平成12年度 高校生のための数学夏季講座(北海道大学オープンキャンパス)

2000年08月09日

毎年8月に北海道大学体験入学の一環として開催しておりました「数学科教員による公開講座」の内容を紹介します。
※平成19年度以前の名称は「高校生のための数学夏季講座」となっております
※平成12・13年度は春夏2回行われました。

夏季講座 : 平成12年8月9日(水)

問題を解く楽しみ

西森敏之 (北海道大学高等教育開発研究部教授)

数学にはさまざまな楽しみがありますが,面白い問題を何日も考え続けて解けたときの喜びは最高です。数学には長い歴史があって沢山の人々の努力による蓄積があり,その基礎の上に現代の科学が発展しています。皆さんが高校で学んでいる数学は,広い数学の世界の中から限られた授業時間に学ぶために枝葉を取り払った最も基本的で重要な部分といえます。しかし,時にはそういった高校数学という枠から離れた間題を考えるのも,柔軟な思考の訓練になり,高校で学ぷ数学も違って見えてくるのではないかと考えます。この講座では,数学の長い歴史の中で見つけられた問題を解くための,2つの方略を実際に間題を解きながら解説します。

チカンの手ほどき

山田裕史 (北海道大学大学院理学研究科助教授)

この話は,諸君にrチカン」に親しんでもらえjるように,その入門を試みるものです。「チカン」にもいろいろあるでしょうが,ここでは「置換」に限ることにしましょう。「置換」とは読んで字のごとく,物を置き換える操作のことです。このようにr操作」をもその対象にするのが現代の数学のひとつの特徴です。物の置き換えという単純な操作の裏に潜む豊富な構造は数学者を魅了してやみません。そのほんの一端でもお話しできたら,と思っております。

1で始まる数が多いのは

吉田知行 (北海道大学大学院理学研究科教授)

手元の地図帳に付いている都道府県や都市の人口表や新聞の株式欄のような数字がたくさんでている表を見てください。異常にたくさんの数値が1で始まっていることに気づくでしょう。

例えぱ,岩波の理化学事典にのっている39個の基礎物理定数のうち,1で始まる数は14個(36パーセント)あります。普通に考えるなら,1で始まる数は全体の9分の1の4.3個 (11パーセント) 程度あると見込まれるので,36パーセントというのはずいぶん多いように感じます。さらに,他の最上位数についても数えると次の表が得られます。これでは約半数の数値が1と2で始まっていることになります。

数字 1 2 3 4 5 6 7 8 9
度数 14 7 1 3 3 3 1 2 5 39
割合 35.90 17.95  2.56  7.69  7.69  7.69  2.56  5.13 12.82   100

表1 : 基礎物理定数における最上位の数のあらわれ方

この講義では、一見不思議なこの現象を解明してご覧に入れましょう。予備知識は高校1年生程度を想定しています。