代数多様体のトポロジーとその周辺
研究集会「代数多様体のトポロジーとその周辺」を企画しています。
皆様の参加をお待ちしています。(7月24日、時間割にタイトルを追加)
日時:2013年8月21日(水)午前〜23日(金)午前
場所:北大数学教室 4-501
講演者:
伊藤哲也(RIMS)、
北山貴裕(東大)、
光明新(神戸大)、
後藤良彰(北海道大学)、
斎藤恭司(IPMU)(キャンセル)、
白根竹人(宇部高専)、
高尾尚武(RIMS)、
田所勇樹(木更津工高専)、
野口和範(信州大学)、
原岡喜重(熊本大)、
橋本義武(東京都市大学)、
宮谷和尭(広島大)、
松下大介(北大)
- 時間割:
8月21日:
13:00-14:00 原岡喜重:完全積分可能系と超曲面の補空間の幾何
14:15-15:15 宮谷和尭:ある種の超曲面の単項的変形と有限体上の超幾何函数
15:30-16:30 後藤良彰:Lauricella の超幾何関数 F_C のモノドロミー表現について
16:45-17:45 白根竹人:Examples of Quartic surfaces with 8 nodes and Zariski pairs
8月22日:
10:00-11:00 松下大介:On base manifolds of Lagrangian fibrations
11:15-12:15 北山貴裕:On an analogue of Culler-Shalen theory for higher-dimensional representations
14:15-15:15 高尾尚武:双曲的曲線の副冪零基本群への外ガロア作用から生じる体の塔について
15:30-16:30 光明新:Character Varietyに関するSimpson予想とP=W予想について
16:30-17:30 田所勇樹:The period matrix of the hyperelliptic curve w^2=z^{2g+1}-1
8月23日:
9:00-10:00 伊藤哲也:A geometric prospective for Garside structure and beyond
10:15-11:15 野口和範:Finite categoryのオイラー標数とゼータ関数
11:30-12:30 橋本義武:頂点代数に対する共形場理論におけるリーマン面の退化
アブストラクト:
伊藤哲也 (RIMS)
タイトル:A geometric prospective for Garside structure and beyond
アブストラクト:
Braid群はGarside構造と呼ばれる良い組み合わせ群論的な構造を持つことが知られ,
とくに、Braid群の元は良いGarside標準形と呼ばれる良い表示を持つ。講演では、こ
のような標準形が穴あき円板の配置空間や、ある種の超平面配置の補空間の局所系(
被覆)と密接に関連していることを説明し、Braid群の線形表現への応用を与える。
一部はBert Wiest氏(Univ. Rennes)との共同研究である。
北山貴裕(東京大学)
タイトル:On an analogue of Culler-Shalen theory for higher-dimensional
representations
アブストラクト:
Culler and Shalen established a way to construct incompressible surfaces
in a 3-manifold from ideal points of the SL_2-character variety. We
present an analogous theory to construct certain kinds of branched
surfaces from limit points of the SL_n-character variety. Such a
branched surface induces a nontrivial presentation of the fundamental
group as a 2-dimensional complex of groups. This is a joint work with
Takashi Hara (Osaka University).
光明新(神戸大学)
タイトル:Character Varietyに関するSimpson予想とP=W予想について
アブストラクト:
Riemann-Hilbert対応と非可換Hodge理論は, 表現のモジュライ, 平坦束のモジュラ
イ, Higgs束のモジュライの間の同型を与える. Simpsonは, これらの同型の無限遠で
の振る舞いに関して予想を提出した. 今回の講演ではこの予想とそのいくつかの例を
紹介したい. また, この予想はHauselたちのP=W予想とも関係している. このことに
ついても触れたい.
後藤良彰(北海道大学):
タイトル:Lauricella の超幾何関数 F_C のモノドロミー表現について
アブストラクト:
超幾何関数のモノドロミー表現を調べる際に, ねじれサイクル(積分域)の
変化を追うという手法がある.
本講演では, この方法を用いて Lauricella の超幾何関数 F_C の
モノドロミー表現について考察する. 2変数の場合を中心に
ねじれホモロジーを用いたモノドロミー表現の計算を説明し,
変数の数が一般の場合に関して現在研究している内容を紹介する予定である.
白根竹人(宇部高専)
タイトル:
Examples of Quartic surfaces with 8 nodes and Zariski pairs
アブストラクト:
本公演では3次元射影空間内の8個のA_1型特異点を持つ4次曲面を考える.
このような4次曲面は2つのタイプに分類される。
一つをconicalな4次曲面と呼び, もう一方をnon-conicalなものと呼ぶことにする.
Conicalな4次曲面の例は容易に構成できるが, non-conicalなものを即座に構成することは容易ではない.
