Department of Mathematics
Hokkaido University

ミニワークショップ 統計多様体の幾何学とその周辺 (16)

日時:2024年11月30日(土)〜12月2日(月)
場所:北海道大学理学部 4号館501
連絡先: 古畑 仁

30日(土)

13:00 井ノ口順一 (北海道大学)  Homogeneous geometry of statistical manifolds (1)
講演要旨:  等質リーマン空間、とりわけリーマン対称空間は大きな対称性をもち リーマン幾何学において、「位相構造と曲率」や種々の不変量を研究する上で 出発点となっている。また等質リーマン空間の幾何学自体も一つの研究分野をなしている。 統計多様体の等質性や、等質空間の幾何学は端緒についたばかりであり、今後の研究が俟たれる。 本講演では等質統計多様体の概念を提起し、等質統計多様体の基礎概念を解説する。 とくに正規分布をモデルとする統計リー群について解説する(古畑仁・小林真平・大野優との共同研究)

14:45 井ノ口順一 (北海道大学)  Homogeneous geometry of statistical manifolds (2)
講演要旨:  正規分布をモデルとして、統計リー群が着想された。一方、二項分布をモデルとして採用すれば 1次元統計多様体を考察する必要に迫られる。1次元特有の現象が多々あり,特殊な対象とも思えるが 種々の幾何学的問題(特に幾何解析・変分問題)を考察する上ではテストケースとしての活用が期待できる。 1次元統計構造、特にヘッセ構造について解説し、今後の活用についても提案を行う。

16:30 松添 博(名古屋工業大学)  Markov埋め込みとChentsovの定理 (1)
講演要旨:  有限集合上の正値確率測度のなす集合に対し,Chentsov は Markov 埋め込みのもとで不変なテンソル場の族が存在することを示した. この性質は,情報幾何学において統計モデル上の幾何構造を構成ための一つの指針となっている. 本講演では Markov 埋め込みを再考することで,統計モデルの幾何構造を考察する. ((1)(2)共通)

18:00 懇親会

1日(日)

 9:30 山口夏穂里 (立命館大学)  Fisher計量を用いたδ概十分統計量の定式化とその特徴づけ (1)
講演要旨: 統計学の基本的な概念である十分統計量は1922年に統計学者Fisherにより提案され,1935年にNeymanによって定式化された。 この古典的な十分統計量を,2017年にAy-Jost-Lé-SchwachhöferらがFisher 計量を用いて情報幾何学の分野で再定義した. 本講演では,Ay-Jost-Lé-Schwachhöferらが再定義した十分統計量を定量的に一般化し,その特徴づけを行う. ((1)(2)共通)

13:00 山口夏穂里 (立命館大学)  Fisher計量を用いたδ概十分統計量の定式化とその特徴づけ (2)

14:45 嘉陽 海渡 (北海道大学)  Quasi-Codazzi structureとaffine微分幾何 (1)
講演要旨:  統計構造(またはCodazzi構造)は非退化計量を用いて定義される. 本講演では,計量の退化を許容する統計構造としてquasi-Codazzi構造を導入する. また,quasi-Codazzi構造の満たす性質を統計構造と比較しながら紹介する.

16:30 松添 博(名古屋工業大学)  Markov埋め込みとChentsovの定理 (2)

2日(月)

 9:30 嘉陽 海渡 (北海道大学)  Quasi-Codazzi structureとaffine微分幾何 (2)
講演要旨:  affine微分幾何とCodazzi構造との間には密接な関係がある. 具体的には,非退化等積なaffineはめ込みが与えられると, 双対接続が射影平坦なCodazzi構造が誘導され,またその逆も成り立つことが知られている. 本講演では,(非退化の仮定を除いた)等積なaffineはめ込みとquasi-Codazzi構造に対しても 同様の結果が得られることを紹介する.

最終日は終了後引続き12:00まで 北海道大学微分幾何学セミナーが開催されます.

本研究集会は次の科学研究費ほかにより支援されています: 基盤研究(B) 23K25787(代表:藤原彰夫),基盤研究(C) 22K03279.
講演者からお寄せいただいた情報を随時掲載しています.


[Top] [Back]