PDE Seminar 微視的格子モデルとフェーズフィールド法の粗視化と第一原理計算

Date
2009-06-08 16:30 - 2009-06-08 18:00
Place
Fac of Sci. bldg 3, 2nd floor, Room 202
Speaker/Organizer
Tetsuo MOHRI (Department of Physics, Hokkaido University)
 
我々の研究室では、この数年間にわたり、規則―不規則変態を対象にして第一原理マルチスケール計算を行ってきた。離散格子の自由エネルギーをクラスター変分法 (Cluster Variation Method; CVM)1,2)を用いて定式化し、スケールの大きな内部組織レベルの時間発展過程を Time Dependent Ginzburg Landau (TDGL) 方程式で算出しようというものである。この方法では、TDGL方程式の homogeneous free energy density term にCVMの自由エネルギーを導入することになるが、離散格子と内部組織というようにスケールの異なる領域の自由エネルギーを整合的に記述するためには粗視化が必須である。Kikuchi-Cahn によって行われた先駆的な計算を、より一般的な場合に拡張することで以下のような粗視化を試みた3)。まず、結晶格子をcellに分割し、cellの位置を与えるglobal coordinateとcell内の原子面を指定する localcoordinate の二つの座標系を導入する。CVM自由エネルギーに出現するクラスター濃度を結晶格子面に対して定義すると、全系の自由エネルギーは各結晶面からの寄与の和として書き表すことができる。この自由エネルギーを global coordinateの周囲で展開し、さらに、クラスター濃度のgradient項のないhomogeneous stateの周囲で展開すると(いずれの展開においても3次以上の高次項は消去する)、gradient energy coefficient は定数ではなく、温度や局所的な原子配列を含んだ形で定式化される。これは、電子状態の計算で求まるクラスター有効相互作用エネルギーの導入に際して整合的な形式になっており、電子・原子レベルの情報を内部組織に反映させた第一原理計算が可能となる4,5)。本セミナーでは、クラスター変分法の概要、クラスター相関関数の定式化、TDGL方程式へCVM自由エネルギーを導入する際の粗視化に関して述べる。1)R. Kikuchi, Phys. Rev. 81 (1951), 998.2) クラスター変分法, 菊池良一、毛利哲雄、森北出版(1997)3)大野宗一, 北海道大学博士論文 (2004)4) Tetsuo Mohri, Munekazu Ohno and Ying Chen, J. Phase Equlibria and Diffusion 27 (2006), 47-53.5) Tetsuo Mohri, Statistical Thermodynamics and Model Calculations in Alloy Physics, Chapt. 10, ed. W. Pfeiler, WILEY-VCH (2007), 525-588.