幾何学コロキウム 半代数的集合のオイラー標数と組合せ論的相互律

開催日時
2016年   7月 1日 16時 30分 ~   18時 00分
場所
3号館204室
講演者
吉永正彦(北海道大学)
 
数え上げ組合せ論において、「組合せ論的相互律」という現象が多数観察・研究されている。一言で述べると、有限集合の数え上げ関数に(本来意味のない)「負の整数を代入」すると、別種の有限集合の数え上げ関数になるという現象である(例:Ehrhart相互律)。本講演では、特にStanleyによって示された「順序多項式の組合せ論的相互律」に注目する。これは高校数学でおなじみの「組合せ数、重複組合せ数」の関係を、有限ポセット(半順序集合)の数え上げ問題として一般化したものである。

組合せ論的相互律の根本的な問題の一つは、「組合せ論的には本来意味のない負の整数を代入するという行為」の解釈であろう。最近、北大の長谷部さんとの共同研究(arXiv:1601.00254)で、「半代数的ポセット」なる概念を導入し、ポセット間の射の数え上げの代わりに「ポセット間の射のモジュライ空間のオイラー標数」を考えるというアイデアにより、Stanleyの相互律が幾何学的なレベルで実現できることが分かった。「負の整数を代入」という行為は、我々の枠組みでは「モジュライ関手にオイラー標数が負の半代数的ポセットを代入」と自然に解釈でき、相互律は二つの空間のオイラー標数の一致と定式化される。

時間が許せば、Borel-Moore複体を使った複体(のホモトピー圏)レベルでの相互律の定式化のアイデアや、他の相互律の幾何学的実現に関する進展を紹介する。

関連項目

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