MFG テキストガイダンス
【代数06】
- 代数入門 - 群と加群 - (堀田良之著), 裳華房
- 数学科で学ぶ代数というと,群,環,体とありますが,本書は群論および環論の入門書です.著者は明解な教科書を書く定評があり,本書もその評判通り明解に簡潔に書かれています. 読者は線型代数を一通り学習した学生を想定していて,2年生の春から読めるようになっています.まず,第1章で代数系を一通り学んだあと,第2章では行列を環上の自由加群間の準同型としてとらえ,ジョルダン標準形について学びます.第3章,第4章はそれぞれ群論,環論の基本的なことが解説してあります.第5章ではワイル代数とその加群について解説してあり,線型偏微分方程式系を代数的に取り扱う代数解析学への興味を引き立てています.また,幾つかのトピックについては「余談」のコーナーが設けてあり,そのトピックの歴史と現在などの説明があり,向学心を刺激されます.
本書の後は,本書で扱わなかった体論,ガロア理論を学ぶのも良いし,可換環論,ホモロジー代数,表現論などの本を学ぶのも良いでしょう.さらにその後には数論,代数幾何,代数解析などの理論に入っていくことができます.
章ごとの内容は
- 第1章:
- 代数系の基礎:演算,群,部分群と準同型,剰余類と剰余群,準同型定理,環と体,環準同型とイデアル,剰余環と環準同型定理,可換環のイデアル
- 第2章:
- 線型代数再論: 環上の加群,自由加群,単項イデアル整域上の単因子論,ジョルダン標準形
- 第3章:
- 群: 群の作用,シローの定理,直積分解,有限アーベル群の双対性,可解群と
べき零群,組成列
- 第4章:
- 環と加群: 分数環と局所化,素元分解整域再論,射影加群と入射加群,テンソル積(1)(2),ネター加群とアルチン加群,根基と半単純性,次数環と次数加群
- 第5章:
- ワイル代数とその加群: ワイル代数,フィルター環とフィルター加群,ベルンステイン不等式,ホロノミー加群,b関数,解析学からの動機