月曜解析セミナー:Hilbert空間形式の量子力学の数学的定式化とHamiltonianの自己共役性の問題について

開催日時
2017年   1月 16日 16時 30分 ~ 2017年   1月 16日 18時 00分
場所
北海道大学理学部3号館210
講演者
臼井耕太(北海道大学)
 
前半では,von Neumannによる,Hilbert空間形式の量子力学の数学的な定式化を紹介します.単に数学的な形式を述べるだけではなく,よく言われるような「量子力学の世界観は我々の素朴な直感とは相容れない」という性質がどのようなところにあるのかを,古典力学(Newton力学)の形式と対比させながら,具体例を交えてお話ししたいと思います.具体例としては,古典論では理解できない水素原子のエネルギー準位の問題が,量子力学でどのように記述されるのかを紹介します.

後半では,前半での数学的定式化を踏まえて,量子力学の具体的な問題において「与えられた対称作用素が(本質的に)自己共役であること」を証明することが,なぜ“物理的に”重要になるのかについて考察します.自己共役性の問題は物理の文献ではあまり触れられませんが,個々の具体的モデルにおいてHamiltonian(考察下の物理系のエネルギーに対応する作用素)の自己共役性を確かめることは,極めて非自明な数学的問題になることがあります.この問題に関連して,水素原子のHamiltonianの自己共役性についての加藤の古典的結果を紹介し,さらに,時間が許せば,量子電磁力学のHamiltonian(Dirac-Maxwellモデル)の自己共役性についての結果(北大の二口氏との共同研究)も紹介したいと思います.なお,予備知識としては,数学としてのHilbert空間論の基本的なことは仮定しますが,物理としての量子力学についての知識は(少なくとも前半では)一切仮定せずにお話しします.

関連項目

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