数学連携サロン 微視的格子モデルとフェーズフィールド法の粗視化と第一原理計算 part2

開催日時
2009年   07月 27日 16時 30分 ~ 2009年   07月 27日 18時 00分
場所
北大理学部3号館202室
講演者
毛利 哲夫(北海道大学大学院・工学研究科)
 
我々の研究室では、この数年間にわたり、規則―不規則変態を対象にして第一原理マルチスケール計算を行ってきた。離散格子の自由エネルギーをクラスター変分法 (Cluster Variation Method; CVM)1,2)を用いて定式化し、スケールの大きな内部組織レベルの時間発展過程をTime Dependent Ginzburg Landau (TDGL)方程式で算出しようというものである。この方法では、TDGL方程式のhomogeneous free energy density termにCVMの自由エネルギーを導入することになるが、離散格子と内部組織というようにスケールの異なる領域の自由エネルギーを整合的に記述するためには粗視化が必須である。Kikuchi-Cahnによって行われた先駆的な計算を、より一般的な場合に拡張することで以下のような粗視化を試みた3)。 まず、結晶格子をcellに分割し、cellの位置を与えるglobal coordinateとcell内の原子面を指定するlocal coordinateの二つの座標系を導入する。CVM自由エネルギーに出現するクラスター濃度を結晶格子面に対して定義すると、全系の自由エネルギーは各結晶面からの寄与の和として書き表すことができる。この自由エネルギーをglobal coordinateの周囲で展開し、さらに、クラスター濃度のgradient項のないhomogeneous stateの周囲で展開すると(いずれの展開においても3次以上の高次項は消去する)、gradient energy coefficient は定数ではなく、温度や局所的な原子配列を含んだ形で定式化される。これは、電子状態の計算で求まるクラスター有効相互作用エネルギーの導入に際して整合的な形式になっており、電子・原子レベルの情報を内部組織に反映させた第一原理計算が可能となる4,5)。 本セミナーでは、クラスター変分法の概要、クラスター相関関数の定式化、TDGL方程式へCVM自由エネルギーを導入する際の粗視化に関して述べる。

関連項目
,

研究集会・セミナー・集中講義の一覧へ