卒業生の声 小島栄人さん(1996年度修了)

私は,北大院修士課程を修了後,福島県の高校で教員をしています。(東日本大震災以降も福島の復興のために微力ながら頑張っています。)

さて,数学を通して学んだことが,今の職業にどのように生かされているかといいますと,残念ながら私が研究した内容を直接生かす場面は少ないです。しかし,そこで学んだ数学の土台や背景,さらには数学を学ぶことによって感じたおもしろさや将来性,苦労したことなどを生徒に伝える場面においては大いに役立っています。

学部時代は,学習内容が数学の基礎ばかりで多少あきあきしていたこともあり,数学の本当のおもしろみを感じることが少なかった気がします。しかし,修士時代になりますと,数学を自由な形で学び研究できるという点で環境が大きく変わりました。そして,すばらしい環境のもとで研究できる喜びを初めて実感できたのもこの頃です。例えば,学会などに参加させてもらえた体験はとても新鮮で,自らの研究意欲に火がつきました。海外からの研究者との接点もあり,数学が本当に世界中で共通の言葉だと改めて実感しました。大学院で数学を学んだ体験は,自分の世界観や価値観をさらに広げさせてくれました。現在は,その体験を通して得られた「生きた数学」を教育の現場で生徒に伝えています。

人間,物事を「知る」と「知らない」とでは,その先の人生を大きく変えることがあります。だから私は生徒に,自らが数学を通して学んだ世界や体験したこと(数学そのものだけでなく,数学を通して学んだ生き方)を機会あるごとに伝え,それを生徒自身が少しでも何かの役に立ててくれればよいと思っています。数学を教えることのみならず,様々な教育活動を通して,生徒一人一人が生きる力を自らの手で見出し,将来の日本をより良い方向へ導き,活躍出来る人材になってもらえればと日々教育活動を行っています。(その中には福島の復興も含んでいます。)これは修士課程を経験したことが大きく影響しています。