平成19年度 高校生のための数学夏季講座(北海道大学オープンキャンパス)

2007年08月06日

毎年8月に北海道大学体験入学の一環として開催しておりました「数学科教員による公開講座」の内容を紹介します。(※平成19年度以前の名称は「高校生のための数学夏季講座」となっております)

毎年夏休みにあわせて,北海道大学体験入学の一環として「高校生のための数学講座」を開催しています。大学の雰囲気や講義に触れることで,未来を担う若い皆さんに数学をはじめ科学分野への関心や興味を少しでも持ってもらえれば,との趣旨で開催するものです。

なお,これに先立ち「理学部オープンキャンパス」が行われます。

日  時:平成19年8月6日(月) 9:00〜15:30
会  場:北海道大学理学部5号館大講堂
定  員:100名
受講料 :無料

申込〆切:19年7月25日(金)
申込方法:数学事務室(TEL:011-706-2678) にお問い合わせください

プログラム

08時30分〜                 受付

09時00分〜09時10分    全体での入学式およびオリエンテーション

09時20分〜09時25分    開講のあいさつ (石川剛郎 数学科長)

09時30分〜11時10分(100分 途中休憩あり)

講義「ゴムの変形と紙の変形」(泉屋周一 教授)

11時10分〜12時30分    お昼休み

12時30分〜13時00分    学科紹介など

13時10分〜14時50分(100分 途中休憩あり)

講義「生活に密着した数学」(由利美智子 教授)

15時15分〜15時30分    全体での修了式・解散

「ゴムの変形と紙の変形」

泉屋周一(北海道大学理学部数学科 教授)

 幾何学は古代の人達による、土地の測量を源としていると言われています。いま、1つの土地を2つの図に描いたとき、この2つの図が同じ土地を表していると言う「約束」をきちんとしないと、その後でその図を使うときに色々と不都合が生じます。そのため幾何学では2つの図形が同じと言う意味が基本的です。

 しかし、2つの「図形が同じ」と言ったとき、様々な言い方がありえます。例えば、「正三角形」とひとくくりで言えば、みな同じ正三角形ですが、「1辺が1センチの正三角形」と「1辺が2センチの正三角形」では明らかに異なります。この講演では、図形が「同じ」と言う意味を考えることから始めて、「柔らかいゴムの変形」で同じと見なす見方と「伸び縮みできない紙の変形」で同じと見なす見方ではどの程度の違いが有るかについて、具体的な図形を用いて易しく解説します。そして、「柔らかいゴムで出来た円柱はいつでも裏返すことができます。では、紙で出来た円柱はどうでしょう?」と言う問題について考えてみましょう。

 これら2つの見方は、現代の幾何学の主要分野である「位相幾何学」と「微分幾何学」につながります。

「生活に密着した数学」

由利美智子(北海道大学理学部数学科 教授)

 皆さんは、小学校以来随分と長い間算数、数学と付き合ってきたかと思いますが現時点で、“生活に密着した数学”というタイトルにどんな印象を持たれたでしょうか?

 将来、社会に出てからも数学理論を背景に仕事を進めて行かざるを得なくなるのでしょうか?もっと端的に言えば、“数学は役に立つのか?”という問いかけに皆さんは、どう答えるのでしょうか?

 今、高校数学において皆さんが習得中のユークリッド幾何、関数、極限、微分、積分そして確率・統計に関する基礎概念は、私たちの意志決定基準にどのような影響を与えてくれるのでしょうか?

 以上の多くの問いかけに、限られた時間ではありますが“予測”という言葉をキーワードに真摯に考える思考実験の場になればと思います。