生命数理セミナー「レース展開を用いたコンタクトプロセスの解析」

開催日時
2010年   9月 29日 17時 ~ 2010年   9月 29日 18時
場所
北海道大学 理学部3号館210号室
講演者
坂井 哲(北海道大学)
 
概要:

伝染病伝搬を記述する模型の一つに、コンタクトプロセスというモデルがある。 このモデルは、病気の感染率に関して相転移および臨界現象を示すことが知られている。 我々「数理物理屋さん」は、臨界現象の普遍性を「数学的に厳密に」理解したいと思っていて、 したがってコンタクトプロセスもその研究対象となる。

一般に臨界現象は「強く相互作用し合った確率変数系の協力現象」なので、現在の確率論が教えてくれる独立変数系に対する大数の法則や中心極限定理などは普通期待できない。 かと言って、物理でおなじみの摂動展開や平均場理論などの「近似」では、一体その近似がどのくらい精度が良いのか判断するのが非常に難しいし、それに所詮近似であるので、本当の臨界現象から随分かけ離れてしまったものが見えてしまうかも知れない危険性を孕んでいる。

そこで、平均場理論からのズレを厳密にコントロールする手法として、1985年「レース展開」がBrydgesとSpencerにより考案された。 彼らは「弱い体積排除効果をもった自己回避歩行」に対してレース展開を考案し、上部臨界次元である4次元より上の全ての次元で臨界現象が平均場的に退化してしまうことを厳密に証明した。

その後、レース展開の手法は様々な臨界現象を示すモデルに適用された。 コンタクトプロセスも、そのうちの1つである。

今回の講演では、コンタクトプロセスに対するレース展開とはどんなものか、どうやって使うか/どうなっていたら使えるか、どんなことが言えるのか、を概観して見たい。 少し数学的になるが、この手の解析にはこの位のことが要求されるんだということを見る良い機会だと思うので、余り端折らない積り。

関連項目

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