新井朝雄(教授・解析系)

Q. 出身高校と出身大学を教えて下さい。

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埼玉県立秩父高等学校です。出身大学は千葉大学で,大学院は東京大学です。

Q. 最初にまず,どんな大学生だったかお聞きしてよろしいでしょうか?

私は学部の時は物理なんですよ。物理学科で,数学も好きで,両方の科目を取って一生懸命勉強していました。哲学や芸術もやってました。クラシックギターは中学のころからやっていて,今でも続けています。

Q. 数学者になろうと思った最初のきっかけは何ですか?

数学者になろうという意識はあまり無かったですね。むしろ私の場合は高校の時に習った微積分学で出てきた,ドイツの万能型の天才ライプニッツにいたく惹かれました。無鉄砲な話ですけど,ライプニッツのように,オールラウンド的に総合的に学問を究めてみたいと思って惹かれたんです。そのための一番基礎になるのは数学だという直感はありました。それで数学も物理も勉強しました。

大学に行く時は,数学科にしてしまうと物理の勉強はできないだろうと直感して,物理学科を選んだんですよ。物理に行けば,数学以外のことでも物理をベースにして勉強できるんじゃないかと思ったのがきっかけですかね。一応,数学者,数理物理学者になっているので,だいたい自分の希望通りになっていると思います。

Q. 研究内容について簡単にお願いします。

非常におおざっぱに言うと数理物理学で,私の場合,個別的な数学や数理物理の問題の研究だけでなく,哲学,自然哲学の一環として,数学と物理学そして他の諸科学,芸術をより高い次元で統合してゆくことを目指しています。狭い意味での数理物理学にも色々あるんですが,私は主に量子力学や量子場の理論を研究しています。使う数学はヒルベルト空間論や現代的な確率論などです。量子場の理論は数学のほとんどすべての分野と関わってますので,そういう意味でも非常にやりがいのある分野です。

Q. 先生が担当している学生は何人いますか?

今年は修士1年が3人入りまして,修士2年が留年も含めて3人います。博士1年が1人,博士3年が1人です。

Q. どんな所に就職しましたか?

博士に進む人もいますけど,就職した人はコンピュータ関係が多いですね。変わり種としては,警察学校へ行って警察官になった人もいます。教師になった人はあまりいないです。

Q. どんな大学院生に来て欲しいですか?

あらゆる数学と物理に興味を持っている人が一番理想的ですね。物理もある程度やっていて,自然科学にも興味があるといいですね。必要ならば何でもやるという気持ちの学生が望ましいです。

Q. 先生から見て,大学院教育の意義とはどういうものですか?

最近の学部の教育はレベルが低くなっていて,そんなに深く勉強できないと思います。それを大学院でもう少し深くやると言うか,研究への入口や雰囲気を味わえるというのが意義のひとつだと思います。

Q. 高校生や学部の1年生に向けて,メッセージをお願します。

数学科に進学を考えている人は,数学が好きだと思います。数学だけじゃなくて,物理とか化学とか他の自然科学も一生懸命勉強してほしいと思います。

Q. 物理に興味があるんだけど,という学生にも数学の大学院はおすすめしますか?

そうですね,物理の人は仮に数学に来なくても,現代的な数学をきちんと理解していないと理論物理なんてできないし,現代的な数学をきちんと勉強する事は必要です。可能な選択肢のひとつだと思います。

Q. 物理ではなく,数学で職を得られましたね。何かきかっけはありましたか?

それは大学院が数学だったもので,それで多分運が良かったんですね。日本ですと,物理の研究者で,私が考える意味での数理物理をやっている人はたいへん少ない,現代的な数学を駆使して数理物理の問題を考えている人は非常に少ないと思います。私は東大の大学院で黒田成俊先生につきました。量子力学の数学的散乱理論で非常に重要な業績を残された方です。

Q. 学生へのメッセージ

とにかく学生諸君は時間があるんだから,猛烈に勉強してほしいですね。数学を中心として,学問全体を広くやってみてほしいと思います。

2006年(平成18年) 5月インタビュー実施