理数応援ニューフロンティア・プロジェクト 数学コース

MFG テキストガイダンス

【代数01】
群論の基礎 (永尾汎著), 朝倉書店
群論は対称性を記述する数学的言葉です.対称性とは図形の対称性にとどまらず,何らかの性質を保つ変換と捉えられます.従って,対称性は数学のあらゆるところで登場し重要な働きをします.また,自然界においても対称性はどこにでも存在し,例えば物理や化学でも群論は大活躍をします.

本書は群論の平易な入門書です. 集合と写像の解説から始まるので大学に入りたての1年生から読めるようになっています.イメージしやすい変換群を中心に群論の基本を簡潔丁寧に解説してあります.最後は表現論の基本的な事柄まで解説してあり,群論入門の良書です.ただ若干注意をしなければいけないのが置換の積の順番が主流派の記法とは逆になっています.それさえ注意していれば大学1年の春から読む群論の入門書として格好のものです.本書の後は例えば,群論の出発点となったガロア理論(代数方程式とその解の置換群との関係)に挑戦してみてはいかがでしょうか.

章ごとの内容は
第1章: 集合と写像:
集合,写像,演算
第2章: 群の概念:
群の定義,群の簡単な性質,加群,部分群,対称群・交代群,同型,変換群と対称性
第3章: 部分群・剰余類:
同値関係と類別,剰余類,巡回群の部分群,共役
第4章: 正規部分群・剰余群:
正規部分群,剰余群,準同型写像,交換子群・可解群
第5章: 直積・組成列:
直積,組成列
第6章: アーベル群:
自由アーベル群,アーベル群の基本定理,直既約なアーベル群,有限アーベル群
第7章: 有限群:
両側分解,p群,シローの定理,べき零群,置換群
第8章: 一次変換群・表現論:
二次形式・エルミート形式,一次変換群,群の表現,シュアーの補題,ユニタリー行列による表現,指標,誘導表現,群の直積の表現・表現の積