平成6年度 高校生のための数学夏季講座(北海道大学オープンキャンパス)

1994年08月08日

毎年8月に北海道大学体験入学の一環として開催しておりました「数学科教員による公開講座」の内容を紹介します。(※平成19年度以前の名称は「高校生のための数学夏季講座」となっております)

夏季講座 : 8月8日(月)-12日(金)

トポロジーの2つの顔 (ヴィデオ鑑賞)

河澄響矢 (北海道大学理学部講師)

トポロジー (=位相幾何学) は図形の性質の中でも,変形に耐えうるものを調ぺる幾何学である。多くの場合,例えば2つの図形がどんなに変形しても一致させられないといった否定的命題には,図形の代数的不変量を作ることで対処し,他方,例えばある図形を別の図形に変形するといった肯定的命題には,手作りの数学で対処する。つまりトポロジーは,代数と手作りの数学という2つの顔のあるヤヌスの頭を持っているのである。ここでは2つのヴィデオ(1)“Regular homotopies in the plane” (2)“Turning a sphere inside out”’を鑑賞する。いずれも,けして折ってはいけないが,自分と交わってもよいという変形を考えている。(1)では平面内の円周がこの変形ではけして裏返らないことを不変量を用いて示しており,(2)では3次元空間内の球面が,この変形で裏返ってしまうことを実演して見せている。トポロジーの2つの顔がはっきりあらわれているのである。

現代数学と数え上げ

日比孝之 (北海道大学理学部助教授)

幼少の頃からの数の体験,高校数学の学習等から推測できるように,しかるべきものの個数を数え上げるという動作は数学活動における不可欠な要素である。本講では,身近な数え上げの現象が現代数学の荘厳な理論に発展,開花する過程を紹介する。(OHP使用)

方程式が解けるということ,解けないということ

斎藤睦 (北海道大学理学部講師)

皆さんは,2次方程式の解の公式をご存知のことと思います。3次以上の方程式についても同様の解の公式が得られないだろうか?この問題を解決したガロワの理論を概説し,5次以上の方程式には解の公式が存在しないことを説明します。

曲面の構造を決めるもの ドーナツ=コーヒーカップ!?

諏訪立雄 (北海道大学理学部教授)

波問構造を記述するには様々な方法があり,またその空間固有の種々の数がある。そのような数の一つとしてオイラー数と呼ばれるものがある。ここでは山面について,この数がどのようなものであるかを具体的に図解によって求めてみる。またこれが曲面の構造とどのように結びつくかを見る。さらに,これがその曲面上に存在し得る量(例えばベクトル場と呼ばれるもの)をどのように規制するかを見る。

整数諭の面白さ

肥田晴三 (北海道大学理学部教授)

波問構造を記述するには様々な方法があり,またその空間固有の数学の数ある分野の中でも整数論程専門家も驚くような発見が,長い歴史を通じて見られる分野は少ないであろう。Femat(フェルマ)の方程式 xp+yp=zp が奇素数pについて正の整数解をもたないとPematが予想したのは17世紀のことだが,これは未だに解けない問題である。しかしながら,この問題が実は整数の深い構造に関わっていることが最近わかってきた。ここでは整数論の歴史を解説すると共に,このような具体例を通してその“面白さ”をお話ししたい。