数学概論B
この講義では普段講義を受けているだけでは, なかなか知ること
が出来ない,
数学研究者の普段の研究内容を紹介します.
想定する予備知識としては, 大学一年時の微積分と
線形代数だけですので, 気軽に聴講に来てください.
主たる対象は学部2年生ですが, 意欲のある1年生,
学部3, 4年生の聴講も歓迎します.
時間は火曜日五講目, 教室はS10です.
単位認定はレポートで行います. 詳細
については初回の講義時に説明します.
1月の講演者
蔵本先生
「リズム現象の数理」
私たちの身の回りにはいろいろなリズム現象があります。神経活動や心拍、概日リズムなど、リズムは生命活動とも密接に関わっています。複数のリズムが互いに影響しあうと、そこにさまざまな興味深い現象が現れます。この講義ではリズム現象を数学的に扱う場合の基本的な考え方を話す予定です。
12月の講演者
12/12, 19 西浦先生 「形のダイナミズム」
雪の結晶、砂丘の風紋、みそ汁の対流、キリンのまだら模様、銀河や台風
の渦巻き、など自然界には自発的に作られる様々なパターンが観察されます。それ
らは一見複雑でありますが、全体としては秩序ある美しい形を成しています。これらの
形作りにはどんな数学的構造が関わっているのでしょうか? 簡単な例を通して
そのメカニズムを理解し、さらにそれを用いて新たな形を作ることを試みます。
成績について
これまでに提出されたレポートの成績の確認を 12/12, 12/19 に行います。
場所と時間は西浦先生の講義の後になります。
調和関数は最も簡単な偏微分方程式の一つであるラプラス方程
式の解として与えられ,古くから研究されてきました.この講
義では調和関数の基本的な性質を述べ,それらが組み合わさっ
て深い数学に結びついていく様子を話したいと思います.
11月の講演者
インターネット, 皆さん使っていますね.
ネット上を流れる信号のデザインには符号理論と呼ばれる
数学が使われています. この講義では
この符号理論を中心として代数的組合せ論について話します.
はじめに,
情報通信の信頼性向上のために用いられている符号が、組合せ論の自然な研究対象として捉えられる事からスタートし,
さらによい性質を持つ符号をいくつか紹介し, それらが組合せ論の他の研究対象と結びつく事を話します.
図形がどんな対称性をもつかに興味をもつ人は、幾何学に関心があると言って
良いでしょう.
たとえば正 n 角形の対称性、即ち自分を自分自身にうつす合同変換は全部で
2n個あります. それは n個の回転と n個の鏡央変換です. (ただし自明な合同
変換も1個にいれます )
合同変換の全体は群というものになります. なので合同変換群と言ったりしま
す. 上の例では合同変換群はすべて有限な群です.
ある群を調べるのに, それをある図形の合同変換群として実現するのは良い
方法です. 図形の幾何学的性質が群の代数的な性質に反映するからです.
このあたりの事情を自由群や曲面( n人乗りの浮き輪)の基本群を題材にお話し
たいと思います.
10月の講演者
ライフゲームといっても有名な「人生ゲーム」のことでは
ありません. 囲碁の碁盤を想像してください.
そこに石をいくつか並べます. 次に各碁盤の枡目に
- その目に石がなく, まわりの8個の枡目のうち三つ石があれば
その枡目に石を置く.
- その目に石があり, まわりの8個の枡目のうち
二つあるいは三つ石があればその枡目の石はそのままにする.
- 上記二つの場合以外はその目から石を取り除く.
というルールで石を並べかえていきます. 言葉で書くと複雑ですが,
こんなときにはコンピューターが大活躍. 目で見て楽しむという
変った数学を堪能してみませんか?
平面上の直線を何本か考えてみましょう. ちょっと考えただけでは,
こんな単純な対象には何も面白いことはないように見えますが,
実はそこには非常に深い数学がひそんでいます.
この講義では二回に分けて, このような対象に組み合わせ論的方向と,
位相的な方向から切り込みます.
- 以降の講演者
- 1/9, 16 蔵本先生
Matsushita Daisuke
Last modified: Mon Dec 18 13:06:22 JST 2006