらにモデル方程式から新たな現象の出現が予測されたりします. モデル方程式の多くは微分方程式という微分積分学の言葉で表現されています. 我々が体感できる代表的な自然現象としては熱伝導(気温変化)現象や波動(音, 振動)が上げられます. これらは熱方程式、波動方程式と呼ばれる偏微分方程式となります. これらを数学的に扱い解を精密に調べることができれば様々な当該の現象についての予測が可能となり学問的にも実用的側面からも非常に有用であることになります. 本書はこのような基本的な偏微分方程式の分野に入門し, 解を扱う基本的な手法を幅広く紹介しています. 例えば本書で扱われているラプラス作用素や基本解やポテンシャル論などは幾何学,解析学,その他応用分野において活用されています. 本書を学ぶことで専門的な数学を学ぶうえで強い力を得ることになります. 章ごとの内容は
- 第1章:
- 偏微分方程式の基礎: 簡単な偏微分方程式の解法, 拡散方程式, 波動方程式の導出, フーリエの方法, フーリエ級数
- 第2章:
- 熱伝導と拡散: 基本解とその導出, 初期境界値問題, 解の性質, 最大値原理
- 第3章:
- ラプラスの方程式とポアソンの方程式: 方程式の背景, 調和関数, 球面調和関数境界値問題, 固有値問題
- 第4章:
- 波と振動の方程式:初期境界値問題, 基本解,平面波, 球面波, エネルギー評価解の性質
- 第5章:
- 超関数と広義解:テスト関数, 超関数の微分積分,微分方程式と広義解, 波動, 衝撃波
- 付録:
- 2階偏微分方程式の分類, フーリエ変換, ラプラス-ベルトラミ作用素