本公演ではnon-conicalな4次曲面の例を構成する.
また, その過程で生じる射影平面上の4次曲線と3本の直線の配置によるZariski pairについて述べる.
高尾尚武 (RIMS)
タイトル:
双曲的曲線の副冪零基本群への外ガロア作用から生じる体の塔について
アブストラクト:
有理数体上の射影直線引く3点の副l基本群への外ガロア作用から生じる
体の塔(円分体上の無限次アーベル拡大の無限列)について
伊原康隆氏をはじめとして、これまで内外の研究者が様々な視点から様々な成果を上
げてきました。最近ではBrown氏によるこの作用の「モティーフ版」に関する成果に
よって、20年余りの間未解決だったいくつかの予想や問題が肯定的に解決されました。
本講演では、講演者の最近の成果を交えながら、
この体の塔やその一般化(高種数版や「モデュライ版」)に関連する
いくつかの結果や問題を紹介する予定です。
田所勇樹(木更津高専)
タイトル:
The period matrix of the hyperelliptic curve w^2=z^{2g+1}-1
アブストラクト:
コンパクトRiemann面の周期行列はその複素構造のみに依存して定まる.Siegel
上半空間と結びつけるなど様々な角度から研究されている.本講演では,2つの
トピックについて説明したい.
1. あるコンパクトRiemann面の周期行列を求めるアルゴリズム,
2. 超楕円曲線 w^2=z^{2g+1}-1 (g≧2)の周期行列の直接表示.
野口和範(信州大学)
タイトル:
Finite categoryのオイラー標数とゼータ関数
アブストラクト:
この講演ではfinite category (morphism, objectが有限個の意味)のオイラー標数とゼータ関数についてお話します。オイラー標数は普通幾何学的なものに対して定義されますが、finite categoryに対しても定義されます。このfinite categoryのオイラー標数は古典的な単体複体のオイラー標数の一般化になっており、幾何学的なオイラー標数とも関連があります。またfinite categoryのゼータ関数を紹介し、オイラー標数との関連を主結果としてお話します。最後にゼータの応用について、研究の進行具合によって話 せるところまでお話しします。
橋本義武(東京都市大学)
タイトル:頂点代数に対する共形場理論におけるリーマン面の退化
アブストラクト:TBA
原岡喜重(熊本大学)
タイトル:完全積分可能系と超曲面の補空間の幾何
アブストラクト:
N. Katzによるrigid局所系の理論は,Fuchs型常微分方程式の研究に大きな進展をもたらした。大島はKatz理論を用いて,Fuchs型常微分方程式の従来の理論を一新するような理論体系を作り上げた。完全積分可能系(holonomic系)についてもKatz理論の視点から研究を進めることは,興味深く有望な方向と思われる。
完全積分可能系とは完全積分可能条件をみたす偏微分方程式系のことで,解空間の次元が有限であるなど,常微分方程式とよく似た性質を持っている。一方でその特異点集合は一般に超曲面となり,孤立した点を特異点とする常微分方程式とは大きく異なる。その超曲面の幾何学的性質が,完全積分可能系の解の解析的性質を規定するところが非常に興味深い。
本講演では,完全積分可能系のモノドロミー表現のrigidityが,特異点集合を与える超曲面の補空間の幾何(トポロジー)とどのように関わるか,常微分方程式の場合と比べてどのようなことが同様に成り立ちどのような点が異なるか,というようなことについて考察を行う。完全積分可能系については知られている例が少なく,また1つ1つの例について調べるのに大きな手間がかかるため,まだはっきりとした展望は得られていない。完全積分可能系(のモノドロミー表現)に対してrigidity指数を定義できるか,というような基本的で重要な問題が手つかずに残されている。
松下大介(北海道大学)
タイトル:On base manifolds of Lagrangian fibrations
宮谷和尭(広島大学)
タイトル:ある種の超曲面の単項的変形と有限体上の超幾何函数
アブストラクト:
超幾何函数には,Gauss 和を用いて定義される「有限体上の類似」がある.
通常の超幾何函数のうち特別なパラメータをもつものは,
複素射影空間のなめらかな超曲面の族の Picard-Fuchs 方程式の解となるが,
有限体上の超幾何函数については,特別なパラメータをもつものは,
有限体上の射影空間のなめらかな超曲面のゼータ函数に現れる.
この類似にかんして,有限体上の超幾何函数の導入からはじめて,講演者による
結果をお話しする.
連絡先:
秋田利之(akita (at) math.sci.hokudai.ac.jp)
松下大介(matusita (at) math.sci.hokudai.ac.jp)
吉永正彦(yoshinaga (at) math.sci.hokudai.ac.jp)