MFG テキストガイダンス
【代数03】
- ガロワと方程式 (草場公邦著), 朝倉書店
- 代数方程式の根を係数の加減乗除とべき根を使って書けるかという問題を根の変換群の性質と関連付けるガロワ理論は数学科で習う代数学の一つの華です.
本書はガロワ理論の入門書で,基本的に高校数学のみを予備知識として書かれています.従って1年生の春から読むことが可能です.ガロワ理論を述べるためには群論と体論の基礎が必要なので,本書でも群論と体論の基礎が述べられてあります.難しい部分はここは難しいのでとばして良いとかのアドバイスがあったり,初学者に分かりやすく書いてあると思います.
章ごとの内容は,まず,第1章では最大公約数(多項式)を求めるユークリッドの互除法に始まり,合同,合同式を導入して中国式剰余定理,フェルマーの小定理を示します.さらにユークリッドの互除法の応用として連分数について述べてあります.
第2章では複素数の幾何的な表示について述べた後,3次方程式の根の公式と代数学の基本定理について述べています.
第3章では群論の基本的なこと(群の定義,部分群,剰余類,正規部分群,剰余類群,巡回群,対称群,群の同型と準同型,可換群の基本定理)が述べてあります.群論はガロワ理論を一つの契機に発生しました.
第4章では体の拡大について述べてあります.有限体や分離多項式と非分離多項式についても述べてあります.
第5章では体の同型を中心に述べてあります.また,アイゼンシュタインの既約判定法や円周等分多項式の既約性についても述べられてあります.
最終章の第6章でガロワ理論とその応用について述べてあります.代数方程式の可解性や,5次以上の方程式には根の公式がないことも,もちろん述べられてあります.