TeXを持ち出す

目的

USB メモリなどが安価になり,様々なデータを簡単に持ち運ぶことができるようになりました.更に,この上に自分の環境を構築してしまえば,USB メモリだけで自分の上のデスクトップを再現できるはずです.そういうことを可能にした U3 のような規格も存在します.

ここでは,そのような規格ではなく通常の USB メモリ上*1に,W32TeX と dviout が使える環境を祝鳥を用いて構築してみることを試みます*2

*1
といいながら,書いてる本人はポータブル HDD に環境を作ってますが.
*2
別に祝鳥じゃなくてもできると思うし,もっと言ってしまえば支援環境がなくてもよいでしょう.興味のある方は自分で試してみてください.

W32TeX をインストールする

まずは W32TeX をインストールしましょう.といっても,単に解凍するだけです.TeX インストーラ 3 を用いてもよいのですが,余計なパスが設定されてしまうので,ここでは手動で行います.

W32TeX のページから,必要なファイルをダウンロードします.いくら大きくなってきたといっても,まだまだ USB メモリは小さいですから,取捨選択した方がよいでしょう.とりあえずは標準インストールくらいでよいでしょうか.

ダウンロードしたら,全て解凍します.全てのファイルは,bin フォルダまたは share フォルダに入るはずです.これを USB メモリ上にコピーします.ルートに tex フォルダでも作って,そこに入れればいいんじゃないかと思います.USB メモリがドライブ E ならば,E:\tex\bin や E:\tex\share があるはずです.べつに場所は何処でもいいけど.適当にフォルダを作って,以下全てそこに入れた方がよいかも.

必要なら自分の使ってるスタイルファイルとかもコピーします.さしあたって新ドキュメントクラスくらいは入れましょうか.

HmRegIni.dll を抽出しておく

以降で使う HmRegIni.dll を抽出しておきます.これはサイトー企画様の作成されたプログラムです.

サイトー企画様のところから,秀丸メール持ち出しキットをダウンロードして,実行します.「はい」を押して,「次へ」を一回くらい押すと,「HmRegIni.dll とヘルプファイルの抽出だけする」というオプションがあるので,そこにチェックを入れます.そのままこれらを抽出してください.抽出された HmRegIni.dll は後から使うので,適当な場所に保管しておいてください.

dviout をインストールする

次に dviout を持ち出します.まずは dviout 開発室から dviout をダウンロードし,USB メモリに展開します.tex フォルダ内に dviout とでも作って,そこにおけばいいでしょうか.このままでは dviout が設定情報をコンピュータに書き込んでしまいますから,その部分に手を加えた dviout [dviout 3.18 へのパッチ] をお使いください.ダウンロード後,先ほど展開した中の dviout.exe に上書きします.使うには HmRegIni.dll が必要ですから,先ほど抽出した HmRegIni.dll を同じディレクトリにコピーしてください.

なお,この dviout は僕が勝手に改変したものです.dviout の作者 SHIMA 氏は無関係ですから,この dviout に関する問い合わせは決してしないでください.

持ち出した dviout を起動すると,初回起動と同様にインストール画面が表示されるはずです.まずは設定を終えてください.設定を終えたら,メニューから「Option」→「Setup Parameters」を選び,いくつかの設定を行います.

秀丸&祝鳥をインストールする

次に秀丸を持ち出します.既に自分のパソコンに秀丸と祝鳥は入ってると仮定します.秀丸持ち出しのインストーラは 2007 年 2 月 17 日現在ないので,手動でやる必要があります.秀丸は多分 6.06 以降が必要です.

NT 系列(2000/XP/Vista?)を用いてる人は,先に祝鳥の設定をすましておきます.使用できる祝鳥は 2007/03/11 以降のものに限られます.通常通りに祝鳥のメインメニューを起動し,「タイプセット」→「設定」→「初期化等」を選んででてきた「現在の設定を共通環境にコピー」で普段使っている設定を共通環境にコピーしておきます.

そして,秀丸本体を USB メモリにコピーします.デフォルトでは Program Files\Hidemaru に入っているはずの中身を適当に USB メモリ内にコピーしてください.今回は,USB メモリ内 Hidemaru\Program フォルダにコピーしたと仮定します.単にファイルをコピーすれば十分です.

引き続き,マクロもコピーします.PC 本体に入ってる秀丸のマクロフォルダ(その他→動作環境→環境のマクロファイル用のフォルダから確認可能)をそのまま USB メモリにコピーするだけです.今回は,Hidemaru\macros にコピーしたとします.同じディレクトリに,HmRegIni.dll もコピーします.

コピーが終わったら,PC 本体の秀丸を全て終了して,USB メモリ内の秀丸を起動します.(先ほど述べた通りのファイル構成なら,Hidemaru\Program\Hidemaru.exe をダブルクリックします.)無事秀丸が立ち上がるはずです.

設定前に,本当に秀丸が持ち出せたか確認しておきます.その他→秀丸エディタについてを選ぶと,秀丸のバージョン情報がでますが,そこに HmRegIni.dll のバージョンがあれば持ち出しは成功しています.環境設定に移りましょう.

