科学・技術の世界(数式処理システムによる新時代の数学)

授業の内容

大学初年時で学ぶ数学に関連して、ソフトウエアを使い問題を解決する手法 を習得する。ソフトウエアとしてwxMaximaとよぶ数式処理系を利用する。 このソフトウエアはフリーソフトウエアであり、自由に利用できる。

初年次の数学科目では応用例まで触れることはない。しかし、ソフトウ エアを利用することで、応用例を実際に操作し、抽象的な数学概念を具体的 に適用する感覚を身につけることができる。

初歩的な使い方

四則演算
1+2*3/4;
	
	  (%i1) 1+2*3/4;
	  (%o1) 5/2
	
      
入力の最後にはセミコロンをつける。Enter(Shift+Enter)で実行し、結果を出力する。
初等関数
sin(), cos(), tan(), exp(), log(), asin(), acos(), atan(), sinh(), cosh(), tanh(), asinh(), acosh(), atanh()
数学定数
円周率: %pi, 虚数単位: %i, 自然対数の底: %e
	
	  (%i1) %i^2;
	  (%o1) -1
	  (%i2) sin(%pi);
	  (%o2) 0
	  (%i3) exp(1);
	  (%o4) %e
	  (%i5) %e^1 - exp(1);
	  (%o6) 0
	
      
変数へ値を代入
	x:-3;
	z:1+%i;
      
変数へ値を代入した後に関数値を求める。
	x:-3;
	abs(x);
	z:2+3*%i;
	abs(z);
      
注意:ここでx=-3とすると意図した動作をしない。
複素数の実部と虚部
	z:2+3*%i;
	realpart(z);
	imagpart(z);
      
代入した変数の一覧
values();
代入した変数をクリア
kill(x);
展開
$(x-1)(x-2)$:
expand((x-1)*(x-2));
$(1+i)^2$:
expand((1+%i)^2);
因数分解
$x^2-1$:
factor(x^2-1);
導関数
1変数:
diff(x^3,x);
多変数:
diff(x^2-y^2,y);
新たに関数を定義
f(x,t):=x^2+t^2
二つの関数が恒等的に等しいかどうか判定
差をとってfactor()を用い0になるかどうかで判定する。
factor(x^2-1-(x+1)*(x-1))
テイラー展開
指数関数\(e^x\)の\(x=0\)でのテイラー展開を5次の項まで求める:
taylor(exp(x),x,0,5);
グラフを描く
1変数関数:
plot2d(sin(x),[x,0,%pi]);

複数の関数のグラフを描く場合は次のようにする。

plot2d([exp(x),sin(x)],[x,0,3]);
2変数関数:
plot3d(x^2+y^2,[x,0,1],[y,0,1]);

以上のグラフはwxMaximaとは別のウィンドウが開く。wxMaximaのウィ ンドウ内にグラフを描く場合はwxplot2d(), wxplot3d()を用いると良い。
wxMaximaの終了と作業過程の保存
メニューから「終了」を選択する。作業の結果を保存するかどうか聞 かれるので、「保存」を選択するなら保存先のファイル名を指定する。 「保存しない」ならそのまま終了する。

演習問題

  1. $\sin(x)$について、1,3,5次のマクローリン展開と合わせて $[0,2\pi]$でグラフを描け(4つの関数のグラフを同時に描く)。

レポート問題(全てできなくても提出すること。締め切りは別途指示する。)

  1. $f(x,t)=e^{-x^2/(2t)}/\sqrt{t}$について、$f_{t}-f_{xx}/2$を求 めよ。
  2. 上の$f(x,t)$について、$t=1,4,16$のそれぞれについて$y=f(x,t)$の グラフを描け(3つのグラフを同時に描く)。どのグラフがどの$t$に対 応するか明記すること。
  3. $i$を虚数単位とし、複素数値をとる関数$exp(ix)$を考える(指数関 数$exp(x)$をマクローリン展開として定義し、$x$に改めて$ix$を代入す る)。適当な次数を決めて$exp(ix)$をマクローリン展開し、実部と虚部 を$cos(x)$, $sin(x)$のマクローリン展開と比較する。わかった結果を述 べよ。
  4. 友達のレポートをそのままコピーしたわけではないことを示すため に、Maximaを含む画面全体のキャプチャ画像を貼り込むこと。