卒業生の声 奥山幸彦さん(2015年修了)

2017年01月31日

私は,北海道教育大学札幌校を卒業して札幌市内の公立中学校での30数年間の教員生活を終え,61歳で北海道大学理学院数学専攻修士課程の学生となりました.

100人いれば100通りの生き方がありますが,私は退職後の自分の人生の出発点として大学院での2年間の生活を選びました.
出願時の志望理由の欄には,「ただ1つ,良い環境で数学をしたい.数学をすること自体を楽しみたい…」と書きました.「学ぶ」が正しい言い方かも知れませんが,自分にとっては「数学をする」
という方がぴったりくるような気がしていました.一定期間,本格的な数学研究の環境に身を置くことで自分の脳ミソの中の世界に新たな風を吹き込みたいという思いもありました.

修士1年目はリーマン多様体間の調和写像,2年目は複素空間形内の実曲面を研究テーマとしました.調和写像は,以前からよく知りたいと思っていたため希望しました.2年目の修士論文については,セミナーを指導していただいている先生が幾つかの論文を候補にあげてくれて,他にやりたいことがあればこれ以外でも構いませんと言ってくださいました.いただいた論文リストの中で「おもしろいかも知れない」と思って決めたのが上のテーマでした.
私の場合,欠けている知識を補いながらテキストや論文の行間を埋めることが精一杯という状態で,うまくできたと思ったことは1度もありませんが,それでもセミナーで発表することで自分の理解が不十分な点などに気づくことができ,高い視点から多くのアドバイスをいただく中でより深い理解を得られたと思います.そして,指導の先生の手を煩わせながら何とか修士論文を完成させることができました.
研究する時に大きな助けになるのが,数学科図書室の豊富な本や専門雑誌です.特に,MathSciNetなどのデーターベースが自由に使えることで必要な論文を簡単に探し出すことができ,快適な研究生活を送ることができました.

院生はすべてどこかの院生室に個人机を与えられますが,そこで,講義の履修登録の仕方やTexなどを教えてもらったり,部屋のメンバーで飲みに出かけたりするなど久しぶりの学生生活に貴重なアクセントを添えてくれました.

その他,学内でも談話会や各種の研究集会が開かれ国内外の研究者のお話を聴く機会が得られたことも貴重な経験でした.私の場合は,内容を理解できなくても雰囲気を味わえることで大いに満足していました.さらに,目の前で新しい風景が次々と展開される数学の物語のような講義に出会ったことも幸運でした.北大数学教室の多くの方々のお世話になりながら,とても有意義な2年間を過ごすことができました.

卒業した今も研究室のセミナーに参加させていただき,毎回多くの快い刺激を受けています.これからしばらくは,統計多様体についての研究を続けていく予定です.