MFG テキストガイダンス
【解析05】
- 複素関数概論 (林実樹廣・長坂行雄 著), サイエンス社
- 知っているだろうか? 三角関数と指数関数が兄弟であること(オイラーの公式);N次代数方程式がいつもN個の複素数解をもつこと(代数学の基本定理);平面上には相似変換以外にも角度を保つ写像があること(等角写像);無理関数や対数関数の定義域を広げると、複素平面を貼り合わせた曲面上の関数になること(リーマン面)を。
式の形に表せる関数は変数をそのまま複素数に拡張できることがある。より正確には、各点の近傍ではベキ級数展開できる関数である。こうした関数は変数を複素数にして、はじめて全体の姿が見える。実数に限ることは、その断面を見ているようなものだ。全体像を知ることで、新たな断面が見える。それがオイラーの公式である。全体像が見えれば世界が広がる。それがガウスの代数学の基本定理であり、等角写像である。全体を見渡せるようになると、その先に新しい扉があり、そこからさらに別の世界につながっていることがある。それがリーマン面である。これが「関数(函数)論」または「複素関数論」とも呼ばれている分野である。
以下、簡単に章ごとの内容を記述すると
- 第1章: 複素数と複素平面:
- 複素数の基本性質、オイラーの公式、平面集合の位相(収束、境界点、連結性など)
- 第2章: 複素関数:
- べき級数、多項式、指数関数、三角関数、対数函数
- 第3章: 正則関数:
- コーシーの定理、留数定理
- 第4章: 正則関数の基本性質:
- 正則関数と同値な性質、一致の定理、最大値の定理、正則関数列の収束
- 第5章: 有理型関数:
- ローラン展開、複素球面、一次変換、零点と極の個数、等角写像
- 第6章: 関数の構成・表示・近似:
- 有理型関数の構成、整関数の無限積分解、ポアソン積分、ルンゲの定理、リーマンの写像定理
- 第7章: 解析接続とリーマン面:
- 解析接続、リーマン面