理数応援ニューフロンティア・プロジェクト 数学コース

MFG テキストガイダンス

【数理01】
微分方程式概論 (神保秀一著), サイエンス社
ニュートン力学や微分積分学が創始されて近代科学の時代になったと言われています. それ以来自然現象を数式を用いて研究し, 得た知識を様々に活用できるようになりました. これらの17世紀の時代から現代まで理論科学や科学技術が築かれてきましたが,その中で微分方程式は最も貢献した数学と言ってよいでしょう. 古典物理の分野では粒子や剛体の運動などの力学現象や音や光の波動現象や熱の流れや触質の中の物質の拡散などの解析にも貢献しました. 現代では驚くほど様々な自然科学分野で活躍しています. 本書は微分方程式の平易な入門書です. 単純で基本的な変数分離形の方程式や線形微分方程式の解法から入門し,単振動,連成振動,変分問題,2体問題の解析などへの応用を解説しています. また最も基本的な偏微分方程式にも入門します. 微分方程式が活躍する様を体感することで, より高度な数学や数理科学へと続く道が目前に開かれることでしょう. 簡単に章ごとの内容を記述すると
第1章:
微分方程式入門: 変数分離型方程式, 定数変化法, 定数係数2階線型方程式, ニュートンの運動方程式
第2章:
線型微分方程式: 連立1階線型微分方程式, 定数変化法と基本解行列, 一般の連立および高階線型微分方程式, 行列の指数関数
第3章:
微分方程式の応用, 減衰振動と連成振動, 電気回路の問題, スロープ上を運動する質点の問題, 2体問題(ケプラーの法則, 変分法と最速降下曲線の問題
第4章:
基本的な偏微分方程式, 波動方程式,固有値問題とフーリエ級数, 熱伝導方程式ラプラス方程式
第5章:
ラプラス変換と応用: ラプラス変換の定義と計算, ラプラス変換の性質, 微分方程式への応用, 積分方程式への応用
また必要となる予備知識は補足の章に簡潔にまとめられています. それらは, 複素数, 指数関数の複素変数への拡張,代数学の基本定理, 線型空間, 行列の対角化と標準形などです.