集中講義のご案内

集中講義「形の数理」

講師: 高木隆司(東京農工大)

北海道大学大学院理学研究科数学専攻では下記の要領で集中講義を行います. 数学に興味をもつすべての方を歓迎します. また,この集中講義に合わせて, 「形」にこだわった講演を三人の数学者の方にお願いしました. 学生の皆さんが楽しんでもらえるようなプログラムになると思いますので, 奮ってご参加ください.

期間:2001年10月15日(月)〜19日(金)
場所:北海道大学大学院理学研究科(4−508・第3講義室)
内容: ものの形をとらえ,科学的に追求するための基礎的,数理的な手法 について解説する.厳密な証明はせず,直感に訴える方法で話を進める.
(1)形の定量化法
・トポロジー ・エントロピー ・スペクトル ・フラクタル ・分岐比
(2)空間の性質
・空間分割 ・空間充填
(3)非生物系における形態形成原理
・エネルギー原理 ・自由エネルギー原理 ・エントロピー生成最小原理 ・不安定性原理 (成長形に対して)
(4)生物系の形態形成原理
・ポジティブフィードバック原理 ・最適原理
参考書: 高木隆司「形の数理」朝倉書店(数理科学シリーズ、No.1)
予備知識:大学1,2年次の基礎課程における数学,物理学の知識
評価:単位取得希望者は レポートを12月21日までに数学事務室に提出のこと
リンク:
http://www.tuat.ac.jp/~takaki/index.html
http://wwwsoc.nii.ac.jp/form/
プログラム:

10月15日(月)

14:45−16:15
導入+形の定量化法─1 : 集中講義第1話
16:30─18:00
連続濃度分布を持つ画像のトポロジー : オーバービュー
図形のトポロジーは,通常,はっきりした境界線や境界面を持つ 図形について定義されている.ところが,現実の図形には,境界が はっきりしないものもある.たとえば,物質の濃度分布や温度分布 のように本来連続分布をもつ場合,あるいははっきりした境界を持 つ図形を撮影し,何らかの画像処理を行った結果として連続分布に な場合である.このような図形についても,要素間の連結性や,オイ ラー標数の評価が必要になる場合がある.このような場合,2値化 して求めることが従来行われてきた.しかし,そうすると,低い濃 度であるが重要な構造があるとき,それを見落とす可能性がある. そこで,等濃度線(面)の曲率に着目し,連続濃度分布のままで トポロジー的な量を求める方法を提案する.これは,積分幾何学の 分野に属する問題である.

10月16日(火)

14:45−16:15
形の定量化法─2 : 集中講義第2話
16:45─17:45
大塚富美子 (茨城大) http://suuri.sci.ibaraki.ac.jp/~ohtsuka/ohtsuka.html
全曲率の幾何学的意味について : 特別講演

10月17日(水)

14:45−16:15
空間の性質 : 集中講義第3話
16:45─17:45
竹内伸子 (東京学芸大) http://www.u-gakugei.ac.jp/~nobuko/
円をたくさん含む形 : 特別講演

10月18日(木)

14:45−16:15
非生物系の形態形成─1 : 集中講義第4話
16:45─17:45
非生物系の形態形成─2 : 集中講義第5話

10月19日(金)

13:30─14:30
儀我美一 (北海道大) 非等方的曲率流方程式 : 特別講演
14:45−16:15
生物系の形態形成モデル+まとめ : 集中講義第6話


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furuhata@math.sci.hokudai.ac.jp