振動子が外部から摂動を受けるとき,影響を受けるタイミングによってその応答は異なる.振動子の位相に対して,外部入力による位相の増減をプロットしたものを「位相応答曲線」と呼ぶ。代表的な例は、生物の概日リズムの,光刺激に対する位相応答曲線である。概日リズムを例にして本研究の目的を説明する。哺乳類の概日リズムは、視交叉上核と呼ばれる複雑なネットワークで相互作用する時計細胞集団が構成している。個体の概日リズムの位相応答は、視交叉上核全体の位相応答であると考えれる。視交叉上核において、個々の時計細胞は目から入る光情報の影響を受けるのだが、その影響の「総和」が時計細胞ネットワーク全体の位相応答となる。細胞個々の位相応答(ミクロ位相応答)と全体の位相応答(マクロ位相応答)はどのように関係しているのだろうか?位相モデルの結合振動子系において,この両者を繋ぐ理論を構築したのでそれについて報告する.振動子間の結合に依存して集団の動的性質に大きな質的変化が現れることが示される.