平成18年度 高校生のための数学夏季講座(北海道大学オープンキャンパス)

2006年07月31日

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毎年7〜8月に北海道大学体験入学の一環として開催しておりました「数学科教員による公開講座」の内容を紹介します。(※平成19年度以前の名称は「高校生のための数学夏季講座」となっております)

日  時:
平成18年7月31日(月) 9:00〜15:30 (受付は8:30より)

会  場:

北海道大学理学部5号館大講堂(札幌市北区北10条西8丁目)

定  員:100名
受講料 :無料
申込〆切:
平成18年6月30日(金)

申込方法:
数学事務室(TEL:011-706-2678) にお問い合わせください。

なお,これに先立ち理学部オープンユニバーシティが7月30日(日)に行われます。

プログラム

8時30分〜 : 受付
9時00分〜9時10分 :

全体での入学式及びオリエンテーション

9時20分〜9時25分
開講のあいさつ (山下博 学科長)

9時30分〜11時20分 : (途中休憩あり)

講義「カタラン数の語る数学の世界 -Enumerative combinatorics入門-」
(寺尾宏明 教授)

11時30分〜 : 学科紹介など

お 昼 休 み
13時00分〜14時50分 : (途中休憩あり)

講義「シンクロ現象の数学」 (蔵本由紀 教授)

15時15分〜15時30分 :

全体での修了式、解散

「カタラン数の語る数学の世界 -Enumerative combinatorics入門-」

寺尾宏明(北海道大学大学院 教授)

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皆さんの中には、数学Aで、「個数の処理」を学んだ方が多いことでしょう。ここでは、その発展形である「数え上げ組み合わせ論」(Enumerative combinatorics)の入門の話をします。
「数え上げ組み合わせ論」は、現在でも世界中で活発に研究されており、日々新しい定理が生まれていますが、現在でもたくさんの未解決問題があります。(私の話の中でも未解決問題を紹介します。)

本講では、高校で学ぶ「二項定理」から出発して、カタラン数と呼ばれる数のさまざまな解釈をあたえます。ひとつの数に与えられる解釈の多様性を味わっていただきたい、と思います。(実は、カタラン数は、ほぼ2〜3年に一度程度の割合で、カタラン数という名前を伏せて、大学入試に出題されているようです。)

また、カタラン数を例にとって、生成関数や形式べき級数などの基本テクニックの考え方を体験・理解していただくことも目標のひとつです。

「シンクロ現象の数学」

蔵本由紀(北海道大学大学院 教授)

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 数学は、身の回りの一見不思議な現象を「なるほど」とわからせてくれる道具としてとても貴重です。今回は、シンクロ現象というものを取り上げて、数学がもつそのような力を実感してもらおうと思います。林全体に群がった何万匹ものホタルが、リーダーもいないのにいっせいに明滅したり、周期のばらばらな心臓のペースメーカー細胞が、集団をつくることで強力なリズムを片時の休みもなく心筋に送り出してくれる。それは一体なぜでしょうか。そんな現象をいったい数学はどのように扱おうというのでしょうか。17世紀に、C. ホイヘンスは二つの振り子時計の間のシンクロ現象を発見しましたが、まずこれをやさしい数学を用いて解釈してみます。次に、そこでの考えを少し推し進めて、ホタルや心臓のペースメーカー細胞のように、二つではなく非常に沢山のリズムがシンクロする現象について考えます。

具体的な現象に関係する話ですから、数学の背景をなす物理についてもいくらか知っておいた方が良いでしょう。それで最初に少しだけ物理のお話をする予定です。