理数応援ニューフロンティア・プロジェクト 数学コース

MFG テキストガイダンス

【代数05】
整数の分割 (G. Andrews, K. Eriksson著,佐藤文広訳), 数学書房
整数の分割とは1つの正整数を幾つかの正整数の和として表すことで,例えば,5 の分割なら,5, 4+1, 3+2, 3+1+1, 2+2+1, 2+1+1+1, 1+1+1+1+1で7個あります.また,色々な条件を付けた分割も考えます.例えば,相異なる正整数による分割(5, 4+1, 3+2),奇正整数による分割(5, 3+1+1, 1+1+1+1+1)などです.5の相異なる正整数による分割の個数も奇正整数による分割の個数も3個で等しいですが,これは偶然ではなく,一般に任意の正整数について,相異なる正整数による分割の個数と奇正整数による分割の個数は等しいことが分かります.本書では真っ先に(第1章,第2章)このことについて述べられてあります.同様の恒等式が色々あって,それらの考え方や,それらを導くテクニックが本書では展開されます.

本書を読むには予備知識は必要ありません.高校までの数学で十分で,1年生の春から読めます.また,演習問題(難易度も明示されている)がたくさん配せられていて,解く楽しみを味わうことができるでしょう.(演習問題の略解とヒントも後ろに付いています.)

整数の分割は標準的な大学学部の数学科のカリキュラムでは習いません.しかし,群の表現論や数理物理などの分野の研究に入ると出会うことになります.授業で習わない数学をやってみたい人向きです.

章ごとの内容は以下の通りです:
第1章:プロローグ
第2章:オイラー,そしてオイラーを超えて
第3章:フェラーズグラフ
第4章:ロジャース-ラマヌジャン恒等式
第5章:母関数
第6章: 分割関数についての諸公式
第7章:ガウス多項式
第8章:ダーフィー正方形
第9章:オイラーの恒等式の精密化
第10章: 平面的分割
第11章:フェラーズ盤を成長させる
第12章:エピローグ