卒業生の声 澁谷一博さん(2008年度 博士後期課程修了)

2017年03月17日

私は愛媛大学理学部数理科学科を卒業後、2003年に北海道大学大学院理学研究科数学専攻修士課程に入学しました。その後博士課程に進学し、博士課程修了後の研究員時代も含めると2009年8月まで約6年半の間北海道大学にお世話になりました。現在は広島大学大学院理学研究科数学専攻にて准教授をしています(2017年3月執筆時)。

北海道大学では数学を勉強、研究するための環境がとても整っていました。

書籍、論文などを調べたいと思った時に困った記憶はありません。また、最先端の数学を牽引している先生方がたくさん居て、講義、セミナーを通じて書籍を読むだけでは体感できない生きた数学に触れることが出来ました。例えば、数学の定理は無味乾燥に見えることもありますが、定理が見つかった背景や、それに関わった人達の話を当事者が生き生きとしゃべる様はとても興味深かったです。同級生には数学者志望の人、教員志望の人、就職志望の人、数学が好きだけどちょっと得意でない人、色んな人が居ましたが、先生方はどのようなレベルの学生に対しても懇切丁寧に適切な指導をされていて、学生同士でもお互いに議論したり、助け合ったりしたり、みんな充実した学生生活を送っていました。

また、国内外の研究者を招いて研究集会、談話会、集中講義等が頻繁に開催されていて、色々な人と交流を持つ機会が用意されていました。特に、講演後の講演者を囲んでの懇親会は楽しい思い出がいっぱいです。楽しいだけではなく、アルコールの力もあってか研究集会等の固い雰囲気の場所では質問し難いようなことも気軽に聞ける空気感があり、そのような場で頂いたアドバイスが自分のその後の研究に大いに役に立ったこともありました。また、英語が全く話せませんでしたが、身振り手振りを駆使して意思疎通くらいは徐々にとれるようになっていきました。当時の数学専攻では先生、事務員、学生の垣根を越えたパーティーが数か月に一度行われていて、他大学から来た先生が「こんなパーティーは自分の大学では有り得ない」とおっしゃってました。数学の勉強は、一人で考える事が多い学問で考えが煮詰まってしまうことも良くあります。そのような時に身近に手軽にリフレッシュ出来る場が用意されていたというのは自分にとって、とてもありがたかったです。

最後にですが、私は北海道生まれで一度道外に出て、それから北海道大学に入学しました。そのような立場で個人的な意見を誤解を恐れずに言うと、北海道は日本国内において異質な土地柄を持つ場所だと感じています。日本各地に土地柄は有りますが、それでも日本人としての共通のベースというものがあると思っています。しかし、北海道民は良い悪いではなく、その部分が道外の人と少し違う気がします。自然環境的にも、涼しい夏、厳しい冬があり北海道で一年生活するということと一週間くらい滞在するということで感じることは本質的に違います。

大自然に囲まれた北海道という土地で勉強するということが、数学においても人生においても新しい刺激をくれると思います。