卒業生の声 松本 和宏さん(2007年度 博士後期課程修了)

皆さん,こんにちは。私は2003年に北大工学部情報工学科から理学研究科数学専攻の修士課程に入学しました。それから5年間を数学専攻で過ごし博士課程を修了しました。

「将来はエンジニアになって人々に役立つものを作るんだ」という漠然とした想いから工学部に入学しましたが,学部3年の時の“カオス”との出会いがきっかけで,カオスに何か美しさを感じ,私の自由意志がもっと知りたいという純粋な欲求を突き動かし,院では数学を学ぼうと決意しました。

しかし,大学院進学を決めたものの,内心は「院から数学を学んでついて行けるのか」と心配していましたが,皆さんもご存知のように,北大の数学教室は純粋数学から応用数学までの分野が統一的に構成されています。特に,私が学んだカオスを含む力学系という分野は純粋数学から応用数学まで幅広く研究されているので,多くの友人や先生方とも議論でき,非常に素晴らしい環境に恵まれていたと実感しています。

院での研究はエンジンの燃焼圧データ解析から始まりました。問題は如何に一次元の時系列データからそのデータに埋め込まれた力学構造を見出すかということでした。データにカオス性が存在することが判明し,博士課程ではそのエンジンのカオス的力学を逆に利用したエンジン制御を考えることが主題になりました。博士2年から3年にかけては,指導教官の津田先生と共同研究を行っていたヤマハ発動機株式会社の下で7ヶ月間インターンシップという形で制御実験をさせて頂くことができました。

私は2008年4月よりヤマハ発動機株式会社に就職が決まり,最終的にエンジニアへの一歩を踏み出すことができました。今後はより実践的なことが求められますが,ここで学んだ数学はこれからも確実に活かされると思います。数学の良さは,論理的思考が鍛えられ,物事の本質を見抜く能力が養われることにあると思います。私の中でこの院での5年間は少し立ち止まって物事を考える良い機会でした。カオスを通じて,ものの見方が変わり,私は今非常に豊かな気分です。この北大数学教室に在籍できたことを誇りに思っています。皆さんも是非北大数学教室で数学を学んでみませんか。
Boys and Girls, Be Ambitious !