酒井幸広(2005年度修士2年・数理科学系)

Q. 出身高校と出身大学は?

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高校は苫小牧工業高等専門学校の情報工学科(5年制)で,大学は茨城大学工学部情報工学科の3年に編入しました。

Q. 何故,北大を選んだのですか?

津田先生がいたからです。

Q. それはどのように知ったのですか?

大学に行ってもっと情報工学を勉強しようと思っていたのですが,自分が求めていたものと少し違いました。そこで,図書館に行って手当たり次第本を読んでおもしろい分野をみつけようと思って,みつけたのが非線型の話だったり複雑系の話だったりでした。その道で有名なのが東大の金子さんや合原さんと北大の津田さんでして,どうせならその分野のトップクラスの人のところに行って勉強したいと思いました。でもまあ,東大は無理だな〜と思って(笑)。

津田先生は脳を専門にやっていてすごい興味があったし,北海道に帰りたかったし,丁度津田研に知り合いもいましたので津田先生の所に行こうかなと思いました。

Q. 北大の試験は難しくはなかったですか?

難しいとかいう感覚は全くありませんでした。なにせ全くの畑違いで匙加減が全然わからなかったので,判断材料が全くない中えらく自己満足なレポート出しましたね。入試では工学と理学の違いに打ちのめされましたが,どういう訳か僕は今ここにいるわけです。理学の人は定理があったらその確からしさにすごい興味があり,工学の人はどっちかというとその定理で何ができてどう嬉しいことが起こるのかに興味があります。この意識の違いには入ってからもしばらく苦しみました。

Q. 大学院進学を決めた理由は?

まず,学部に行く時のモチベーションが自分が面白いと思えるものを見つけてそれに没頭しようというものでした。幸いにもそれが見つかったので,じゃあもっと勉強しようという事で院への進学を決めました。

Q. 学部時代はどんな活動を?

引きこもってました(笑)。周りに非線型の話がわかる人どころか,興味を持ってくれる人すらいなかったのでどう勉強していいかわからず,とりあえずよくわからないけど本をいっぱい借りてきて読んでたりとか。でも,独りでやるのって限界があります。

Q. 今はどのような分野を研究していますか?

粘菌ですね。粘菌が動く時に網目状のパターンを作りながら動くのですが,なんでそんな事になるんだろうかという話です。それっぽい現象が流体の分野にあって,じゃあ粘菌はその物理法則に従って動いているのかどうかっていうものです。

もしこれがヒットすれば,粘菌の運動メカニズム判明→じゃあ粘菌が最短経路問題を解くメカニズムも判明→もしかして粘菌でNP問題解けるのでは?というもの凄く淡い期待を持ちつつやっていこうと思っています。

Q. それは計算機を使ってやるんですよね。

もちろん。シミュレーションですね。

Q. それは津田先生と研究されているのですか?

坂上先生です。元となる物理現象が流体だったんで。

Q. 電子研の人とは話したりは?

今やっている研究は,もともと電子研で粘菌の研究をされていた中垣先生からの話が坂上先生と津田先生を通して僕の所に来ました。そういうわけで,中垣先生のところに粘菌についてのお話を聞きに行って粘菌頂いて帰ってきました。今でも粘菌飼ってます。

Q. それは最初からやっていたのですか?

今年に入ってからですね。

Q. 色々おもしろい事がわかりましたか?

まだ,大本となる物理現象を抑えている段階で粘菌にはまだ全然行かなくて。夏あたりを目処に粘菌っぽくなればいいなぁと考えています。でも,生命が偏微分方程式ごときで記述できるとは思えないですけどね。少なくとも粘菌様が今考えている物理法則に従って動いているのではないという事を示せればいいかなと思っています。

Q. 就職が内定されたそうですが,仕事内容は?

SEです。研究所があるのでそこに行きたいなと思っていますがまだわからないですね。

Q. 就職活動はどうでした?

1月から東京に行って説明会やら選考やらをどんどん受けたし,インターンシップにも行けたので結構順調でしたね。インターンシップは非常にお勧めです。むしろ行った方が良いです。大手のインターンシップは色々な大学から優秀な学生さんが来ます。優秀な人と一緒にいるとそれだけでモチベーション上がります。

Q. 何月に決まったのですか?

初めて内定出たのが3月くらいですかね。行くと決めたところは4月の終わり頃ですね。

Q. 就職活動中において,院生だったメリットは?

修士でのメリットは多分ないかと(笑)。気の持ちようじゃないですかね。人に話して恥ずかしくない学生生活を送っていたら,学部だろうが修士だろうが関係ないかと思います。

例えば工学部だったら国際学会で発表があったり,論文の本数にノルマあったりで強制的に経験積めるし実績もついてくるけど,ここはそういうの無いですしね。修士だから得をしたことは多分ないですね。

Q. 北大に来てある程度の満足感は得られましたか?(研究についての)

大満足ですね。学部時代は僕が興味をもっている事に誰も興味を持っていないという状況だし,その中で自分のモチベーションを保つのがどれだけ大変かというのが身に染みています。津田研の人たちは僕が興味を持っている事に対してだいたい興味を持ってくれるし,周りが興味を持っている事は僕も興味をもっているんですよ。わからない事をすぐ聞ける先輩がいたり,興味のある分野の話でずーっと議論できるという環境がすごく嬉しかったです。こっちきてすぐに研究室とはなんて素晴らしいんだろうと感動したのを覚えています。

Q. 修士進学を考えている学生にアドバイスを。

学部の勉強をもっといっぱいしておけば良かったなというのがあります。例えば歴史とか哲学とかやっておけば良かったなと思ってます。今すぐ役に立たないことが実は一番おもしろいです。お金払って来るのだからそこは有意義に使った方が良いんじゃないかな。

僕は専門馬鹿な道しか歩んできていないので思うのですが,総合大学の利ってのを学部の内に目一杯使った方が幸せになれるかと思います。それで,院に進学するなら例えば,自分は「2年間学生の時間を買って遊ぶ!」ってのでもいいから何かしらの目的意識を持った方がいいと思います。研究(勉強)しに来るというモチベーションだけでなくていいと僕は思ってるんですが,こんな公の場で言って良いんでしょうかね(笑)。

2005年(平成17年) 6月インタビュー実施