河村尚明(2005年度博士2年・代数系)

photo

Q. 出身高校と出身大学を教えて下さい。

出身高校は愛媛県立三島高校です。大学は修士まで広島大学で,博士課程から北大です。

Q. 北大の大学院を選んだのは何故ですか?

広島大学在学当時から室蘭工業大学の桂田先生に指導して頂いていまして,特に,一昨年の末には,一ヶ月半ほど室蘭に滞在し,直接指導して頂くことができました。また,室蘭滞在期間中には毎週北大で行われているセミナーにも参加していました。このことがきっかけで,現在の指導教員である前田先生と交流することができて,もともと広島大学では保型形式を専門に研究されている先生がいらっしゃらない為,近い将来外へ出ていくこと考えていた僕は,北大へ進学することとなりました。

Q. 現在はどんな研究をされてますか?

専門分野は,整数論です。現在の僕の研究対象は,ジーゲル保型形式という多変数の保型形式です。一変数保型形式については,数多くの数学者の手によって様々なことが明らかにされているのですが,ジーゲル保型形式では未だ判っていない事が多いので。主に,「池田リフト」と呼ばれる,京都大学の池田先生によって構成された,一変数からのファンクトリアルなリフトについて中心に研究しています。この池田リフトは,「斉藤-黒川リフト」と呼ばれる古典的なリフトの一般化となっているものです。

Q. 博士課程での研究生活はどのようなものですか?

毎週,桂田先生が北大にいらっしゃるので,そこで前田先生と3人で,互いの研究の進展を話したり,勉強したりしています。また,桂田先生がいらっしゃらない時は,僕が室工大に出向いたりもします。自由に研究できるという点では,これ以上の環境はないと思います。

Q. 修士論文はどのように書きましたか?

修士論文は,次数4への池田リフトに対する考察で,桂田先生の御指導の下で書くことができました。昨年,白馬で開かれた研究集会でお会いした,フランスのA. Panchishkinさんには,その内容にとても興味を持って頂きました。

Q. その問題はいつごろ発見されたのですか?

保型形式を勉強し始めたのは,学部生の頃からですが,一変数で残っている問題はとても難しいんですよ。ジーゲル保型形式については,割と基本的なことでも解っていないことがあるので,まだ僕の様な人間にも入っていける隙間があるのかなと思って,勉強し始めました。そして,修士の時に,池田リフトというものがあるのを知り,それから現在の研究に至る訳です。

Q. 自分から先生にコンタクトを取ったり,かなりアクティブに研究されてきましたね?

それがなかったら,今こうして数学を研究している自分はなかったと思います。勿論,それも先生方のサポートがあったからこそです。金銭的にも,全部自腹では多分難しかったと思います。

Q. 北大の大学院に進学を考えている学生に,アドバイスはありますか?

アドバイスというか,こうすれば多少は楽になるという程度のものかもしれないですが,僕みたいに積極的にアプローチをかけてみると良いかもしれないですね。こういうことができるのは,若い内の特権だと思うんですよ。別に少々恥をかいた所で何も損をすることは無いので,色々な所に出掛けて行って,色々な先生とコミュニケーションを取り,疑問などをぶつけた方が良いと思います。なにより,勉強のショートカットもできますし。また,先生方の経験談などを聞くことは,これから数学を勉強する学生にとって,非常に良い刺激になると思います。

北大の良い所については沢山あるんですが,ひとつは学生の間のコミュニケーションが盛んなことです。COEの若手研究集会もありますし,自分の専門分野に限らず,色々な人とコミュニケーションを取った方が後々の為にも良いと思います。もうひとつ現実的な所では,北大の文献の豊富さは,他大学ではなかなかないと思いますね。勉強する資料が豊富にあるということは,一人で勉強する学生にとっても,非常に有難いことだと思います。

Q. まだ住みはじめて1年ぐらいですが,北海道の生活はいかがですか?

冬の厳しさにはまだ慣れないですね(笑)。出身が愛媛で,更にその後六年間を広島と,ずっと暖かい所に住んでいた僕には,冬はちょっと…。それでも,夏は梅雨もないし,過ごしやすくて良いですね。