数論幾何学セミナー:Abel多様体の標準部分群と固有値多様体

開催日時
2015年   7月 24日 10時 00分 ~ 2015年   7月 25日 16時 00分
場所
北海道大学理学部3号館210
講演者
服部 新 氏(九州大学)
 
p進体上の楕円曲線Eに対しその位数pの部分群は高々p+1個あるが,Eが通常還元に近いとき,その中に他のp個とは様子の異なる特別な部分群が存在する.これは標準部分群(canonical subgroup)と呼ばれ,p進(特に,過収束)楕円保型形式に対するHecke作用の解析に本質的な役割を果たしてきた.1970年代のLubin,Katzによる標準部分群の古典的な構成は楕円曲線が一次元であることに依存しており,同様の理論が高次元のAbel多様体に対して確立された(Abbes-Mokrane,Fargues,講演者を含む大勢の貢献がある)のは,有限平坦群スキームの分析手法が大きく進歩した2000年代に入ってからのことだった.高次元標準部分群の理論が整備されたことにより,保型形式のp進理論は高次元化の新たな展開を迎えており,例えばAndreatta-Iovita-PilloniによるSiegel/Hilbert保型形式に対する固有値多様体(eigenvariety)の構成では,高次元標準部分群の理論が最も中心的な構成要素として用いられている(特に,標準部分群とHodge-Tate核との関係が重要である).

本講演では,有限平坦群スキームと頂切Barsotti-Tate群の基礎と分類理論(Breuil-Kisin分類),高次元標準部分群の構成と諸性質,また時間が許せばHilbert固有値多様体の固有性に関する話題,についての概説を行う.


関連項目

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