なお,既に使っていた設定は引き継がれず,「設定内容の保存/復元」も使えません*3現在の設定を簡単に移行するプログラム [ソース] を作ってみましたので,良ければご使用ください.使い方は, hmreg.exe を USB メモリ内の秀丸フォルダにコピーし,ダブルクリックするだけです.運が良ければ環境が移行されます.とはいえ,いくつかの設定はし直す必要があります.

最初にマクロフォルダの設定をしておきましょう.USB メモリの秀丸を立ち上げ,その他→動作環境→環境と開きます.「マクロファイル用のフォルダ」をさきほどマクロをコピーしたフォルダ(先ほど述べた通りのファイル構成なら,Hidemaru\macros)に設定をします.

その他必要な設定をすませます.祝鳥インストールの秀丸に不慣れな人の部分を行った人は,キー割り当ての読み込みまでを再度実行するとよいでしょう.

*3
キー割り当ての読み込みと.hilightの読み込みはできます.

ぷちらんちゃを使う

秀丸と TeX を使うには,繋がれた USB メモリがどのドライブにあるかを教えてあげる必要があります.僕はそのためにぷちらんちゃというランチャー*4を用いています.というわけで,その使い方を書いておきます.どうしても嫌だと言う人は,他のランチャを使うか適当なプログラムを書くかとにかく何かして環境変数にドライブレターを設定してください.

とりあえずはダウンロードして解凍しましょう.そして USB メモリにコピーし,起動します.右下タスクトレイにアイコンが現れたと思うので,右クリックして「動作環境」→「全ユーザ共用環境を使用」にチェックをいれておきます.

また右クリックをして,「設定」を選びます.「初期」タブに「ぷちらんちゃ起動時にインストール先情報を環境変数に設定する」にチェックを入れ,環境変数名に適当な値を入れます.デフォルトでもいいですし,変更してもよいです.僕は PTLNCDRIVE になっています.値は「インストールドライブ」にしておきます.終わったら「OK」を押します.

秀丸登録前に,環境変数を設定しておくためのバッチファイルを作っておきます.秀丸のあるフォルダに hmtex.bat とでもファイルを作っておきます.中身は,TeX のあるフォルダと dviout のあるフォルダをPATHに追加し,その後秀丸を起動します.ドライブレターは %PTLNCDRIVE% で得ることができます.今までの例通りならば,次のようになります.

set PATH=%PTLNCDRIVE%:\tex\bin;%PTLNCDRIVE%:\tex\dviout;%PATH%
start hidemaru.exe

終わったら今作ったファイルを登録します.既に表示されているであろうぷちらんちゃのウィンドウを,追加したい場所で右クリックします.メニューから「登録・編集」を選ぶと登録用ダイアログが表示されます.「登録ファイルパス」をとりあえず今作ったファイルの場所に設定します.そして,最初の一文字目を先ほどのインストールドライブが入っているはずの環境変数名に書き換えます.%で囲むことをわすれないでください.作業用フォルダも同じことをします.これまでの例のようにやった場合,次の用になっているはずです.

右上のアイコンが秀丸になっていないのが気持ち悪いならば,そちらも設定しておくといいでしょう.

ちなみに他のマシンで動かすと,多分設定が空になります.そのときは,あわてず「動作環境」→「全ユーザ共用環境を使用」をチェックしてください.自分の設定した環境がよみがえるはずです.

*4
プログラムを起動するためのプログラム.Windows 自身のスタートメニューなどを想像して貰えればよい.大体あれよりずっと使いやすいけど.

祝鳥を設定する

dviout をフルパスで呼び出さないように設定します.設定画面からでは常にフルパスになってしまいますから,直接書き換えます.USB メモリ内祝鳥を起動し,メインメニューから「お手伝いさん」→「INIファイル編集」→「package\dviout.ini」を選びます.Path=から始まる一行を「Path=dviout.exe」にしてください.

間違っていなければ,この段階で,普段用いてるマシンならばコンパイルと dviout によるプレビューができるはずです.但し,dviout からの GhostScript ができないので,画像などが入っているとまずいかもしれません.また,GSView や Adobe Reader などによるプレビューは原則行えません.

他のマシンで動かした場合は,祝鳥を起動すると「設定を行いますか?」といったメッセージが表示されますので,「いいえ」を選んでください.その後で「共通ユーザ環境を使いますか?」と聞かれるので,こちらで「はい」と押せば,自分の環境が使えるようになるはずです.

ispell を使う

ispell を使う場合は更に準備が必要です.ispell を W32TeX のページあたりからダウンロード&解凍し,実行ファイル群を TeX の bin フォルダへ,また tex\ispell\dic とでも適当に作ってシステム辞書をそこにコピー,更に tex\ispell\home あたりを作って,個人辞書をおく場所にします.

ispell は環境変数を必要としますので,そちらも設定しておきましょう.ISPELL_DICTDIR と HOME を設定します.先ほどの hmtex.bat にこれらの環境変数の設定を追加します.今までの例通りならば,「start hidemaru.exe」の前当たりに次の二行を追加します.

set ISPELL_DICTDIR=%PTLNCDRIVE%:/tex/ispell/dic
set HOME=%PTLNCDRIVE%:\tex\ispell\home 
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